ソフトバンクとOpenAIによる70兆円超えの投資プロジェクト「Stargate」がトランプ関税の影響で貸し手との合意に至れず停滞中 – GIGAZINE

2025年1月22日に、ソフトバンクグループがOpenAIのAIインフラストラクチャー構築に4年間で5000億ドル(約74兆円)を投資するプロジェクト「Stargate Project(Stargate)」を発表しました。しかし、ドナルド・トランプ大統領が発表した関税政策などの影響を受けてプロジェクトが停滞していることが報じられています。

SoftBank Stargate Venture With OpenAI Snags on Tariff Fears – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-05-12/softbank-stargate-venture-with-openai-hits-snags-on-tariff-fears

StargateはOpenAIのAIインフラストラクチャーを構築するための投資プロジェクトで、2025年からの4年間で5000億ドル(約74兆円)の投資が計画されています。初期出資者は「ソフトバンクグループ」「OpenAI」「Oracle」「MGX」の4社で、初期の主要テクノロジーパートナーとして「Arm」「Microsoft」「NVIDIA」「Oracle」「OpenAI」が参加しています。なお、Stargateの最初の記者会見はホワイトハウスで実施され、会見にはトランプ大統領とソフトバンクグループの孫正義代表、OpenAIのサム・アルトマンCEO、Oracleの共同創設者であるラリー・エリソン氏が出席していました。

OpenAIとソフトバンクが70兆円超の投資でAIデータセンターを設立する「Stargate」プロジェクトを発表 – GIGAZINE

Stargateの発表時に、ソフトバンクグループとOpenAIは計画している投資額のうち1000億ドル(約15兆円)の投資を「直ちに開始していく予定」と述べていました。しかし、発表から3カ月以上が経過した記事作成時点でもソフトバンクグループはStargateの資金調達テンプレートを策定しておらず、銀行や投資家との詳細な協議も開始できていません。

Bloombergによると、Stargateの遂行のために「みずほ銀行」「J.P.モルガン」「アポロ・グローバル・マネジメント」「ブルックフィールド・アセット・マネジメント」との予備協議が2025年初頭から始まっているとのこと。しかし、トランプ関税の影響で貸し手や債券投資家が高リスク投資を敬遠するようになっていることや、世界的な景気後退によってデータセンター需要が圧迫されるリスクなどが影響して協議は停滞しているそうです。

アナリストの分析では、トランプ関税によって「サーバーラック」「冷却システム」「半導体」などAIインフラストラクチャーの構築に不可欠な製品の価格が上昇し、データセンターの建築コストが5～15％上昇すると見込まれています。

ただし、Stargateについては楽観的な見方もあり、コムジェスト・アセットマネジメントの日本株式戦略共同リードマネージャーを務めるリチャード・ケイ氏は「ソフトバンクはStargateへ500億ドルを投資した後、5～6年ですべての費用を回収し、推定15～20％の利益を期待できる」と推測しています。

なお、アルトマンCEOはテキサス州アビリーンに建築中のデータセンターの写真を2025年5月8日に投稿しており、Stargateの成果をアピールしています。