東京のTFTホール1000にて5月5日、『黒い砂漠』のオフラインイベント「黒い砂漠10周年感謝祭」が開催された。当日は会場内に、数百名の冒険者(本作プレイヤー)やGM(ゲームマスター・本作運営)、韓国の開発陣などが集結。『黒い砂漠』の世界を体験できるアトラクションや展示、ステージイベントが行われた。今回はそんなイベントに参加する機会をいただいたため、写真を交えながら当日の雰囲気などをお伝えしたい。
『黒い砂漠』は、韓国のゲーム会社Pearl Abyssによって開発・運営されるオープンワールドMMORPGだ。日本国内では2015年よりサービスが開始され、今年5月8日にサービス10周年を迎えている。冒険者たちが交流を楽しむオフラインイベントはこれまでに何度も開催されてきたが、今回は10周年ということで例年とは規模感の大きく異なるイベントとなっていた。

ホールに入ると、会場はオープニング前からすでに多数の冒険者で賑わっており、アトラクションには列ができていた。アトラクションの詳細については後述する。冒険者は老若男女さまざまで、北は北海道、南は沖縄から来たという方も参加。本作が幅広い層からの支持を得ていることがうかがえた。
本イベントのオープニングは、『黒い砂漠』IPの10周年を記念して作られた楽曲「冒険者へ」の生歌唱とともに始まった。イベントを通じてステージのMCを務めたのは、 CM迷子ペンギン氏とGMメロビー氏。二人がオープニングトークで2015年サービス開始当初からの冒険者はいるかと尋ねると、観客席ではたくさんの手が挙がっていた。GMの紹介や会場内のコンテンツについての説明が終わると、イベントは自由時間に突入。するとすぐに、ステージ後方のアトラクションブースに再び行列が生まれる。


リアルで味わう『黒い砂漠』のバトルと冒険
特に列が目立ったのは、「[NJ覚醒]修羅の帰還」のコーナー。こちらは覚醒忍者のスキル「修羅刀斬り」がモチーフとなったアトラクションであり、四方から落ちてくる変わり身にチャンバラ刀をタイミングよく当てることでゲームクリアとなる。勢いよく刀を振るい、変わり身をかっ飛ばす冒険者たちの姿が印象に残っている。

その隣から、「ドスン!」という豪快な音が聞こえてきた。パンチングマシーンを打つ音である。アトラクション「[MT伝承]ミスティック、もう一つの力」では、格闘家やミスティックのようにパンチを繰り出し、打撃攻撃の強さを測っていた。冒険者たちは男女を問わず、大きく身を振りかぶって渾身のパンチを打ち込む。上位を競うランキングも用意されており、イベント中には記録が次々と更新されていた。そのほか、射的やめんこのほか、鉱石採掘や釣りといったアトラクションもあり、どのコーナーも列が絶えない人気を見せていた。

本イベントでは、参加者一人ひとりに「特別依頼書」が配布された。依頼書にはそれぞれのアクティビティで達成すべき項目が設定されており、クリアすると項目ごとにステッカーを獲得できる。ステッカーを集めるとすごろくに挑戦でき、特定のマスを通過すると会場内に設置されたカプセルガチャやクレーンゲームに挑むことができるという仕様だ。『黒い砂漠』の世界と同じように、冒険者として依頼をこなす体験を楽しめるというわけだ。

また、会場内にはケータリングブースが設置されており、軽食やドリンクを自由にいただけた。会場の中央には休憩エリアが用意され、そこでは多数の冒険者が体験の合間に立ち寄っては、軽食をとりながら会話を楽しんでいた。ケータリングのメニューは、ゲーム内のアイテムや10周年にちなんだデザインが特徴的。見た目にも味にも、コラボカフェ並みのこだわりが感じられた。アトラクションで身体を動かして遊びながら、お腹も満たせる最高の空間であった。


歴史を振り返り、想いを刻む展示コーナー
アトラクションと同じように冒険者たちを惹きつけていたのは、展示コーナーだ。まず目を引いたのは、等身大パネルが集まるフォトスポット。キャラクターがずらりと並ぶ圧巻の展示である。また、キャラクターが着用している衣装を間近で見ることもできた。装備は金属の錆まで再現されており、精巧に作られていることがよくわかる。さらに隣には、ユーザー作品募集イベント「黒い砂漠10周年芸術祭」に寄せられた数々のファンアートやスクリーンショットが並んでいた。



別のブースでは、これまでに制作されたグッズが一堂に展示されていた。ぬいぐるみやステーショナリー、ファッション雑貨やコラボグッズのサバ缶まで、さまざまなグッズが彩りを放つ。その背景となるのは、『黒い砂漠』の長い歴史を記した年表だ。冒険者たちは、グッズや年表を見ながら自身の冒険の歴史を懐かしそうに振り返っていた。横のスペースではゲームメディアや声優陣による色紙が飾られ、中心には自由に書き込めるメッセージボードが設置。イベントも中盤にさしかかると、冒険者による愛のこもったメッセージで埋め尽くされていた。


共に歩んだ10年を祝う、冒険者たちの交流の場
イベントを通して印象的だったのは、冒険者たちの和やかな雰囲気だ。会場ではGMと、あるいは冒険者同士での交流を楽しんでいる人を目にすることが多かった。GMは、ステージイベント以外では冒険者とともに会場内に常駐。非常に距離が近く、GMの周りには常に冒険者が集まり、歓談が繰り広げられていた。会話の大きなきっかけとなっていたのが、名刺交換である。GMや冒険者はそれぞれが持つ名刺を差し出し、挨拶を交わすのだ。他の冒険者やGMの名刺を獲得することも「特別依頼書」の項目のひとつであったためか、会場では積極的に名刺交換と挨拶が行われていた。
友人同士で参加している人や、過去のオフラインイベントを通じて顔見知りになった冒険者たちが談笑する様子があちこちで見受けられた一方で、初対面の人同士でも気軽に話している姿が多く見られたのが面白いところ。今回がイベント初参加だという冒険者も少なくなく、中にはゲームを始めて間もないという人もいたが、そうした経験の差に関係なく、皆が自然に打ち解け合って交流を楽しんでいたのが印象深い。かくいう筆者も何人かの冒険者の方に声をかけられ、名刺をいただくこともあった。アトラクションや展示、そしてさまざまな冒険者の方との会話に夢中になっているうちに、いよいよ「黒い砂漠10周年記念生放送」の時間がやってきた。

ステージ前の客席は、配信が始まる前からほぼ満席となっていた。生放送ではまず、『黒い砂漠』のこれまでのアップデートを振り返るトークや、冒険者のエピソード紹介などが行われた。続いて、会場の参加者と生放送を配信で見ている視聴者が同時に楽しめるスペシャルクイズ大会が開催。そして「黒い砂漠10周年芸術祭」の最終結果が発表され、見事な受賞作品が紹介されると、会場は大きな拍手に包まれた。さらにステージには『黒い砂漠』ライブサービス統括担当のチャン・ジェソク氏も登壇。直接ユーザーに向けたメッセージを届けるなど、会場の熱気はさらに高まった。この模様は公式YouTubeでアーカイブ配信されており、当日参加できなかった人も後から楽しめるようになっている。イベントの最後には来場者を対象とした抽選会と集合写真の撮影が行われ、終始温かい雰囲気の中、盛況のうちにイベントは幕を閉じた。

今回のイベントに参加して、運営側と冒険者たちの間で双方向のコミュニケーションが大切にされてきたことを強く感じた。それが長年プレイを続けてきた古参冒険者の心をつなぎとめる一方で、新たに『黒い砂漠』を始めたプレイヤーにとっても参加しやすい開かれた雰囲気を生み出しているのだろう。経験の大小を問わず、すべてのプレイヤーが一様に交流を楽しめる点こそが、『黒い砂漠』の大きな魅力のひとつであるように感じる。
今回のイベントは、『黒い砂漠』のこれまでの歩みを振り返るとともに、その先に続く未来への期待を抱かせてくれる内容であった。ゲーム内では10周年を祝うイベントや大変豪華な報酬が冒険者たちを待っているほか、注目の新作タイトル『紅の砂漠』のリリースも控えている。「黒い砂漠10周年感謝祭」は、これまでの10年とファンに感謝を伝えると同時に、「これからの10年も楽しみにしていてほしい」というメッセージが伝わってくるような、期待の高まるイベントであった。
『黒い砂漠』国内PC版は、Pearl Abyss JPより配信中だ。
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