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概要
この記事では、最近の音楽業界における新人アーティストのプロモーションスタイルについて解説しています。特に、インフルエンサーが自身の事務所を立ち上げ、新人アーティストを「社長」と呼ぶスタイルがもたらす負の影響に焦点を当てています。Z世代やα世代において評価される要素と、アーティストの応援を得るために重要な要素について言及しています。
要約の箇条書き
- インフルエンサーが新人アーティストに「社長」と呼ばせる現象が増えた。
- その構図が視聴者に与える違和感やネガティブな評価の原因を解説。
- 「社長」と呼ばれることは達成感をもたらすが、SNS上での露出が逆効果となる可能性あり。
- 新人アーティストが「社長」の後ろ盾を強調すると、その自主性が疑問視される。
- Z世代・α世代は自然体や等身大を重視し、古い「ピラミッド構造」を嫌う傾向がある。
- アーティストが自分の言葉で物語を語ることが重要。
- インフルエンサーは名前を伏せてバックアップに徹する方が有効。
- 「七光り構造」は逆効果になり得る点も強調。
- 新人アーティストが共感を得るためには、自身の音楽性や成長物語を重視すべき。
最近、人気インフルエンサーが個人事務所を立ち上げ、その事務所に所属した新人アーティストが、SNSやメディア上でそのインフルエンサーを「社長」と呼ぶ場面を目にする機会が増えてきました。
一見、しっかりとした組織体制が整っているようにも見えますが、新人アーティストにとってこの構図は本当にプラスに働くのでしょうか?
ファンや視聴者が感じる違和感や引っかかりの正体について解説します。
ちなみに、僕はYouTubeでも「音楽活動の仕方」や「オーディション解説」、「音楽業界・芸能界への就職活動」など、音楽・芸能を仕事にするためのノウハウを、25年の業界経験をもとにオリジナル動画やライブ配信で解説しています。現在も現役で音楽業界・芸能界に携わっているので、ぜひチャンネル登録して、YouTubeのコンテンツも活用してください。
■CHAPTER 1「社長」と呼ばれることへの憧れと快感
個人で長く苦労を重ねてきたインフルエンサーにとって、事務所を立ち上げ、「社長」と呼ばれるようになるのは、まさに人生の逆転劇とも言える出来事です。その高揚感や達成感を覚えるのは、ごく自然なことでしょう。
とくに、過去にコンプレックスを抱えていた人ほど、「社長」という肩書きによって優越感や承認欲求が満たされやすくなります。
ただし、それをSNSという“見られる場所”で表に出してしまうのは別問題です。権威性や自己顕示欲が透けて見えると、視聴者の共感は一気に冷めてしまいます。
実際、そうした態度は
「痛い」「ダサい」「勘違いしてる」
といったネガティブな評価を招きやすく、思わぬ逆風を生む原因にもなります。
さらに、新人アーティストの背後に「社長」として自分の存在を強調しすぎると、「結局、自分のファンを新人にスライドさせたいだけでは?」という“せこさ”や“ズルさ”が透けて見え、新人アーティストの評価にも悪影響を与えかねません。
結果的に、「あの子プロデュースしたんだ!」と評価されるどころか、
インフルエンサー自身のブランディングにも傷がつくマイナスプロモーションになってしまう危険すらあるのです。
SNSでは、「肩書き」よりも「自然体の人間性」が圧倒的に支持される時代です。どれほど社長であっても、その喜びはそっと胸の内に留めておくくらいが、ちょうどいいのかもしれません。
■CHAPTER 2新人アーティストへの共感が生まれにくくなる
人がアーティストを応援したくなるのは、その音楽や作品に感動したからだけではありません。その背景にある「夢」や「ストーリー」、リアルな成長の軌跡に共感することで、より深くファンになっていきます。
しかし、「社長が育てている」「ブレイクさせる」といった構図が前面に出ると、そこにはやらせ感、売り込み臭、予定調和が漂ってしまい、感情移入が難しくなります。さらに、新人アーティストの投稿内容にも疑念が生まれやすくなります。
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本当に自分で作曲してるの?
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歌詞や曲は全部用意されてるだけじゃない?
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自分の言葉で話してるの?
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一人で頑張ってるように見えない…
たとえ本人が頑張っていても、背後に「社長」の存在感が強すぎると、“自立した存在”として見てもらいにくくなるのです。
これは、親が有名人の二世タレントが「親の七光り」と言われるのと同じ構造。不当な評価をされるだけでなく、純粋なファンがつきにくいという現実もあります。
■CHAPTER 3Z、α世代に響かない“ピラミッド構造”
たとえインフルエンサーを尊敬していたとしても、たとえ良好な関係性があったとしても、新人アーティストが「社長」といった言葉を前面に出すことには、いまのSNS時代ならではのリスクがあります。
特にZ世代・α世代の視聴者は、「自然体」「等身大」「リアルな努力」に価値を感じる傾向が強く、昭和・平成的な「ピラミッド構造」や「育成・管理されている空気感」は、古くさく、時代遅れに見えてしまう恐れがあります。
どれほど影響力のあるインフルエンサーが後ろにいたとしても、アーティスト本人が “自分の言葉”で“自分のリアルな物語”を語れていない限り、共感は生まれにくいのです。
本気で売り出したいなら、「社長」は表に出るべきではない──
もし、インフルエンサーがその新人アーティストを本気で売り出したいと考えているのであれば、自らは完全に裏方に徹し、名前を伏せるくらいのスタンスが理想的です。アーティストの努力や個性が主役として自然に浮かび上がるような見せ方こそが、最終的には本物の支持と成果につながるのです。
むしろ、「どこの事務所にいるのかすら分からない」くらいの方が、音楽や表現に対する純粋な評価が得られやすい場合もあります。
七光り構造は、“逆効果”にもなり得る──
この構造は、「親が有名人の子ども」が直面する状況にも似ています。最初は知名度の恩恵がある一方で、「それって自分の実力じゃないよね?」という目で見られ、正当に評価されにくくなるという弊害があるのです。
✍️まとめ
インフルエンサーが新人アーティストに「社長」と呼ばせる構図は、一見すると華やかで、強力なバックアップ体制のように映ります。しかしその裏には、視聴者が応援しにくくなる落とし穴がいくつも潜んでいます。
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「おごり」や「自己顕示欲」が透けて見え、共感を得られにくい
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新人アーティスト自身のストーリーや魅力がかき消されてしまう
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今のSNS時代の空気感や価値観とズレて見え、時代遅れな印象を与える
本当に応援され、共感されるために大切なのは、「肩書き」や「人脈」を前面に出すことではありません。
必要なのは、新人アーティスト自身の音楽性、言葉、そしてリアルな成長物語です。
事務所に所属する時や、活動を発信していく過程では、「それがどう見えるか?」という視点を常に持ち、慎重に判断することが求められます。
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