
8日の日本市場では円相場が対ドルで一時143円台半ばに上昇。トランプ米政権が英国との貿易合意を発表するとの報道を受け、英ポンドやユーロなどが買われてドルの重しになった。株式は日経平均株価が上昇し、債券は低調な10年債入札を受けて下落している。
事情に詳しい複数の関係者によると、トランプ米大統領は8日に記者会見を開き、英国との貿易合意を発表する見通し。トランプ氏は7日夜、自身のSNSで「非常に尊敬を集めている大国の代表との主要な貿易合意」について説明するため会見を開くと投稿していた。
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みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、週末に米中会談を控えて腰を据えたドル買いを入れづらい中、米英貿易合意の報道でポンドやユーロなどの欧州通貨が買われ、ドルが売られたと指摘。米中会談は「対話継続程度の結果で、少なくとも合意はなさそうだ」とし、ドルの上値は重いとの見方を示した。
国内為替・株式・債券相場の動き-午後1時20分現在 |
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為替
東京外国為替市場の円相場は上昇。オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長会見は予想通りの内容で、ドルが買われた部分が剝落していると話す。米中会談は「何か結果が出る感じではなく決め手に欠きそうだが、事前には動きづらい」と言う。
株式
株式相場は日経平均が上昇。トランプ米政権が人工知能(AI)向け半導体輸出規制を撤廃する方針だとの報道を受けて半導体関連株が買われている。
一方、ソニーグループなど主力銘柄の一角には売りが出て、TOPIXは下げる場面が目立つ。インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、日米の通商協議は着実に進展しているものの、市場では既に織り込まれていると指摘。今後の日本経済の減速見通しを踏まえると株価が継続的に上昇するのは難しい状況だと述べた。
債券
債券相場は下落。この日行われた10年国債入札が低調な結果となり、売られている。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、10年債入札は「弱い結果だった。応札倍率が低く、ボラティリティー(変動率)が高止まる中、米関税政策の見通しも不透明で投資家の様子見姿勢は強かったようだ」と指摘した。
入札結果によると、最低落札価格は100円92銭と市場予想101円10銭を下回り、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は18銭と、前回の11銭から拡大した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.54倍と2021年10月以来の低水準となった。
日本債券:10年利付国債の過去の入札結果(表)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
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