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概要
この記事は、社内コミュニティの運営に関する経験について書かれたもので、特にオリジナルの学習コンテンツを作成するプロセスに焦点を当てています。著者は、社員同士が助け合う関係を育むためのデザインを考え、各メンバーが役割分担しながら協力してコンテンツを作り上げました。最終的に、自分たちの業務に役立つ実践的な学習資料を完成させ、メンバーからのフィードバックを受けて進化させていく過程が描かれています。
要約
- 社内学習コミュニティを立ち上げた経験をシェアする連載。
- 目的は、社員同士が助け合える関係性を築くこと。
- 4つの役割を設定:
- 企画係:楽しいイベントを考案。
- 広報:活動内容の発信。
- 学習コンテンツ作成:独自コンテンツの制作。
- 運営係:達成時のご褒美準備。
- オリジナルコンテンツ制作の決定には、自社に関連する課題を使う利点を重視。
- 参加者全員が楽しめる環境づくりを心掛け、学びを共有する場を提供。
- 完成した学習コンテンツは社内で公開され、大歓迎を受けた。
この連載では、私が社内学習コミュニティを立ち上げ、試行錯誤しながら学んできた経験をシェアします。さまざまな壁にぶつかりながら得た学びや、その過程で感じたことを振り返りつつお伝えしていきます。
これらの経験が、私にとっていかに大切なものであったか、そしてそれらが今、私の考え方や行動にどのように影響を与えているのかを知ってもらえたら嬉しいです。
あなたにとっても役立つヒントや気づきを得るきっかけとなることを願って。
前回のおはなし
デザインのための4つの役割
2023年12月、私は、学習コミュニティ活性化のためのデザインをしました。デザインの目的は、「みんなで助け合えるような関係性を育めるような場づくりをすること」。そのデザインを実現させるために4つの役割を考えて、それぞれを分担して担ってもらうことでこのデザインを完成させようと試みていました。
役割は4つです。
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企画係
とにかく楽しいイベントを考える係。 -
広報
社内ポータルサイトや、社内報に私達の活動内容を発信する係。 -
学習コンテンツ作成
オリジナルの学習コンテンツを作成する係。 -
運営係
学習コンテンツをクリアした時のプチプレゼントを用意して贈ってお祝いする係。
オリジナルの学習コンテンツを作るわよ。
みんなで一つのことに取り組む一体感を醸成するために、一緒に手を動かすものが必要でした。もちろん、世界にはすでにたくさんの情報があったし、どこかの誰かが作ったものを寄せ集めてコンテンツとしてしまう方法ももちろんありました。でも私は、自分たちで作るということを全く迷いなく決断していました。
自分たちで作る以上に最高の選択肢がないとわかっていたような気がします。多分ですが、こんなようなことを考えていたと思います。
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既存の情報を集めて再利用することも、選択肢のひとつと考えてはいましたが、世界に死ぬほどある情報を整理しなおして構築しなおすとなると、それは編集がメインの作業になるだろうと思いました。つまり、編集方針を決めなければなりません。
ところが私には、「編集方針を描くことでみんなの気持ちを一つにまとめる」方法が全然イメージできませんでした。みんなが集めてきた情報におぼれて方向性を見失う未来しか見えなかったので、この方法は私には合わない、少なくとも7月までに形にできる自信がありませんでした。 -
一方で、オリジナルで作る方法は、うちの会社でやっている実際の業務で、本当に役に立っているという裏付けのある説得力の高い課題が作れるなと思ったし、「実際に業務で使ってるよ」という情報は、挑戦する人たちへの励ましのメッセージにもなりうると思いました。
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また、作成への協力を募ってくれたメンバーというのは私が今までに直接指導していたメンバーが多数であったため、習得レベルが非常に近いことを知っていました。
なので、このメンバーで一緒に「これ業務で使ってる」っていうナマの声交換ができるというのは、絶対に彼女たちにとってものすごく良い時間になるという確信がありました。 -
最後の一押しとして、「自分たちで作ったものなら教えられる可能性がグッと上がるだろう」と見立てました。
デザインの目的である「みんなで助け合えるような関係性を育めるような場づくりをすること」のコンセプト実現のために、情報を発信できる人が私以外に絶対的に必要でした。
今だからこんな風に言語化できるのですが、当時は本当に直感で、疑いなくもうこのやり方しかないという気持ちで「自分たちで作ろ!」と呼び掛けていました。
めざすゴールについての意識を合わせる
繁忙期明けの5月くらいからはじめて、7月頃にはお披露目したいね。
という感じで計画を立てました。
とはいえ業務の合間にやるものなので、絶対に個人に負担をかけるようなやり方をしたくありませんでした。誰も犠牲にしたくなかったので。
まずは、最終的なアウトプットに関して認識を合わせました。
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A4サイズに2枚で収まる程度のボリューム感であること
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それぞれの課題に「正解」はない。
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「正解」はないから、緻密な業務仕様の定義は不要、課題の内容は数行で表現できればいい。受け手の業務解釈がめちゃめちゃ入っちゃってもいいくらいの余白を残すくらいの課題でOKとしちゃう。
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図とか、過剰なヒントは不要。やる人が「できた!」って思ってもらえればそれで大成功。
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めちゃめちゃすごいものを作ろうとしないこと。「こっちで想定してたアウトプットじゃない!?でもそれも良きかな👍」くらいの余白があって全然OK。
こんな感じで月に1~2回ほど、お昼休みに集合しての学習コンテンツが始まりました。
作ってみる
実際に自分が業務で使っているものを挙げ連ねてもらい、それらの情報を私が集約し、テーマ分けしました。
うろ覚えですが、あがったテーマはこんな感じで10個程度あったかと思います。
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チャットに関するテーマ
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Formsを使うテーマ
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メールに関するテーマ
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SharePoint上のExcelに関するテーマ
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SharePoint上のWordに関するテーマ
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SharePoint上でのファイル操作に関するテーマ
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BOX(ファイルストレージサービス)に関するテーマ
これらのテーマをそれぞれ手上げで担当してもらい、各テーマに沿ったシンプルな課題をメンバーに作ってもらいました。
整える
メンバーに作ってもらった内容を私の方で並び替えて、難易度の低いものや、業務応用の可能性が高いものを最初に持ってくるように並び変えて初版が完成しました。
初版完成後は、メンバーにて実際に取り組んでトライアルしてみて、お互いにフィードバックをし合いました。当時のドキュメントを見直すと、メンバーたちからたくさんのフィードバックがコメントとして残されています。「実際にやってみてここで詰まったから、ヒントが1文あるといいかも」「これは実業務で推奨されていない行動になっちゃって作業リスクがあがるから、この問題はなくてもいいかもしれないね。」「この表現悩むよねー」>「わかるー」
「こんなことできるの知らなかった…」>「私も。今回リファレンス読んでみてはじめて知った」。
当時やり取りしていたチャットのメッセージにこんなやり取りも残っていました。「楽しすぎてトライアルする手が止まらない…そろそろ本当の仕事しないと…いやでもこれも仕事みたいなとこもあるし…たのし…」
「はやくみんなに公開したいね」
伝わっていると嬉しいのですが、参加者が全員楽しめている状態だったんです。でもたぶん、私が一番楽しんでいたと思います。「みんなのために宿題を作ってあげる」というモチベーションにすり替わってもおかしくないような活動だったのですが、私から見ると全くそんなことなく、「自分が楽しい、だから、みんなもこれ使って楽しくなってほしい」という場になっていました。
(これも後々気付いたのですが。)
完成!
みんなのフィードバックが反映され、仕上げに私が最後の課題をつくりました。『卒業課題:自分の実務で使えるフローをひとつ作成してください。
ここまでの課題で作成したものをそのまま転用しても構いません。』
2024年の6月末。
夏休み前にみんなに公開できるようにしたいとみんなで話していたのですが、みんなの力でこうして順調に課題は完成し、学習コンテンツは学習コミュニティ内に公開され、他のメンバー全員から「待っていました!」と大歓迎を受けたのでした。
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