Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 100W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 16 / 15 Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (0.9m ミッドナイトブラック)
¥1,790 (2025年5月1日 13:14 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
2025年10月14日のWindows 10の延長サポート終了(EOS)まで、あと半年を切った。PCメーカー各社は、さまざまな移行キャンペーンなどの施策を用意。さらに、移行に関連する相談窓口などを設置し、新たな環境への移行をサポートしている。
だが、その一方で、業界全体で足並みを揃えた施策がなく、各社が自主的な施策を展開している点を懸念する声が関係筋から上がっている。各社の移行施策を俯瞰するとともに、PC業界の視点から見た課題を追ってみた。
まだ1,900万台ものWindows 10が稼働中
2025年10月14日に、Windows 10のサポートが終了すると、セキュリティ更新プログラムの提供が行なわれなくなる。
日本マイクロソフトでは、「製品の発売以降に発見されたプログラムの不具合やセキュリティ上の問題点を修正するために、セキュリティ更新プログラムを提供してきた。だが、サポート終了後は、セキュリティ更新プログラムの提供が行なわれなくなる。セキュリティ更新をせずに、ソフトウェアを利用し続けることは、脆弱性を解決しないままで使用し続けることになり、セキュリティ上、非常に危険な状態になる。最新バージョンへの移行を検討してほしい」と呼びかけている。
日本マイクロソフトのほかにも、PCメーカーやシステムインテグレータ、量販店などが、積極的な移行提案を進めているところだ。同じ2015年10月14日には、Office 2019およびOffice2016もサポート終了になる点にも気をつけなくてはならない。
だが、サポート終了まで半年を切った現時点でも、まだ相当数のWindows 10搭載PCが、国内で利用されているのが実態だ。調査会社のMM総研では、2025年3月末時点で、約1,900万台のWindows 10搭載PCが稼働していると見ている。
MM総研は、2024年9月時点で法人向けPCでは約1,300万台強、個人向けPCでも約1,300万台のWindows 10搭載PCが稼働していると予測していたが、「過去の減少ペースを参考に推測すると、2025年3月末時点で法人向けPCでは、800~900万台前後が、入れ替えの対象になると推測できる。また、個人向けPCでは、2025年3月末時点で、約1,000万台のWindows 10搭載PCが稼働しており、そのうち半数弱のPCが、Windows 11のアップデート要件を満たしておらず、買い替えが必要になると推計している」と語る。
デル・テクノロジーズでは、「エンタープライズのお客様は計画的に移行を進めてきたこともあり、すでに7~8割は移行が完了している。だが、中堅中小企業はまだ半分に達していない状況にある。4月以降、入れ替えが本格化すると見ている」とする。
レノボ・ジャパンでも、「大企業におけるWindows 10への移行には目途が付きつつあるが、中堅中小企業のOS移行が課題となっている。Windows 10からの移行にかかる工数に関する情報などを含めて。ビジネスパートナーとともに、適切なメッセージを届ける必要があると考えており、イベントやセミナーの開催、ホワイトペーパーの公開などを通じて、残された少ない期間に、適切に移行ができるように情報提供を強化する」と語る。
大手企業の移行は進んでいるが、中小企業や個人ユーザーの移行が遅れており、それをどうキャッチアップするかが、これから半年間の課題と言えそうだ。
Windows 10からの3つの移行措置
日本マイクロソフトでは、Windows 10からの移行措置として、法人ユーザーに対して、3つの方法を示している。
1つ目は、「インプレースアップグレード」と呼ぶもので、PCはそのままに、OSだけをWindows 11にアップグレードする方法だ。
日本マイクロソフトが提供する「PC正常性チェックアプリ」を使用すると、Windows 10が稼働しているPCでも、Windows 11にアップグレードできるデバイスかどうかを判断することができる。
2つ目は、Windows 11搭載PCへの入れ替えである。「PC正常性チェックアプリ」の結果、OSを入れ替えて利用できないスペックのPCは買い替えを提案している。これを機に、最新のAI PCに買い替えるというのも1つの手段だろう。
そして3つ目が、Windows 10 ESU(拡張セキュリティアップデート)の活用である。これは有料での契約になるが、最大で3年間、セキュリティアップデートが受け取れるサブスクリプションとして提供。サポート終了の期日までに、何かしらの事情で新たな環境に移行ができない法人ユーザーに対する提案としている。
これを利用するためのアクティベーションキーは、初年度の価格が61ドルとなっており、Intuneを用いたクラウドベース管理ソリューションでは、初年度が45ドルとなっている。また、仮想デスクトップ環境であるWindows 365/AVDでは、ESUが無償となっている。
量販店やPCメーカー各社の取り組み
一方で個人ユーザー向けには、日本マイクロソフトでの公式Webサイトでの情報提供のほか、パートナーとの協業を通じて、Windows 10搭載PCの画面にサポート終了の告知を表示し、移行のステップに関する情報なども提供している。
日本マイクロソフトでは、「法人のお客様の移行に向けては、広範囲な認知向上を狙うオンライン施策と、個社ごとの個別施策によって、サポート終了に関する案内を適切に伝える営業施策を中心に展開している。個人のお客様に対しては、EOSへの理解促進と、Windows 11や最新PCに関する詳しい情報を揃え、安心して移行を検討いただけるよう尽力している。オンライン施策では、日本マイクロソフト独自で用意したコンテンツを、XやFacebook、Linkedin、ニュースレターで案内している」としたほか、「販売店に対して、販促物や正しい情報の提供を行なうことで、情報発信の支援をしている」という。
主要な量販店やECサイトで、以下のようなサイトを用意して、個人ユーザーに対する訴求を行なっていることも示した。
PCメーカー各社も、Windows 10のEOSに向けた施策には余念がない。各社の取り組みを見てみよう。
NECパーソナルコンピュータ
NECパーソナルコンピュータでは、個人ユーザー向けの訴求として、2025年4月までは、モバイルユーザーへの訴求を中心としてきたが、4月後半からはこれを拡張。「Windows 10のサポート終了に伴う買い替え層の多くが、大画面ノートPCや、オールインワンデスクトップのユーザーであるため、これらのユーザーへの訴求を強化する。特別なサポート窓口は設けないが、コールやチャットの増加を見越してスタッフを配置したり、FAQの整備を進めたりしている」という。また、TVを通じたインフォマーシャルや、新聞広告、YouTube動画を活用した認知活動を強化するほか、店頭でのキャンペーンも検討しているという。
法人ユーザーに対しては、Windows Autopilotの活用により、AzureAD/Intuneへのデバイス情報登録代行サービスを無償で提供するほか、121コンタクトセンター購入前相談窓口(0120-977-121)と、契約販売店向けの技術相談窓口を設置し、移行可能な製品の提案を行なうという。
2025年4月からは、法人向けPCの販売機能を、NECからNECパーソナルコンピュータに移管しており、Windows 11への切り替えを検討する法人への提案やサポートを強化する考えを示している。
レノボ・ジャパン
レノボ・ジャパンでは、個人ユーザー向けに、Windows 10搭載PCでは実現できないAI機能を新たな体験として訴求。Qualcomm Snapdragon搭載の「Yoga Slim 7x Gen9」のほか、省電力性に優れたIntel CPU搭載モデル、高性能なAMD搭載モデルなど、各プロセッサの特徴を生かした幅広いラインナップを提供する強みを打ち出している。また、Copilot+PCについては、専用機能の提案を通じて、買い替えを検討するユーザーへの選択肢を提供する。今後は、SNSなどを通じた啓蒙活動も進めていくという。
法人ユーザー向けには、2025年3月18日に発表したThinkPadの最新機種を始めとして、業界最大級となる10シリーズ以上のCopilot+ PCを含む豊富なラインナップを提供していることを訴求。900g台の軽量モバイルノートのThinkPad X13 Gen 6や、ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionにより、日本のハイブリッドワークに最適化した提案を強化。
さらには、Windows Autopilotの活用などにより、デバイス登録のみならず、その後の構築、運用にいたるまでを伴走したサービスとして提供し、移行支援をサポートする。
また、ThinkShield Remote Supervisor Passwordなど、OSより下のレイヤーに向けたクラウドベースの管理手法の提供強化も、継続的に実施していくという。
富士通クライアントコンピューティング
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)では、個人ユーザーに対する訴求策として、同社サイトを通じて、最新のFMVシリーズを紹介しているほか、新たなPC環境に手順が少なく移行ができる「スマート引越しガイド」を提案し、新たなPCへの移行を促進。
さらに、「パソコン乗り換えなんでも相談室」を設置して、PCの選び方や新たなPCへの乗り換え方法などを紹介している。PC初級者層でも安心して移行できる環境づくりに力を注いでいる。
今後、新たなPC環境への移行に向けた追加のキャンペーン施策を実施することも検討しているという。
日本HP
日本HPでは、個人ユーザー向けには、EOSに関する買い替えキャンペーンは行なっていないものの、AI PCのポートフォリオを拡充し、オンラインを中心としたAI PCの利便性や価値を告知する活動を推進しているところだ。
4月7日からは、日本HPの公式オンラインストア「HP Directplus」の個人ストアにおいて、「最短当日発送、翌日お届け」を開始しており、新たなPCをすぐに手に入れたいというユーザーに対して、最適な提案を行なっている。
法人ユーザー向けには、Windows 11に組み込まれた各種AI機能を訴求するコンテンツを拡充しているほか、Windows Autopilotを通じたアプローチや、専門家によるアドバイザリーサービス、PoCプログラムを無償提供。Windows 11のマスターイメージの作成支援サービスの無償提供や、Windows Autopilot向け有償サービス(プリセットデバイス登録、Autopilot向けOSバージョン固定イメージでの出荷、事前プロビジョニングサービスなど)を提供し、新たな環境への移行を支援しているという。
また、2025年1月~2月にかけて、全国11カ所でイベントを開催したほか、販売パートナーとの連携による買い換え促進のキャンペーンを実施。7月~10月にかけても、パートナー向けイベントを全国7都市で開催する予定であり、Windows 11へのマイグレーションに関する訴求活動を加速する考えだ。
デル・テクノロジーズ
デル・テクノロジーズでは、個人ユーザー向けの施策として、同社ダイレクトショップのDell.comにおいて、最大36回分割払いの金利無料キャンペーンを実施。量販店との連携では、店頭および折込チラシの提供、オリジナルコンテンツを活用したIT系メディアとの連動などによって、Windows 10のEOSの告知を強化していくという。
同社では、「現在、プロダクトブランドをリフレッシュしており、New Dell Brandとして、2025年9月までに、新ブランドへの完全移行を図っている。これらの訴求に併せて、Windows 10搭載PCから、デルの最新PCへの移行提案を進めていく」としている。
法人ユーザー向けには、「予算の観点から安価なPCに入れ替えるといった動きもあるが、デルではAI PCへの移行提案を進めている」と述べた。
Dynabook
Dynabookでは、個人ユーザー向けには、同社サイトのdynabook.comを通じた情報発信により、買い換えを促進しているほか、店頭展示においても、POPを設置して、Windows 10からの買い替え促進を訴求。さらに、Windows 10のEOSに関する相談やサポート窓口として、PCの購入前相談や、購入後の操作方法などを電話でサポートする「dynabook あんしんサポート」を用意して、スタッフによる遠隔支援サポートの活用により、分かりやすい移行支援を行なっているという。
法人ユーザー向けには、Windows 10の環境を、Windows 11にアップグレードするためのサービスとして、「OSアップグレードサービス」を提供。サービススタッフが訪問し、Dynabookオリジナルのツールを使って作業を行なうため、顧客側の負荷を軽減することができるという。
さらに、「PCリプレース支援サービス」では、データ移行の際に、サービススタッフがDynabookオリジナルの「PCリプレース支援ツール」を使用。データ移行を迅速に完了するという。加えて、ユーザーが不要になったPCは、Dynabookが買い取りするサービスも用意。PCに内蔵したストレージのデータ消去や、内蔵ストレージの物理破壊も行なうサービスを提供している。
Dynabookではそのほかにも、PCに関わる導入計画から調達、導入、展開、運用、保守、撤去、更新にいたるまでの、ワンストップでサポートする「LCM運用サービス」を提供。「PCの刷新によって発生する煩雑で負担が大きいPC管理業務をアウトソーシングすることで、業務全体を効率化し、本来注力すべき業務に集中できる環境を実現している」という。
また、Windows の初期セットアップをクラウドによって自動化したいといったニーズに対応するため、Windows Autopilotを活用。「Dynabookは、BIOSを含むハードウェアを自社開発、製造してきた経験や、マイクロソフト製品についての豊富な知見、大規模キッティングの実績およびノウハウを持っている。それらを生かして、Windows Autopilotの導入支援サービスを提供している」と述べている。
業界の足並みが揃わないのは日本マイクロソフトが静観しているから
このように、日本マイクロソフトやPCメーカー、量販店などが、Windows 10からの移行提案を積極的に行なっているものの、それらはいずれも各社個別の施策に留まっており、業界全体で足並みを揃えた施策にはなっていないのが現状だ。
たとえば、かつては日本マイクロソフトを中心としたウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)を通じて、PCメーカーや量販店などが連携しながら、Windowsの最新バージョンへの移行を、業界全体として訴求する動きがあったのだが、現時点ではWDLCの活動は休止しており、業界横断での足並みを揃えた訴求活動が行なえる体制は皆無だ。
また、日本マイクロソフトでも、Microsoft AzureやCopilot+PC、Surfaceに対するマーケティング予算は確保しているが、Windows 10のEOSに関するマーケティング予算は、事実上、確保されておらず、EOSに関する訴求には限界があるのが実態だ。
Microsoftは、2025年4月4日に創業50周年を迎えたが、これに関して日本においてはなにも訴求が行なわれず、ここでもEOSに関する言及はなかった。2025年11月に訪れるWindows 1.0発売から40周年の節目を迎えるが、ここでもWindows 10のEOSに関する訴求は行なわれない公算が強い。
さらに日本では、個人向けPC領域を担当するコンシューマ事業本部が解消されており、日本の個人向けPC市場を担当する直接的な部門がなく、EOSに対する訴求や、PCメーカーを巻き込んだ施策が打ち出しにくい状況にある。Webサイトを通じた情報発信は行っているが、それは意識して同社サイトを閲覧しにきた人への情報提供であり、受動的な訴求に留まっているのが実態だ。
あるPCメーカーからは、「PCメーカーが足並みを揃えて、移行を促進するキャンペーンを打てることができていない」という声が上がる。
別のPCメーカーからは、「かつてのように、日本マイクロソフトが音頭を取り、キャンペーン予算の拠出を含めて、業界全体が一緒になって、お客様にEOSの認知を広げるような動きがない」との指摘もある。
さらに、一部の関係者からはEOSに責任を持って取り組むべきはずの日本マイクロソフトの担当者の顔が見えないと指摘する声もあり、PCメーカーや量販店にとっても、EOSに関しては担当者不在の認識が広がっている。
マイクロソフト全体の組織変更により、日本マイクロソフトでは、コンシューマPCの担当部門が事実上なくなったり、GIGAスクールを担当する教育分野向け組織が大幅に縮小するといった動きが見られている。
「日本マイクロソフトが音頭を取れば、業界全体としてEOSに向けた協力体制を敷くことができるが、そうした動きは今回に関しては一切ない」と、あるメーカーの幹部は嘆く。
国内PC市場には、約1,900万台のWindows 10搭載PCが残っている。欧米ではWindows 10のEOSに伴う特需は見られず、EOSによる特需は日本固有の状況という指摘もあるが、固有の状況だからこそ、それに向けた一手が必要だ。日本のPC業界全体が足並みを揃えずに個別施策を展開している状況は、Windows 10からの移行促進に遅れを生じさせる要因にもなりかねない。
EOSまで半年を切り、これからはWindows 10からの移行の動きは最終コーナーを迎えることになる。今からでも、業界全体で足並みを揃えたWindows 10からの移行促進施策を展開できないかと思う次第だ。
Views: 0