「ごめんよ~って駅あるの!?」朝ドラの舞台、“御免与町”が気になって仕方ない【あんぱん第31回レビュー】『あんぱん』第31回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第31回(2025年5月12日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

のぶ(今田美桜)も嵩(北村匠海)も
御免与町に帰ってきた

 第7週のサブタイトルは「海と涙と私と」(演出:橋爪紳一朗)。「酒と泪と男と女」「部屋とYシャツと私」みたいなタイトルである(少し古いか)。

 1937年、夏。のぶ(今田美桜)も嵩(北村匠海)も夏季休暇で御免与町に帰って来た。

 いままでは、駅や町中でやたらとふたりが顔を合わせていたが、一度すれ違うとなかなか会えなくなるものらしくすれ違ってばかり。互いの家も五分くらいしか離れていないのに。

 まず、のぶが帰って来て、それから嵩が健太郎(高橋文哉)を連れて帰って来た。

 健太郎は父親とうまくいっていなくて、実家に帰りづらいのだ。

 そこに迎えに来たのがのぶではなく、メイコ(原菜乃華)である。新鮮。

 そして、新たな登場人物・健太郎によって、御免与町が再認識できるという寸法だ。

 まず「御免与駅」。健太郎が駅に降り立った途端に「おかしか名前ばねえ。駅が謝っとうばい」と率直な感想を述べる。駅のアナウンスが「ごめんよ~ ごめんよ~」に聞こえるわけだ。