水曜日, 4月 30, 2025
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お笑いコンテストのトップバッターは本当に不利なのか?研究者が検証した結果


日本を代表するお笑いコンテストといえば、年末に開催される「M-1グランプリ」ですよね。

M-1グランプリではよく「トップバッターは不利」と言われます。

2024年度は、令和ロマンが1番手にして二連覇を達成する快挙を成し遂げましたが、それ以外は基本的にトップバッターで優勝するのは極めて困難とされています。

そんな中、大阪公立大学大学の研究チームは、お笑いコンテストの出順が審査に与える影響を科学的に検証することにしました。

対象としたのは「爆笑オンエアバトル」の15年分のデータです。

その結果、ある条件のもとだと、むしろトップバッターが最も有利になることが明らかになりました。

研究の詳細は2025年4月22日付で科学雑誌『Journal of Economic Behavior & Organization』に掲載されています。

目次

  • トップバッターは本当に不利なのか?
  • ある条件では1番手が有利に

トップバッターは本当に不利なのか?

多くの人は「コンテストでは後の順番のほうが有利になる」と聞いたことがあるのではないでしょうか。

これは審査員が1番手の演技を基準にして評価を進めるため、後半に行くにつれて評価が伸びやすくなる「カリブレーション効果」が発生するためです。

カリブレーション効果とは、「評価の幅が限られており、後に現れる選択肢の質が不確かな場合、評価者が将来の判断の余地を残すために極端な評価を避け、無難な中間評価を選びやすくなる傾向のこと」を指します。

要するに、早い段階で極端な高得点をつけてしまうと、後に適切な評価ができなくなることを懸念して、評価者はトップバッターほど平均的な得点をつけやすくなるのです。

実際、過去の研究でも、たとえばスポーツ大会や演劇コンテストでは、順番が後ろになるほど評価が高まる傾向が指摘されてきました。

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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

しかし一方で、順番の影響は必ずしも一方向ではない(順番が後の方ほど有利ではない)という指摘もありました。

特に、競争率が低い場合や複数の合格枠がある場合には、早めの出場者が有利になる可能性も考えられていました。

ただし、これまでこのテーマが大規模なデータで検証された例はなく、特にお笑いコンテストという独特な環境での研究は初めてでした。

ある条件では1番手が有利に

研究チームは今回、NHKの人気番組「爆笑オンエアバトル」に注目しました。

この番組では、10組の若手お笑い芸人がくじ引きで順番を決め、審査員100人がそれぞれ合否を判定します。

合格できるのは10組中5組と、競争率は比較的低め(=合格率が高め)です。

つまり、必ずしも”一番面白い”必要はなく、”そこそこの評価を受ければ”合格できるルールになっていました。

チームは1999年から2014年までの約500回分のコンテストデータを収集・分析しています。

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出演順が成績(得票率)に与える影響 / Credit: 大阪公立大学大学 – お笑いコンテスト番組のデータから判明! 競争率が低い場合は1番手が最も有利(2025)

すると驚くべき結果が明らかになりました。

1番手の演者は、他の順番の演者と比べて5%〜10%も得票率が高かったのです。

つまり、爆笑オンエアバトルにおいては”トップバッターが最も有利”になっていました。

ただし、これは10組中5組の合格者を決めるという競争率の低い環境が大きく影響しているとチームは指摘します。

先ほど説明したカリブレーション効果によると、トップバッターは評価の基準となるように、平均的な中間評価を受ける傾向があるのでした。

要するに、高得点は出しづらい一方で、極端に低い得点もつけられにくいわけです。

中間評価をもらえるなら、10組中5組が合格という競争率の低い条件では、むしろトップバッターほど合格に近づきやすいシステムになっていたのです。

もし競争率がもっと高く、「勝者一人を決める」ようなコンテストなら、話は違うでしょう。

その場合、平均点では埋もれてしまい、1番手が不利になる可能性が高まります。

「今回の研究結果は単なるお笑いコンテストの話にとどまらない」とチームは話します。

ビジネスプレゼンテーションやスポーツ競技、学校の発表会など、順番が審査に影響する場面は私たちの生活のあらゆる場に存在するからです。

競争率が低い場合なら、あえてトップバッターを志願する方が勝つ確率は高まるかもしれません。

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参考文献

お笑いコンテスト番組のデータから判明! 競争率が低い場合は1番手が最も有利
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-17515.html

元論文

Is it advantageous to be first? Evidence from a TV comedy program
https://doi.org/10.1016/j.jebo.2025.107009

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

フラッグシティパートナーズ海外不動産投資セミナー 【DMM FX】入金

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