米連邦準備制度理事会(FRB)のクーグラー理事は12日、トランプ米政権の関税政策はインフレを押し上げ、経済成長を圧迫する可能性が高いと指摘。対中関税の引き下げが発表された後もそれは変わらないとの考えを示した。

クーグラーFRB理事
Photographer: Al Drago/Bloomberg
クーグラー氏は「貿易政策は変化し続けており、今後もシフトし続ける可能性が高い。今朝の時点でもその動きが見られる」とダブリンで講演。「関税が現時点で発表された水準近くにとどまったとしても、経済に著しい影響をもたらす公算は大きいだろう」と述べた。発言は講演原稿に基づく。
関連記事:米中が90日間の関税率の大幅引き下げで合意-貿易協議で共同声明 (1)
米国の平均関税率は過去数十年と比べて依然かなり高い水準にあると、クーグラー氏は指摘。「関税が年初時点と比べて大幅に高い状態が続けば、経済への影響も同様に大きくなる可能性が高い。それにはインフレ率の上昇と成長の減速が含まれる」と話した。
クーグラー氏は米連邦公開市場委員会(FOMC)による7日の金利据え置き決定を支持したと表明。インフレに対する上振れリスクがあることや、現行の金融政策スタンスがいくぶんか景気抑制的であることを理由に挙げた。
関連記事:FOMCが金利維持、調整急がずとパウエル議長-関税リスク警告 (3)
「この先、インフレと雇用が異なる方向に進む可能性があることを踏まえ、私は将来の政策の方向性を検討する上で、動向を注視していく」と続けた。
原題:Fed’s Kugler Sees Significant Tariff Impact Despite Recent News(抜粋)