任天堂が8日に発表した今期(2026年3月期)の営業利益予想は前期比13%増の3200億円で、市場予想の4494億円を下回った。今期に「スイッチ2」の販売が反映されることから増益となるが、米関税措置による影響が通期に渡ることを前提に予想を立てたという。
今期は6月発売のスイッチ2の押し上げ効果が想定されることから売上高は前の期比で6割増となる1兆9000億円の見込み。発売と同時に人気のソフトや新規タイトルを継続的に投入して、プラットフォームの活性化を目指す。

任天堂が発売するスイッチ2
Photographer: Dimitar Dilkoff/AFP/Getty Images
発表によると、スイッチ2の今期の販売計画はハードが1500万台、ソフトが4500万本としている。前の期のスイッチ販売台数はハードが1080万台、ソフトが1億5541万本だった。なお、今期の想定為替レートは1ドル=140円、1ユーロ=155円とした。
任天堂が新型機を発売するのは約8年ぶりとなる。米トランプ大統領が進める関税政策やマクロ環境がめまぐるしく変わる中でも、国内での抽選販売の反響などから初動は手堅いとの見方が大勢を占める。
米国モーニングスターの伊藤和典ディレクターはスイッチ2販売計画について、関税の影響は無視できないものの、ハードの潜在需要は会社予想より高く、上方修正される可能性があるとみる。サードパーティーのラインアップが潤沢なソフトも「相当保守的に作っている」とした。
ブルームバーグインテリジェンス(BI)のネイサン・ナイドゥ氏は、同社の利益見通しが市場予想を下回ったことについて、「伝統的に慎重な予測を出す傾向に沿ったものだ」とした上で、ハードもソフトも販売計画の達成は可能だと指摘する。
値上げの可能性
今後、リスクになる可能性が高いのは米国の関税政策の行方だ。4月にスイッチ2の発売価格を日本国内専用モデルが税込み4万9980円、米国向けが449.99ドルとすると発表した直後、トランプ大統領は世界各国・地域に上乗せ関税を導入すると発表。中国に最大145%、ベトナムに46%の上乗せ関税を課す考えを示した。
国内では抽選販売に想定を大きく上回る約220万人が応募し、古川俊太郎社長が自社のX(ツイッター)で謝罪する事態となるなど強い支持がある半面、米国の上乗せ関税が実際に発動されれば、販売価格を上げざるを得ないとの見方もある。
BIの試算によると、関税の影響を相殺するためには、任天堂は販売価格を約28%引き上げる必要がある。米国での販売価格が上がる場合、需要鈍化につながるリスクも指摘されている。
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