
物価高が消費者の財布を直撃する中でも、米国の菓子市場は「小さな幸せ」を求める人々に支えられ、新たな成長の芽を育んでいる。
その鍵を握るのは、Z世代やミレニアル世代の嗜好の変化と、賢明な消費行動。
食品業界専門ニュースメディア『Food Dive』が報じた専門家の分析によると、特にZ世代の嗜好と賢明な消費行動が市場の未来を左右する鍵となっているようだ。
注目すべき4つのトレンドを解説する。厳しい経済環境を乗り越え、市場を牽引する4つのトレンドが見えてきた。
主役はグミとサワー 「体験」求めるZ世代が市場を席巻
2024年の米国菓子市場で最も輝きを放ったのは「ノンチョコレート」分野で、前年比4.9%増と力強い成長を見せた。
特にグミやサワー系の人気は絶大で、新しいフレーバーや食感、ユニークな体験を求めるZ世代やミレニアル世代がこのトレンドを強力に後押ししている。
全米菓子協会(NCA)によれば、ノンチョコレート菓子市場は2019年から約70%も成長し、今後も拡大が見込まれる。大手小売もプライベートブランドのグミを拡充するなど、この勢いに乗ろうと躍起だ。
背景には、お菓子を「食べる楽しさ」や「心の幸福」と捉える消費者の根強いニーズがある。Z世代に顕著な、コト消費へのシフトと捉えられるかもしれない。
価格にはシビア、でも「ご褒美」は別腹
利便性も重視
消費者は価格に敏感になっており、NCAの調査では71%が菓子購入時に価格を重視する。
そのため、「2個で1個分価格」のようなセールや、手頃なプライベートブランドが好調だ。
一方で、高品質なプレミアム商品で「自分へのご褒美」を求める動きも見られ、消費者は予算と価値を巧みに天秤にかけている。
パッケージも進化
消費者のニーズに応えるため、パッケージも進化している。
菓子メーカーは多様なパックサイズや少量オプションを提供しており、特にZ世代とミレニアル世代は、こうした選択肢や再封可能なパッケージを重視している。
個包装から大袋へのシフトから一転、最近では「より低価格な小さめのマルチパック」が求められる傾向にある。
また、Eコマース経由での菓子販売は2021年から2024年にかけて70%も増加しており、オンラインでの購入のしやすさやデリバリー対応といった利便性の向上が不可欠となっている。
健康志向の高まりと「より良い選択」への関心
菓子という嗜好品のカテゴリーにおいても、「より良いものを選びたい」という消費者の意識は高まっている。これは、特定の成分を「減らしたい」、あるいは特定の成分を「もっと摂りたい」というニーズとして現れる。
低糖質、オーガニック、自然派素材などの選択肢を求める声は菓子分野にも。
これは全世代的な傾向だが、食欲抑制効果のあるGLP-1作動薬ユーザーの増加も、機能性食品への関心を高める一因となっている。
現状ではまだニッチ市場ながら、健康やウェルビーイングへの意識の高まりと共に、この分野の成長ポテンシャルは大きいと言えるだろう。
『Food Dive』が伝えるこれらの4つのトレンドは、米国の菓子市場が、消費者の多様化するニーズ、特にZ世代を中心とした若い世代の価値観やライフスタイルの変化を的確に捉え、困難な時代を乗り越えようとしている姿を浮き彫りにしている。
今後も、この「甘くて奥深い」市場の動向から目が離せない。
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