上場投資信託(ETF)の投資家は先週、半導体への強気ポジションを解消していた。その直後、米中貿易戦争の一時休戦を受け半導体セクターは急反発し、タイミングの悪い売却となった。
半導体業界への投資で3倍の運用成果を目指すETF「ディレクション・デイリー・セミコンダクター・ブル3Xシェアーズ」(SOXL)からは9日までの1週間で3億4000万ドル(約500億円)余りの資金が流出。その直後の12日、このETFは24%上昇した。
別の半導体関連ETF「ヴァンエック半導体」(SMH)も先週、1月末以来の規模となる約4億8500万ドルの資金流出を記録したことが、ブルームバーグのデータで明らかになった。
こうしたETFからの資金引き揚げは、米国と中国が貿易協議で、関税率を一定期間引き下げることで合意したタイミングと重なった。
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トレーダーは足元で貿易摩擦の影響を受けたさまざまなセクターで強気な投資姿勢に移り、短期の投資家のポジションは大きく転換している。
米中の合意後、リスク資産は値上がり。ドイツ銀行のストラテジストらは、今回の関税に関する合意を巡り、市場が予想していたよりもはるかに良い内容だったと指摘している。
S&P500種株価指数は12日に3%余り上げ、ハイテク株中心のナスダック100指数は4%上昇した。
SOXLは、人気の投資テーマにレバレッジをかけた投資機会を提供するETFの一つ。12日の大きな値動きは、こうした投資手段に内在するリスク・リターンを浮き彫りにしている。
原題:Traders Dumped Levered Semiconductor Funds Just Before 24% Surge(抜粋)