🧠 あらすじと概要:
あらすじ
「TENET」は、未来からやってきた勢力と戦う無名の主人公が、世界を滅ぼそうとする武器やアルゴリズムに立ち向かう物語です。未来では、資源が枯渇し、時間を逆行できる技術が開発され、自らの祖先を滅ぼそうとする人々が存在します。主人公は、未来人たちの計画を阻止するために様々な困難に立ち向かいますが、その構造は非常に複雑で、情報が徐々に明かされるため、観客は適応しながら観る必要があります。
記事の要約
この記事では、クリストファー・ノーラン監督の映画「TENET」に対する感想が述べられています。著者は、映画を何度見ても理解するのが難しいと感じつつも、その魅力に引き込まれています。特に、逆行する時間の設定や登場人物の複雑な関係が印象的で、独特の映像体験を提供しています。主人公や重要なキャラクターの性格や背景についても深く掘り下げ、感情的な要素やアクションシーンのバランスが取れた作品であると評価しています。また、ノーラン監督の次回作についての期待も述べられています。
クリストファー・ノーラン監督の映画が好きです。
初めて観たのは「インターステラー」。リバイバル上映されていたのを、映画館でIMAXで見て衝撃を受けました。話は滅亡が近い地球を飛び出し、次世代のために移住できる星を探す旅に出る探索者を描いたもので、地球に残された娘と、旅に出た父親の関係性もとても丁寧に描かれています。星によって時間の進みが違うので、数分の滞在が地球時間では何年もだったりするという残酷な現実も匠に脚本に活かされています。
IMAXだから音質も映像もとても良いのですが、それを活かせるだけのスケールの大きいシーンの連続で、様々な星の造形に自分も彼らと一緒に未知の宇宙空間にいるかのようなそんな没入感を味わえる映像体験でした。
そして、そのインターステラーの最後に次回作の冒頭シーンの紹介があり、それが「TENET」でした。はじめの劇場のシーンでの低弦の深く響き渡る音とか、テロを仕掛ける武装勢力と治安当局の戦闘など、カメラワークや重厚な音楽に一気に引き込まれました。もちろん公開後にIMAXで観に行きました。とても良かった…話は全然わからなかったけど、良かった…。
久々にまた配信で見る機会があったのでせっかくなので感想を書き留めて置きます。
TENETってどんな話?
TENETは世界を滅ぼそうとする未来人の勢力と戦う話です。資源を使い尽くし、荒廃した未来の地球では、時を逆上ることができるマシーンが開発され、また世界を滅ぼすアルゴリズムと呼ばれる武器も開発されます。未来人の一部は地球環境を破壊した自分たちの祖先を恨み、祖先を滅ぼすために未来から過去に武器を送り込み、さらには過去の人間も自分たちの勢力に引き込み目的のために操ります。祖先を殺したら自分たちは存在するのか?というパラドクスを未来人たちは無視し、どうでも良いという考えのようです。名も無き主人公は世界を救うためにその勢力と戦うのです。
でも、こんな順序立てた説明は映画の中で全くありません。登場人物の台詞から少しずつ情報が集まり全容が見えてくる構成になっています。さらには未来の様子をイメージで見せたりすることもないので想像を働かせる必要があります。
逆行の設定が面白い
タイムマシーンというのは、過去のとある地点に戻ってそこから再スタートできるようなイメージがありますが、この映画では全く違います。文字通り、時を遡る必要があります。5分前の時間に戻りたかったら、特殊な逆行マシーンを通ったあと、マイナス5分間をビデオを巻き戻ししたような世界で過ごす必要があります。鳥は後ろに向かって飛び、波も風もすべてが逆。人の話すことばも逆さまに聞こえます。また、火を付けると逆に凍ってしまいます。(こんな設定、ジョジョのエピソードでも無かったでしたっけ)
その逆行した中でも、時間通り時を進める相手との駆け引きや戦いが起こったりするので、見ていると訳が分からなくなります。いろいろな考察を読んで「分かった!」となるのですが、もう一度本編を見るとやっぱり「なるほど分からん。」となります。それでも何度目か見て、以前よりは分かって来た気がする…けど、やっぱりカーアクションのシーンとか永遠に分からない気がする。
登場人物たち
名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)主人公を演じるのはデンゼル・ワシントンのご子息。彼は軍の特殊部隊などで訓練を受けたと思われる精鋭で、スパイ活動をしているよう。その中で未来人との戦いに巻き込まれていきます。
彼の魅力は、涙と誠実さでしょう。彼は主人公としては珍しく涙を見せるのです。海外の映画で強い男性の主人公が泣く場面というのはほとんど見ない気がします。さらには、テロに巻き込まれた、大勢の観客を救うために任務の範囲外なのに尽力する姿も見せます。この名もなき主人公は、映画の最初と最後で涙を見せるのですが、何度か見て話の理解が進むと、それを驚きではなく共感を持って受け止められるようになりました。(1回目よりも2回目以降の方が見ていて泣けてしまうと思います。1回目は展開についていくので精一杯でした)
セイター (ケネス・ブラナー)
未来人と契約を結び、未来からの情報を使って巨万の富を得た実業家であり、武器商人。彼は小柄ながら(周りの役者さんが高身長なのでそう見えるだけなのですが)、眼光が鋭く存在感と威圧感が凄まじい。それとロシア語なまりの英語が怖い。彼の存在そのものが暴力的で、彼がスクリーンに出てくると緊張感が走り、底しれぬ恐怖を感じます。
キャット (エリザベス・デビッキ)悪役セイターの妻。美術の鑑定士。主人公と会うまでの彼女の生き方は正直あまり同情も共感が出来なかったです。伯爵の家系であることや夫の莫大な資産があってこその現在の結婚生活。成り上がりのセイターは社交界での地位を得るために彼女と結婚したよう。名もなき主人公が高級なスーツに身を固めているのを見分不相応と見下すあたり、ひしひしと彼女の階級意識とプライドの高さを感じました。友人を痛めつけられ、息子を盾にとられて夫のセイターから逃げられないことに絶望しているけれど、武器商人で、裏社会ともつながりのあるセイターを選んで結婚したのは彼女では…とも思ったり。でも一度やり直そうと思ったことはあるというから情が全く無い訳ではないよう。一方でセーリング中に夫を事故に見せかけて殺そうとしたり。愛憎は表裏一体だななどと思うのでした。
この女優さんが美しすぎて、紅色のセットアップのスーツの着こなしに惚れ惚れしました。
ニール (ロバート・パティンソン)ハリー・ポッターの炎のゴブレットでセドリック役を演じ、トワイライトで美しい吸血鬼を演じていたロバート・ パティンソンが、また違った魅力を見せてくれています。彼は謎大き人物なのですが、名もなき主人公の助っ人として現れ共に戦います。やがて彼がどこから来たのか、誰の命を受けているのか終盤で明らかになるのですが、色々な辻褄があった時、彼の生きてきた人生の過酷さを思うとたまらなく切ない気持ちになります。
彼の髪色と、リュックに付けたコインの意味を踏まえて映画を見ると、また違ったストーリーが見えて来ます。
TENETの好きなところ
TENETは壮大なサイエンス・フィクションで難しい物理の話も多いけど、クスっと笑えるところもあるし、上流階級のおしゃれな服装の着こなしも垣間見れたり、かと思えば激しいアクションや戦闘シーンもあるし、時を越えた厚い友情に涙することもあり、終始目が離せない見応えのある作品です。見るたびに発見があって、考察が楽しく、何度も反芻したくなる。どうやったらあんなすごい物語と構想を描けるんだろう。
ノーラン監督の新作
TENETの後は、昨年「オッペンハイマー」も観ました。原爆の開発をテーマにした話なので、一言では感想が述べられない様な作品でした。
現在は、神話アクション「オデュッセイア」を撮影中なのだとか。スパイダーマンで共演してるトム・ホランドとゼンデイヤが出るし、アン・ハサウェイにマット・デイモン、ロバート・パティンソンも!豪華キャストだなぁ。公開が今から待ち遠しいです。
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