「何が面白いの…」世界71カ国で1位のNetflix話題作に日本人がピンとこないワケ『アドレセンス』予告編ーNetfilxをスクショ  www.youtube.com/watch?v=2jUY4GXN_e0

2025年3月にNetflixで配信が始まったクライムドラマ「アドレセンス」が話題を呼んでいる。実に世界71カ国で視聴回数1位となり、イギリスでは首相が製作者と懇談するほど社会的影響力を持った。しかし日本では、この視点にまだピンと来る人の方が少ないのかもしれない。なぜだろうか。(フリーライター 鎌田和歌)

「暴力の抑止に役立つ」

イギリスでは中学校で無料視聴

 殺人容疑で逮捕された少年の背景に何があったのか――Netflixで3月から配信されているドラマ「アドレセンス」のテーマをそのように要約すると、昔からフィクションの中で繰り返し描かれてきた主題のように思うだろう。しかし、このドラマがイギリスなど海外で深い関心を持って受け止められているのは、その「背景」に潜むものが限りなく現代的であるからだ。

「アドレセンス」は製作が行われたイギリスでは公開初週に第1話が約650万人、第2話が600万人の視聴者数を獲得し、同国史上最高の視聴記録となったという。また、ドラマが暴力の抑止に役立つ可能性があると国会議員が国会や学校での上映を求め、中学校では無料視聴できることとなったのだそうだ。社会問題を背景とした反響の大きさが伺える。

 一方、日本での反応はどうだろう。公開直後の週に全番組での視聴回数6位となり、これはトップ10中で唯一の英語作品だった。しかし本国・イギリスでのような社会現象になりそうかといえば決してそうではないだろうし、韓国の「イカゲーム」のように若者からの人気を集めることもないだろう。

 日本では社会派ドラマを好むのは一部の人に偏る傾向があり、海外製作ということもあって「アドレセンス」が扱ったテーマを自分の生活(あるいは日本社会)に引きつけて考える人も少数派ではないかと感じる。

 この記事では、本作品を「未成年の容疑者への取り調べの手続き」と「ネットで蔓延するミソジニー(女性嫌悪)の問題」の2つの点から、なるべくネタバレにならないように配慮しつつ掘り下げてみたい。

 筆者個人の感想としては大変面白く視聴したので、日本でも多くの人に見てほしい。「社会派」とカテゴライズしてしまうと敷居が高いと感じる人もいるかもしれないが、4話完結というネトフリの中では比較的短めの作品なので、GWにでもぜひ、というところだ。