自民党の小野寺五典政調会長は、トランプ米大統領の関税政策によってアジア諸国が中国に近づき、アジア地域の安全保障が不安定になる可能性があると指摘した。その上で、日米間の防衛協力を強化すべきだと訴えた。
ワシントンで28日に開催されたハドソン研究所のイベントで「アジアには今まで米国や日本と同じスタンスで中国に向き合ってきた国も多いが、トランプ関税の問題を巡り、今非常に気持ちが揺れている」と言明。「もしかしたら米国から少し距離を置き、中国に近寄っていく国も増えるかもしれないが、これは日本としても望むことではない」と語った。

自民党の小野寺五典政調会長
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
トランプ氏の関税措置を巡っては、アジア経済に深刻な影響を及ぼすだけでなく、同地域の安全保障が損なわれる恐れもあり、多くの国々が米国との交渉を要請している。日本政府は今週予定されている日米通商交渉第2弾に向け準備を進めている。
小野寺氏は、安全保障上の懸念の高まりを背景に、米国との防衛協力を強化する必要性を強調。中国については台湾への圧力、領土問題などに関する情報発信を通じた「認知戦」の激化、大規模な軍事演習を主な懸案事項として挙げた。
トランプ氏は今月行われた日米間の通商交渉第1弾で、日本に対して防衛費負担増額を求めたと報じられている。トランプ氏は米国が日本を防衛する義務を負う一方で日本には米国防衛の義務がないとして、日米同盟について以前から「不公平」と批判している。
小野寺氏は、最近の政策変更を踏まえ、日米が防衛装備、特に弾薬の共同生産・輸出の可能性を探るべきだと示唆。ただ、日米同盟における日本側の防衛負担を増やすべきかとの質問にはコメントを控えた。
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日米通商交渉については、赤沢亮正経済再生担当相が今週、ベッセント米財務長官と2回目の協議に臨む。
小野寺氏は「安全保障上、非常に微妙な状況の中で、関税の問題は日本としても早くウィンウィンの形で決着をつけ、安全保障面でも日本の役割を果たしていくべきだ」と話した。
原題:Japan Worries Trump Tariffs Will Push Countries Toward China(抜粋)
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