ずば抜けて実務能力が高くなくても人より成果を上げられる人は何が違うのか。
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション・木下勝寿社長の『「悩まない人」の考え方』と『時間最短化、成果最大化の法則』がベストセラーとなっている。
木下氏は「私は実務能力がずば抜けて高いわけでない。だが①悩んでいる時間の短さと②タスク管理能力の高さだけは突出しているかもしれない」という。①と②にそれぞれ対応したのが上記2冊。そこで「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。今回は「二流上司と一流上司の習慣の違い」だ。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

【要注意】二流のリーダーは研修で「鋼のメンタルを鍛える」。じゃあ一流は?Photo: Adobe Stock

なぜ「メンタルは鍛えなくていい」のか?

 私は仕事柄、多くの相談を受ける。
 なかでも多いのが、「メンタルが弱いのでなんとかしたい」というものだ。

 だが、私は「メンタルは鍛えなくていい」と思っている。
 悩みがあるときの対処法は「3つ」ある。

 1.ポジティブシンキングで対応する
 2.鋼のメンタルで耐える
 3.「思考アルゴリズム」を変える

 多くの本でポジティブシンカーになれば人生はうまくいくとか、メンタルトレーニングによって鋼のメンタル(メンタルタフネス)を鍛えればどんなビジネスもうまくいくと唱えられている。

 だが、私は大間違いだと思っている。

 ポジティブシンカーは問題が起こっても「すべてOK」ととらえ、前向きな言葉を出していれば問題が解決すると思っている。

 だが、これは実質、問題を無視している状況で、問題は一向に改善されていない。時間が経つにつれ、むしろ悩みは深まるばかりだ。

 また、「鋼のメンタルで耐える」は単に耐えているだけ。
 これをやり続けていると、どんな人でもメンタルがやられてくる。

 また、どんなにメンタルを鍛えてもビジネスの問題を解決できないことが多い。これまでメンタルタフネスやメンタルトレーニングの本をいくら読んでも問題解決できなかった人は自分を責めなくていい。それなりの理屈があるからだ。

メンタルが弱くてもメンタルを鍛えずに
仕事で成果を上げる方法

 では、「メンタルが弱くても、メンタルを鍛えずに、仕事で成果を上げる」にはどうしたらいいのだろうか。

「思考アルゴリズム(考え方のクセ)」を変えればいい。
「思考アルゴリズムを変える」と、悩み(問題)が悩み(問題)でなくなる。これならそもそもメンタルの強さを必要としない。「思考アルゴリズム」をインストールするだけでいいのだ。

 なかでも、「悩まない人」が頭の中にインストールしているOS(オペレーションシステム)というべき2つの大原則がある。

 1.「思いどおりにいかない」と「うまくいかない」は違う
 2.問題は解決しなくてもいい

 まずはこの2つだけ頭にたたき込んでおくだけでも、「出来事」「仕事」「他者」に悩まされなくなるだろう。

「悩む人」と「悩まない人」は何が違うのか。
 それは「考え方」にしかない。
 考え方さえ変えれば誰でも悩まない人になれる。
 その変化は徐々にではない。一瞬だ。

 多くの人はこれからいろいろな上司と出会うだろう。
 そのとき、ポジティブシンキングや鋼のメンタルを鍛えようとする上司がいたら大いに警戒してほしい。

(本稿は『「悩まない人」の考え方――1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)