水曜日, 5月 7, 2025
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ソーシャルメディアの普及で「脳が腐る」のか? – GIGAZINE



ソーシャルメディアの普及で「脳が腐る」のか? - GIGAZINE


メモ


オックスフォード大学出版局が2024年の言葉として選んだ「brain-rot(ブレインロット、脳腐れ)」は、SNSに流れてくるような簡単に消費できるコンテンツをぼーっと見続け、精神状態や知性が劣化した状態を指す言葉です。この「脳腐れ」という状態や現代のインターネットが人々に及ぼす影響について、カナダのトロント州立大学でシニアリサーチフェローを務めるマスウード・キアンプール氏が解説しています。

Online brain rot is undermining our ability to tell meaningful stories
https://theconversation.com/online-brain-rot-is-undermining-our-ability-to-tell-meaningful-stories-248984


現代人はスマートフォンを通じて日常的にSNSを使用しており、「気が付いたら自由時間のほとんどをSNSを見て過ごしていた」という経験がある人もいるはず。キアンプール氏は、学生にソーシャルメディアと社会の関係について教える中で、「人々はスマートフォンからなかなか離れることができず、生産的な活動を先延ばしにしてしまっている」ということが繰り返しテーマになると述べています。

また、21世紀初頭にソーシャルメディアプラットフォームが登場した当初は、これらが個人に力を与え、自分の体験を物語ることを促し、コミュニティをつなぐ可能性があるとして歓迎されました。確かにソーシャルメディアにはこれらの機能があったものの、一方で誤情報を広め、コミュニティの二極化を進めるエコーチェンバー現象を引き起こすなどの問題も生じています。


アメリカの若い世代を対象にした調査では、1日の平均スクリーンタイムは5時間を超え、受ける通知は平均237件に達することがわかりました。この数字は、およそ4分に1回の割合で何かしらの通知を受け取っている計算になります。

絶え間なくインターネットに接続する文化の中、若者らは美容インフルエンサーと自分たちを比較して自尊心が傷つけられたり、成功をうたう有害なブロカルチャー(野郎文化)に染まったりしています。

文化理論家のビョンチョル・ハン氏は、これらを「ストーリーテリングの衰退」の現れだと主張しています。ハン氏によると、現代人は絶え間ない断片的なコンテンツにさらされ、常に何かに関与することを求められており、結果として物語に深く長期的に関与する能力を失ってしまったとのこと。

トロント州立大学の研究チームは2024年に、「若年労働者が仕事に何を求めているのか」というトピックについて2分40秒の動画を作成したものの、学生たちはこの長さの動画すら長すぎると感じたそうです。最終的に研究チームは、学生の興味を引くために動画をわずか16秒のクリップに編集しました。


キアンプール氏は、「現代のメディアとテクノロジーは、私たちの記憶を保存し、歴史を保護してくれると思わせてくれます。しかし、記憶とは逆説的なものであり、記憶するという行為すべてに忘却と不在が伴うものです。オンラインプラットフォームやそこで共有されるコンテンツの多くは一時的なものであり、意味のある文化的表現ではなく表面的な関与に向けられています。そのため、これらのプラットフォームは文化的記憶の喪失をもたらす可能性があります」と述べています。

オンラインプラットフォームで消費されるさまざまなコンテンツは、あくまで一時的に流行するものに過ぎず、コンテンツごとに深く考えたり関与したりする人はほとんどいません。その結果、これらのコンテンツはすぐに風化し、忘れ去られてしまうというわけです。

キアンプール氏は「脳腐れ」が広まるにつれ、人々から深い思考や自己反省の能力が失われ、真実が重んじられなくなっていくことを懸念しています。たとえば、アメリカのドナルド・トランプ大統領は事実と異なる発言やうそが多いことが指摘されていますが、トランプ氏は「発言内容が真実なのか虚偽なのか」ということを問題視せず、伝えたいメッセージを伝えるためのツールとしてうそや誇張を使っているとのこと。トランプ氏を支持する有権者らは、真実や虚偽を気にしていないようになっているのではないかと、キアンプール氏は示唆しています。


現代社会では、絶え間ないコンテンツにさらされることで人々からストーリーテリングの能力が失われ、意味のある物語について考えることが困難になっています。ドイツの哲学者であるゲオルク・ジンメルは20世紀初頭の時点で、「都市に住む人々は圧倒的な刺激にさらされた結果、防衛反応としてさまざまな物事に無関心になる」と指摘していましたが、これと似たことがインターネット上で起きているといえます。

キアンプール氏は、「人間は常に物語に魅了されてきました。私たちが自分自身を理解するためには、物語が必要なのです。しかし、ソーシャルメディアの利益誘導型アルゴリズムは、経験を均質化し、最終的に文化的多様性を損ないます。私たちはストーリーテラーではなく、『storysellers(ストーリーセラー:物語を売る人)』になってしまったのです」と述べました。

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