通信業界を中心に活躍するライター4人による「スマホ会議(仮)」。今回は2025年に入り、すでに7機種をリリースしたシャオミを中心に話し合っていきます。

SIMフリースマートフォンにFeliCaは必要?

佐藤
 シャオミが、POCO F7シリーズを発売開始しました。これでシャオミは、2025年に入って合計6機種と、ハイペースにスマートフォンを展開していますね。

(編集部注:掲載時点では7機種発売済み)

佐藤

石野氏
 いきなりネガティブな話になってしまいますが、6機種あって、1台もFeliCa搭載がないのはさすがにちょっと気になりました。

石野氏

法林氏
 僕は、それはそれでいいかなと思います。シャオミの話とは別になるけど、最近思うのは、最後にだれがFeliCaのケツを持つのか。個人的には、ティム・クック(Apple CEO)かなと思っている。FeliCaはアップルに頑張ってもらって、Androidは、NFC Type A/B(日本以外で普及している非接触通信規格。Visaタッチ決済などに使われる)で使っていければいいかな。

法林氏

石野氏
 それは、スマートフォンを2台持ちする人の発想じゃないですか? 今のシャオミの立ち位置を考えると、それでもいいのかなとも思いますが。

法林氏
 FeliCaを搭載するためには、認証テストもだし、ハードウェア、ソフトウェアも含め、いろいろな工程が必要になるから、最短でも発売時期が3~4カ月遅れてしまう。仮にiPhoneがアメリカで9月に発表されて、翌年発売となっていたら、ここまで伸びていないはず。

 アップルは、このままFeliCaを継続していくと思うけど、ほかの会社に関しては、搭載できるならするとして、そこまでFeliCaに依存しない仕組みを作っていってもいいと思う。僕は、QRコード決済が使える場所も増えてきたので、最近はiDとかQUICPayをあまり使わなくなってきている。

石野氏
 iDやQUICPayはまだしも、モバイルSuicaが使えないのは、まだ不便ですよ。

石川氏
 それで言うと、関西圏はだいぶクレジットカードのタッチ決済で、電車に乗れるところが増えてきています。関東というか、JR東日本が対応できるか。

石川氏

法林氏
 JRはJR東日本とJR西日本で、トライしている方向に違いを感じる。大阪に行くと、顔パスで改札を通れるテスト環境が置いてあったりする。一方で、高輪ゲートウェイでは、改札をSuicaで通ると、周辺の店舗案内やイベント案内が届くといった取り組みにトライしている。

石野氏
 あの高輪ゲートウェイのアプリは、正直、あまりいらないですよね。

法林氏
 どっちが将来的に必要かという話。

石野氏
 高輪ゲートウェイは、QRコード改札も置いてありますが、まだそのQRコードは使わないとか。

法林氏
 あと、電車に乗るという点にフォーカスすると、スマートフォンをかざして改札を通過するのと、財布からクレジットカードを取り出して通過するので、どっちが安全かというと、まだスマートフォンだと思う。そういう意味でも、Suicaしか使えないと不便なんだけど、NFC(Type A/B)がもっと使えるようになるといいなと思います。

石川氏
 ただ、JR東日本も、脱FeliCaの道を探ろうとはしていて、最初はQRコードかもしれないけど、そのうちUWB(超広帯域無線通信規格。AirTagなどで位置測位に用いられる)なんてのもあり得そう。ここ2~3年とは言いませんが、徐々にFeliCaから脱却していくとは思います。

法林氏
 ユーザー側も、あまりFeliCa依存をしないほうがいいのかなと思う。

石野氏
 とはいえ、東京に住んでいると、厳しくないですか。

佐藤
 現時点では、ないと困るシーンが多いですよね。

法林氏
 Suicaは持っていていいけど、問題はFeliCaですよ。

石野氏
 一応、選択肢としては、Pixel WatchにSuicaを登録するといった方法はありますね。

法林氏
 Pixel Watchは、FeliCaがない端末でモバイルSuicaの登録ができるんだっけ?

石野氏
 新規発行という形であればできたはずです。

佐藤
 AndroidのWatchアプリから登録できたと思います。

石野氏
 そうですね。なので、FeliCa非搭載モデルでも、一応逃げ道はある。それこそ、Xiaomi 15 Ultraのような端末は、FeliCaがなくても、「カメラとして使ってね」という意気込みが感じられていいんですけど、多くの人がメイン端末にしそうなRedmi Note 14 Pro 5Gに非搭載なのは、ちょっとどうなのかなと思います。

法林氏
 去年のモデル(Redmi Note 13 Pro+ 5G)には搭載されていたからね。

石野氏
 それでauから販売されていました。ミッドレンジで、5万円以内に収まって、FeliCaが使えるので、いろいろな人におすすめできる、いい端末という仕上がりでしたが、今年からFeliCaが非搭載になった。2億画素カメラよりも、FeliCaが欲しいとは思ってしまいましたね。

関口
 Xiaomi 15やXiaomi 15 Ultraは、Xiaomi Storeに並べたいという観点もあるし、グローバル発表から、日本で発売するまでの期間も頑張っているので、仕方ないと思えますけどね。

法林氏
 ほかのメーカーに置き換えて考えると、Galaxy Z FoldシリーズでFeliCa非搭載ならわかる。

石野氏
 最初は非搭載でしたからね。

法林氏
 でも、Galaxy S25とか、Galaxy A55 5Gとかに非搭載だと微妙だよね。

石川氏
 メーカーとしては、キャリアが取り扱ってくれないと、あえて自分たちでFeliCaを搭載するより、グローバルの発売時期に近づけて売ることを優先したくなる。ただ、最近のシャオミを見ていると、キャリアも見直すんじゃないかなと思っています。

 Xiaomi Storeの盛況ぶりを見ると、かなりポテンシャルがあるし、それが可視化されたのは大きい。これから先、Xiaomi 15 Ultraのような端末を、どのキャリアが採用するのかが注目。今年の動きとしては、シャオミは面白いかなと思います。

石野氏
 あと、グローバルモデルになると、日本で売れなくても、余っても最悪、台湾や韓国で売ることができる。在庫の流動性が高くなるので、Xiaomi 15やXiaomi 15 Ultra、POCOも含めて、小ロットになっていると思います。

法林氏
 Xiaomi 15のリキッドシルバーは、在庫が少ないもんね。

石野氏
 Xiaomi 15 Ultraも、最初はシルバークロームが売り切れていました。1台でボリュームをとるよりも、広く薄くとるほうに、戦略をシフトしているように見えます。

 ただ、FeliCaの話もそうですが、ミッドレンジモデルを、キャリアから安く販売していたりするので、過去モデルを使っている人も多い。もう少し、先々のロードマップを明確にするとか、「このシリーズはFeliCaを搭載する」とかをはっきりと示して、ユーザーを安心させてほしいなと思います。

法林氏
 キャリア採用は難しいよね。今の方針だと、ドコモでは採用しないし、KDDIはauで採用したし、au +1 collectionでも採用した実績があるけど、在庫を抱えたくないという考えをひしひしと感じる。ソフトバンクがどう動くかだよね。

石川氏
 メーカーから話を聞いていると、キャリアがますます端末を調達したくないという方向に進んでいることがわかる。iPhoneとPixelでいいじゃんという考えが見えます。

関口
 石野さんのお話のように、SIMフリーモデルは、日本だけでなく周辺地域を含めて在庫を抱えて、キャリア採用されるモデルは、カスタマイズしていくという形になりますかね。

石野氏
 そうですね。Xiaomi Tシリーズは、ソフトバンクが数年間採用していますが、ここまでSIMフリーモデルを大量に出されると、先々が分からなくなります。キャリア採用はもうやめてしまうのかなという不安も出てくる。

 そうなると、ソフトバンクの新トクするサポート(プレミアム)とかで契約して、端末を1年間で返却したときに、乗り換え先に同じシリーズの端末がない可能性が出てきます。このあたりは、ユーザーフレンドリーじゃないですよね。

法林氏
 そういう意味で考えると、FeliCaが搭載されている端末は、シャオミにとって大切だよね。これがなくなると、シャオミがまた『知らない海外メーカー』という立ち位置に戻りかねない。

メーカーが自社ショップを展開する意義とは

関口
 SIMフリーモデルという意味では、石川さんのXiaomi 14 Ultraを修理した記事で拝見しましたが、やっぱり修理費がかさむなと思ってしまいました。

法林氏
 でも、補償サービスなしで3万8230円でカメラの交換ができるなら、安いんじゃない?

関口
 そうなんですけど、保証を考えるなら、キャリアで買いたい気持ちも出てきます。

法林氏
 個人的に、補償サービスは入ったほうがいいと思う。特に折りたたみ端末みたいな高価なモデルはそう。ただ、アップルのAppleCare+は、それなりに高いよね。

石川氏
 AppleCare+は高いですけど、盗まれた時のサポートとかはすごいですよ。すぐに新品が届きます。

法林氏
 でも、iPhone 16 Proとかだと、月々1740円もする。1つ思うのは、2年契約にして、使わなかったら、ちょっとくらい返金してくれてもいいよね。AppleCare+も2年で契約して、1年で解約すると、残り1年分に近い金額が返金される。

石野氏
 AppleCare+は、一括契約がなくなってしまいましたけどね。

法林氏
 シャオミで言うと、Xiaomi 15 Ultraとかは、保証サービスをつけるって言っていたよね。

石野氏
 あと、ソフトバンク扱いのモデルは、iCrackedで、その場で直してくれたりします。Xiaomi Storeで、修理サービスとかもやってほしいですね。

石川氏
 Xiaomi Storeは(運営側が)アプリからリアルタイムに売り上げが確認できたり、カメラでお客さんの導線が確認できたりする。ユーザーが何を求めているとか、何を買っているかがわかるとなると、ショップを持つ強みは改めて感じます。

法林氏
 今までのメーカーのやり方だと、製品を「供給する」になっているけど、シャオミは「販売する」になっていて、意味合いが違う。

関口
 今回の店舗運営は、シャオミ・ジャパンの組織内ではなくて、本社直結らしいですね。

石川氏
 それはサムスンにはできなかったことなので、今後期待できますよね。Galaxy Harajukuができたころには、SIMフリーモデルがなかったといった時代背景もありますが。

石野氏
 ショップは本当にびっくりしたというか、こんなにシャオミのファンがいるのかって、ちょっとびっくりしましたね。

石川氏
 大阪から来ている人もいたらしい。

石野氏
 お店の入り口から、数百メートル並んでいましたからね。

佐藤
 取材するのが大変なくらいの大盛況でした。

石野氏
 見た目で判断するのもおかしいですけど、ファミリー層とかも並んでいましたからね。

法林氏
 今までのメーカーと違うのは、家電があるというところ。イオンモールのチラシにも掲載されていたはず。

石川氏
 あと、中国のSNSでもバズったみたいで、在日の人たちも来ていたらしいです。

関口
 そういう意味では、浦和美園や川口という立地もよかったかもしれませんね。

石野氏
 ただ、浦和美園と川口って、2店舗間が近すぎませんか。

関口
 店舗の空き具合の兼ね合いもあるみたいですけどね。

石川氏
 理想は都心に1店舗あって、カメラ教室とか、イベントとかができるといいですよね。

法林氏
 日本にブランドを浸透させていくことを考えると、東京以外でどこまで勝負をできるか。関西や福岡、札幌とかに、この規模の店舗ができると、面白くなってくる。

石川氏
 そういう意味では、初日にあれだけ人を集めたので、イオンモールからかなり評価されているはず。問題は、店舗スタッフをどう教育するのか。最新スマートフォンから、エアフライヤーまでの知識が必要なので、難しいですよね。

法林氏
 店舗を拡げるのは、Galaxyより製品数が多い分、手間はかかる。地方でできないと、勝ち抜くのは厳しいと思うけどね。サムスンは、キャラバンで全国を周ったり、ポップアップを各地でやっている。ポップアップで実機を見て、キャリアショップに行く人も多いらしい。

 イオンモール浦和美園には、4キャリアのショップが入っているので、そこが連携してくれるといいよね。

石野氏
 ソフトバンクはやりそうですよね。端末をXiaomi Storeで購入して、そのままソフトバンクショップでSIMの契約をすれば、ポイント還元をするとかはありそう。

石川氏
 それで言うとイオンは強いよね。あと、アップル製品を専門で取り扱っている店舗もあるので、真剣勝負してくれると面白い。



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