UiPath株式会社は16日、エージェンティックオートメーションを活用したUiPathの新製品について説明会を開催した。
UiPathのエージェンティックオートメーション関連製品
UiPath プロダクトマーケティング部 部長の夏目健氏によると、同社が提供するエージェンティックオートメーション関連製品は、エージェンティックオーケストレーションを支える「UiPath Maestro」、エージェンティックソフトウェアテストを実現する「UiPath TestCloud」、インテリジェントドキュメント処理を実行する「UiPath IXP」の3点だ。UiPath TestCloudは、すでに4月14日に正式に発表され、日本市場でも提供を開始している。ここでは、5月以降に提供開始予定のUiPath MaestroとUiPath IXPを紹介する。
UiPath プロダクトマーケティング部 部長 夏目健氏
UiPath Maestroは、AIエージェント、ロボット、人間などの各種自動化要素をオーケストレーションして一元管理するプラットフォーム。エージェンティックオートメーションをユーザーの業務プロセスに効果的に組み込む際に役立つという。
夏目氏は、UiPath Maestroの具体的な機能について、「モデル化から実装、運用、監視、最適化まで、業務プロセス全体をサポートすることだ」と説明する。
UiPath Maestro
モデル化では、業界標準であるBPMN（業務プロセスモデリング表記法）を利用して、エージェンティックプロセスを設計する。実装段階では、モデル化した業務フローに基づき、RPA、人間のチェックを取り入れたヒューマンインザループ（HITL）、API、エージェントタスクを統合し、UiPathプラットフォーム上で実行可能な状態にする。
運用においては、実装したプロセスを実行し、リアルタイムで状況を把握、問題が発生した場合には改善措置を講じる。監視部分では、AIソリューションに伴う不確実性を考慮し、BPMNモデルに統合された分析機能で過去のインスタンス実行を把握する。
そして最適化では、自動化による業務効率化の達成度を確認し、業務の変化や標準プロセスからの逸脱などを分析することで、継続的な業務改善を実現する。
UiPath Maestroの提供する価値について、夏目氏は「制御された自律性」「ベンダー依存がないこと」「プロセスの実行制御」「継続的なプロセス最適化」を挙げる。
制御された自律性は、人が設計した業務フローやルールの枠組みの中で、AIやRPAエージェントが自律的に動くようにすることで実現する。また、人によるチェックや例外対応も組み込むことで、実務に活用できる仕組みを提供する。
ベンダー依存がないのは、UiPathのプラットフォームがオープンであり、RPAやAIエージェントを通じて多様なアプリケーションやシステムにアクセス可能となるためだ。他社のAIエージェントも呼び出すことができるため、日常業務で使用する幅広いアプリケーションに対応した自動化を実現する。
プロセスの実行制御は、実際に稼働している自動化の状況を監視して管理し、必要に応じて問題を修正することだ。この仕組みにより、安心して利用できる自動化プロセスへと昇格することを目指す。
継続的なプロセス最適化は、エージェント、人、オートメーションを含む全体的な業務プロセスを可視化し、継続的に改善することを意味する。UiPath Maestroの機能を基盤とし、AIによる分析やレコメンド機能を活用し、業務分析を支援するという。
UiPath Maestroの提供する価値
もうひとつのエージェンティックオートメーションソリューションとなるUiPath IXP（Intelligent Xtraction ＆ Processing）は、メールなどのコミュニケーションデータを分析して自動化する「UiPath Communications Mining」と、さまざまな種類のドキュメントを分類して抽出する「UiPath Document Understanding」を統合した新製品だ。
UiPath IXP
UiPath プロダクトマーケティングマネージャーの山崎麟太郎氏は、UiPath IXPについて、「2つの製品の評価やデプロイメントなどの体験を統一し、ひとつのオートメーションプラットフォームとして利便性を向上させる目的がある」と、製品統合について語る。
山崎氏は、UiPath IXPの象徴的な機能として、生成AIを活用した非定型ドキュメントの読み取り機能を挙げる。「世の中には多様な非定型ドキュメントが存在するが、OCRでは解決できない課題がいまだ存在する。それが、IXPの生成AIによる新機能で、非定型ドキュメントを簡単に読み取ることが可能になる」（山崎氏）という。
この機能は、単に生成AIに画像を投げて情報を抽出するだけでなく、UiPath独自の技術と、本番運用を見据えたさまざまな工夫を実装してエンタープライズ向けに最適化。生成AIをエンタープライズ環境で利用する際の最大の課題であるハルシネーションについても対策が施されている。「モデル構築や評価の仕組み、信頼度の算出など、幅広い観点から機能を実装し、企業が安心して利用できる信頼性の高いソリューションを提供する」と山崎氏は述べている。
UiPath プロダクトマーケティングマネージャー 山崎麟太郎氏
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