8日、世界を驚かせたオオカミの赤ちゃんを巡る衝撃のニュース。
早速、賛否が巻き起こっています。

9日のテーマは「ゲノム編集で絶滅オオカミを“復元”?」です。

先日、アメリカの企業「Colossal Biosciences(コロッサル・バイオサイエンス)」が、約1万3000年前に絶滅したダイアウルフを復元することに成功したと発表しました。

SFのような話ですが、街の人からは「すごいですね。今は化石になっている恐竜とか、生き返らせることができるかも。『ジュラシック・パーク』みたい」「こういうの(生物)がいたんだなと見られるのはロマン」「(Q.どんな生き物が見たい?)生き物?カッパ。絶滅していて見たいのは、空を飛ぶ恐竜」といった声が聞かれました。

使われた技術は「ゲノム編集」。
生物が持つゲノム、つまりDNAの特定の配列を組み替えるもので、具体的には次のように行ったそうです。

コロッサル社によりますと、ダイアウルフの歯や頭蓋骨の化石からDNAのサンプルを取り出し、遺伝子情報を解析。
現在生息していて、遺伝子的に最も近いハイイロオオカミの細胞にダイアウルフの遺伝子の特徴をゲノム編集で組み込みました。

その結果、ダイアウルフの特徴を持つ赤ちゃんが誕生したというんです。

誕生したオオカミは、生後3カ月~6カ月の3匹。
アメリカ国内の保護区で育てられています。

コロッサル社は「化学、自然保護、そして人類にとって大きな節目」と意義を強調しました。

イーロン・マスク氏も、Xで「ケナガマンモスのミニチュアペットを作って」と反応しています。

実はコロッサル社、約4000年前に絶滅したマンモスのように毛むくじゃらなマウスを誕生させたこともすでに発表しています。

ゲノム編集によって、ウェーブした金色の毛や寒冷地を生き抜くための脂肪代謝を再現したといいます。

SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
すごいですね。僕もマンモスとかオオカミとかサーベルタイガーとか見てみたいですけど、技術の進歩が速いとはいえ、倫理とか道徳、哲学の進歩が遅いんです。できるようになったほうがいいんですけど、やるべきかどうかはじっくり議論したいです。

街の人にも聞いてみましたが、「『夢がある』といえばあるが、自然の摂理でなくなったものはそのままにしておいた方がいい」「世の中は自然のもの(摂理)でめぐりめぐっている。絶滅したものは、見てはみたいが必要ではない。世の中がおかしくなると思う。(環境など合わず)よみがえったところで長生きできないし、かわいそう」といった声が聞かれました。

さらに、SNSでも「すごいんだろうけど、倫理的にどうなの?」「未来の生態系に影響を与えるんじゃない?」「人間が神の領域に踏み込んでいいんだろうか」という意見が。

ゲノム編集や遺伝子研究に詳しい近畿大学先端技術総合研究所の加藤博己教授は、「あくまでも外見的にダイアウルフに近くなるようにハイイロオオカミの遺伝子を換えた。ゲノム編集によってゲノムを換えた事が今回の報告だと思う。これをダイアウルフの復活だということは言い過ぎだと思います」と話し、他にも「例えば自然の中に放すことができるかというと、放すことはできないと思う。自然の中で『遺伝子の汚染』という言い方になるのでできない。一生涯、人間の管理下で過ごすことになる。生命倫理や動物福祉、そういったことを色々考慮に入れないといけない」と問題点を指摘しました。

すでに食品や衣料など、幅広い分野でも活用されているゲノム編集ですが、技術の発展で、人類は新しい悩みまで手にしてしまったのかもしれません。

FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/

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