木曜日, 5月 15, 2025
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「dito(ディート)」世界各国のビンテージ木型で作るオーダーメイドシューズ



顧客の注文に合わせて作られるオーダーメイド シューズ。大人っぽいファッションのたしなみとして憧れるが、どんなブランドにオーダーをすればいいか迷う人も少なくないのではないだろうか。そこで今回は「dito(ディート)」というブランドを紹介したい。従来のオーダーメイド シューズ ブランドとはひと味違うところや、手がける2人の靴職人、石井 快さんと増渕 文也さんのお話を聞くと、このditoというブランドの魅力に気づいてもらえるだろう。

日本・海外のビンテージ木型を使って靴を作る

ditoの最大の特徴は、日本や海外のビンテージ木型を元に靴を作るというところだ。このような靴作りの方法をとっているブランドは他に見たことがない。まずはditoの靴作りについて詳しく伺っていこう。「ditoをはじめる前からビンテージの木型を集めていまして、アメリカ、イタリア、ドイツ、フランス、日本、イギリスと6ヶ国のものをいまは持っています。数あるオーダーメイド シューズ ブランドの中でも、“国で選んで靴を作る”というブランドがあってもいいのではと思いました。たとえば『イタリアの生地でスーツを作るから、靴もイタリアの木型で作りたい』とか、『アメカジが好きだから、アメリカの木型で靴を作りたい』といった具合にやっていけたらいいなと思っています。現在はアメリカ、イタリア、ドイツの木型のサイズが揃っているのでオーダーが可能です。もちろん、ただビンテージの木型で靴を作るというだけではなく、履き心地のよいものも追求していきたいので、かかとの丸みや、土踏まずのアーチの作りにもこだわっています」パターンオーダー 製作例 ダービーシューズ 143,000円(税込)からイタリア 1953年製の木型パターンオーダー 製作例 サドルシューズ 143,000円(税込)からドイツ Fagus Werk(ファグス工場)製 1960年代の木型パターンオーダー 製作例 ローファー 143,000円(税込)から日本の昭和初期の木型「お客様の足を測定し、どんな靴が好みかをヒアリングさせてもらって、ベースとなる木型とデザイン、使用する革などを決めます。お客様の足に合わせて木型を微調整して、ハンドソーンウェルテッド製法で仕上げます。従来のビスポークシューズですと木型も製作するのですが、ditoではビンテージの木型を使うことで木型代がかからないので、その分お値段もリーズナブルになります」

美術品のような靴が出発点であり目標

このように靴作りに励む2人はどんなキャリアを積んできたのだろうか。ここからは2人が2023年にditoをはじめるまでのお話を伺っていこう。まずは増渕さんからお話ししていただいた。「中学生のときにサッカーをやっていたのですが、プロダクトとして、スパイクが大好きでした。それでシューズデザイナーになりたいと思い、文化服装学院に入りました。靴のデザインだけではなく実際に靴作りに触れ、その面白さを知りました。卒業後は靴関係の会社に勤めるのですが、会社によって靴作りの方法や設計の仕方も個性があるので、3社ほどに勤めパターン製作を中心に一通り学びました。石井とは最後に勤めた会社で出会いました」続いて石井さんが靴職人になるまでのお話も伺っていこう。「私は新橋でサラリーマンをやっていたのですが、休日は靴作りを学べるスクールに通って靴作りの楽しさを覚えました。1年ほど計画を立て会社を辞め、イタリアに移り住み『Mannina(マンニーナ)』というフィレンツェの老舗ブランドの工房で修行をはじめました。最初は本当に作業を見ているだけの日々が続いて、そこからローファーのタッセル製作や完成した靴の磨き、底付の手伝いや木型調整の手伝いなど徐々にやらせてもらえるようになり、3年弱そこで修行しました。帰国後も1年間靴作りの学校に通い、ブーツを作る会社や、増渕と出会ったオーダーメイドの婦人靴の会社にも勤めました」こうして靴職人として経験を重ねてきた2人がditoをはじめたきっかけは、石井さんがアンティークショップで見つけた未完成の片足の靴だったという。引き続き石井さんにお話しいただこう。「アンティークショップで、木型に革が吊り込みされた未完成状態の靴を見つけて、それが未完成のものなのに魅力的に映って、増渕にも見せました。それで2人で『こうしたらもっとかっこよくなるんじゃない』というような話をして、靴作りの工程を切り抜いた履くための靴ではないものを作りたいという思いから、“靴のオブジェ”を作りました。シワのない革が木型にぴったりと沿っているのが、とても美しいと思います。これがditoのはじまりになるのですが、ただこれには値段がついていないんです。こういった芸術的な要素を追求するだけでなく、自分たちの作った靴でお客様に喜んでもらいたいという思いもあったので、オーダーメイド シューズ事業を展開しながら、将来この靴のオブジェが美術品として世に出せるときが来たら出そうと思っています」ditoが作った靴のオブジェ

World Championships of Shoemaking 2024での入賞

毎年ロンドンで開催されている革靴の製作技術を競う世界的なコンテスト、World Championships of Shoemaking(ワールド チャンピオンシップ オブ シューメイキング)に昨年ditoがエントリーし、見事入賞を果たした。そのときのお話と出品した作品について増渕さんに伺った。「2024年のテーマはローファーでした。下から足の甲を通るフルストラップの仕様で、ライトブラウンのレザーを使うという条件があり、その条件の中で参加者はローファーを作るのですが、私たちは“和”をテーマに、神社やお寺といった要素を入れ込んでみました。インソールやヒールの細工にこだわり、側面は“タナ”と呼ばれるエッジが効いたフォルムになっています。先ほどお話しさせていただいた靴のオブジェと感覚が近いのですが、履くというよりは見せるものという感覚で作りました」World Championships of Shoemakingにエントリーしたローファー「アワードのセレモニーでは上位10組のブランドやデザイナーが名前を呼ばれる仕組みになっており、『dito TOKYO』と名前が呼ばれ、入賞を果たしました。優勝を狙っていたので残念な気持ちもありましたが、良い経験になったと思います」セレモニーでditoの名前が呼ばれたときの様子ビンテージの木型、靴のオブジェ、World Championships of Shoemakingでの入賞、そして2人の靴職人の個性など、ditoというブランドを表すキーワードは実に多様で、他にはないオーダーメイド シューズ ブランドだということがわかる。シューズのオーダーは彼らの浅草のアトリエで随時受け付けているが、さまざまなショップに出向いてオーダー会なども不定期に開催している。「まだ行ったことのない街も多いので、機会に恵まれれば、いろいろな街でオーダー会を行いたい」とのことだ。靴をオーダーしてみたいという人は、ぜひ彼らとコンタクトをとってみてはいかがだろうか。浅草にあるditoのアトリエ



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編集部の感想:
「dito(ディート)」のオーダーメイドシューズは、ビンテージ木型を使って個々の好みに合わせた靴を提供するユニークなアプローチが魅力です。靴職人の情熱と技術が詰まった作品は、ファッションに対する新たな視点を提供し、履き心地にも配慮されています。特に世界的なコンペティションでの入賞は、ブランドの実力を証明しており、これからの展開が楽しみです。

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