新しい環境、新しい出会い。期待に胸を膨らませるいっぽうで、不安も感じる新生活。コロナ禍を経て、対面でのコミュニケーションの機会が増えるなか、若者たちはどのように新生活と向き合っているのだろうか。
新生活で重視されるポイント
コミュニケーション、そして自分らしさ
2025年3月、「株式会社マンダム」が、18~49歳の男女332名に行ったインターネット調査から、Z世代の個性とルールのせめぎ合い、そして多様性への意識が見えてきた。
同調査によると、新生活で意識するようになったことの第1位は、全世代で「コミュニケーション(第一印象やマナー)」(54.5%)。続く2位は「生活リズムの管理」(38.0%)、3位は「身だしなみ」(33.7%)という結果に。
新しい環境では、まず周囲との関係構築を重視する傾向が顕著。生活リズムや身だしなみも、円滑なコミュニケーションを築くための重要な要素として捉えられているようだ。
©株式会社マンダム
個性を求める心とルールに従う心
Z世代のジレンマ
また、同調査から、若年層の興味深い意識の二面性が見えてきた。
10代は「個性を出したいと思わない」という回答が16.0%ともっとも少なく、「外面・内面両方で個性を発揮したい」が30.0%。自己表現への欲求が強いことがうかがえる。
いっぽう、「複数の人が集まる場でのルールや基準についてどう感じるか」という質問には、10代は54.0%、20代は64.9%が「安心感がある」と回答。「自身の行動や発言、外見において『周りと同じであること』を重視するか」という質問にも、10代、20代の多くが「重視する」と回答している。
個性を出したいという気持ちと、ルールや周囲との調和を求める気持ち。一見矛盾するこの二つの意識は、Z世代が置かれた状況を反映していると言えるだろう。
©株式会社マンダム
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多様性への意識
ルールは時代に適応しているか
「社会や組織のルールの中で、身だしなみのルールが多様性を考慮していないと感じるか」という質問に対し、10代では「ある」22.0%、「時々ある」58.0%という結果に。
10代の約8割が多様性への配慮が不足していると回答したことになる。個性を重視するZ世代にとって、既存のルールは窮屈に感じられることもあるだろう。これは、企業や社会全体が、多様性を尊重するルール作りを推進していく必要性を示唆しているのではないだろうか。
自己表現とコミュニケーションのツール
「身だしなみ」の役割
興味深い回答のひとつに、すべての世代で「身だしなみは自分自身を表現するための手段」という回答がもっとも多かったことを挙げたい。「他人と良好なコミュニケーションを取るための手段」という回答も上位に。身だしなみは、単なる外見の装飾ではなく、自己表現やコミュニケーションのツールとして認識されていると言える。
個性を尊重しつつ、周囲との調和も大切にするZ世代。多様性を尊重する社会の実現は、彼らが自分らしく生きられる環境を作るうえで、重要なファクターなのだとあらためて感じさせられた。
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