ソニーグループの今期(2026年3月期)営業利益は1兆2800億円と、前期比0.3%の微増となる見通し。ゲームや半導体事業が堅調に推移する一方、米トランプ関税が業績の下押し要因となる。
ゲーム事業はハードウエアの販売減や為替影響で減収だが、ゲームソフトの販売が好調に推移し営業利益は前期比16%増を見込む。また半導体事業は為替がマイナス要因になるものの、スマートフォン向けイメージセンサーの増収により7%増益になる見込み。
陶琳最高財務責任者
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
半面、米国の関税政策が影を落とす。同社は営業利益に対する影響を1000億円のマイナスと試算し、追加関税への対応の迅速化とともに想定されるシナリオへの検討も進めているとした。なお、金融事業は第1四半期から非継続事業の分類となるため、業績予想に同事業は含まれていない。
決算説明会に出席した十時裕樹社長は半導体事業について、「さらに高い成長を目指す一方で、必要な投資をいかに適切なレベルに抑制し、投資効率を引き上げていくかは大きなチャレンジ」だと述べ、今後さまざまな選択肢を検討していく方針を示した。
また、陶琳最高財務責任者(CFO)はゲーム事業について、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の生産地は中国メインから4カ国に拡大しているとし、「サプライチェーンの複線化に取り組み、中国だけではなく複数の生産地を確保することができている」と説明した。今期のPS5ハード販売については1500万台を見込むとした。
ソニーGは、完全子会社で金融事業を担うソニーフィナンシャルグループ(SFGI)の株式上場を前提としたスピンオフ(分離・独立)の進ちょくについても説明。東証プライムを想定し、9月29日の上場を予定しているという。
新株を発行せずに株式上場するダイレクトリスティングを予定する。SFGIは上場後から 2027年3月末までの期間に、1000億円をめどとして自己株式を取得する計画で、ソニーGの持分比率は20%未満になることを見込んでいるとした。
十時氏は金融事業以外のスピンオフの可能性について問われると、「現時点で何か計画していることはないが、引き続き必要があればそういった施策も選択肢としては考えていく」と述べた。
市場は歓迎
正午に決算が発表されると、同社株は午後の取引で買い注文を集めて上げに転じ、一時前営業日比4.5%高の3817円を付けた。終値は4日続伸して同3.7%高の3788円。
同時に発表した1億株・2500億円(発行済み株式の1.66%)を上限とする自己株取得枠の設定も、株価の支援材料となった。取得期間は15日-26年5月14日までで、東証での市場買付を予定している。
陶氏は27年3月期までの中期経営計画における資本配分を4兆5000億円から4兆8000億円に見直したと説明。3000億円の増額分は株主還元に割り当てるという。ソニーGは株主還元強化を重要施策の一つと位置付けている。
(決算会見の内容などを加えました)
🧠 編集部の感想:
ソニーグループの今期営業利益が微増する一方、米国の関税政策が業績に影響を及ぼすのは懸念材料です。ゲームと半導体事業の好調さが見込まれる中で、株主還元の拡充は評価できますが、将来的な成長戦略が鍵となります。特にサプライチェーンの多様化への取り組みは、リスク軽減に有効な方針だと感じます。
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