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概要
この記事では、SoFiが2030年までに会員数を5,000万人にする目標に基づいて、売上、Adjusted EBITDA、1株あたりの利益(EPS)の予測が示されています。この予測は、会員1人あたりの契約数の増加を前提にしており、成長へのリスクも考慮されています。
要約
- 会員数目標: SoFiは2030年に会員数を5,000万人にする目標を設定。
- 契約数の予測: 各会員が平均3契約保有する場合、2030年末の契約数は1.5億。
- 売上構成:
- ローン事業:750万契約、売上60億ドル。
- 金融サービス事業:1億4,250万アカウント、売上285億ドル。
- 総売上予測:340億ドル(社内取引や調整項目を考慮)。
- Adjusted EBITDA: 2030年の予測は100億ドル。
- EPS予測: 2030年のAdjusted EPSは約2.8ドル、株式希薄化を考慮。
- リスク要因: 会員あたりの契約数の横ばいが続く場合、売上が減少する可能性。
- 市場状況: 現在の株価は約13ドル、2030年の予想EPSに基づくPERは約4倍。
記事は、SoFiの今後の業績や戦略についての定期的なアップデートを予告している。
前編では「2030年会員数5,000万人」までの道のりを探り、大まかな売上予測を出した。今回は改めて売上予測とともに、Adjusted EBITDA・1株あたりの利益(EPS)も予測したい。
※Adjusted EBITDA:企業の本業による収益力を示す指標で、利払い、税金、減価償却費、一時コスト(株式報酬や買収関連費用など)を除いた利益。日本の「営業利益」に近い性質を持つ
※以下は「数あるシナリオの一つにしか過ぎない」ことはあらかじめご了承ください。
【売上予測(ローン事業・金融サービス事業)②】
「5,000万人の会員が平均3契約(アカウント)を保有する」というCEO Anthony Notoの目標が実現できれば、2030年末の契約(アカウント)数は1.5億となる。(2025年第1四半期末時点で1,592万件のため、10倍近くの契約(アカウント)数が必要となる。)
現在の契約(アカウント)数の内訳をみると、金融サービスのアカウント数の伸びが著しく、金融サービスが全契約(アカウント)数に占める割合は2025年第1四半期時点で87%であることから、その87%は2030年末時点で95%になると仮定する。
※契約(アカウント)数:ローン事業における融資契約数に加え、金融サービス事業における「預金」「投資」などの口座数やアカウント数、クレジットカードの発行枚数などを合算した数値。たとえば、1人の会員がローン1件、預金口座1件、投資口座1件を持っていれば、契約(アカウント)数は3。
そうすると、2030年末時点の契約(アカウント)数の内訳は以下となる。
・ローン事業における契約数:750万
・金融サービス事業におけるアカウント数:1億4,250万
現在の1契約(アカウント)あたりの四半期売上はローン事業194ドル、金融サービス事業22ドルとなっている。
ここから、2030年の1契約(アカウント)あたりの売上は、ローン事業はおおむね横ばいのため200ドルとし、金融サービス事業は右肩上がりで推移しているため50ドルとする。(このあたりは感覚的なもので、あくまで参考値である。)
上記前提に基づくと、各事業における2030年の売上は以下となる。
・ローン事業:750万契約×200ドル×4=60億ドル
・金融サービス事業:1億4,250万アカウント×50ドル×4=285億ドル※四半期売上を1年換算するため「×4」としている
売上合計:345億ドル
【売上予測(技術プラットフォーム事業)】
技術プラットフォーム事業の2030年の売上予測は、【SoFi「2026年EPSガイダンスの達成が見えた!?」-後編-】で見たように、2026年以降の成長率は加速するように思うため、15%とすると、2030年末の売上は約9億ドルとなる。
よって、売上を合計すると354億ドルとなるが、各事業セグメントに含まれる社内取引や調整項目5%とし、各事業の売上合計から差し引くと、340億ドルが2030年の売上となる。
【Adjusted EBITDA予測】
SoFiの長期利益率目標30%をあてはめ、Adjusted EBITDA100億ドルとする。
【Adjusted EPS】
2030年のAdjusted EBITDA100億ドルは、【SoFi「2026年EPSガイダンスの達成が見えた!?」-後編-】で算出した以下2026年のAdjusted EBITDA 15.8億ドルの約6.3倍となる。Adjusted EPSも同様にスケールすると仮定すれば3.5ドル(0.56×6.3)。そして、ここから株式希薄化を約20%織り込むとすれば、2030年のAdjusted EPSは2.8ドル程度となる。
上記試算には様々な前提があるため、精緻な予測はできないが、会員数5,000万人、会員あたりの平均契約(アカウント)数が3(現在の約2倍)になった場合、ざっくりとEPSは3ドル前後となった。
現在の株価は約13ドルのため、2030年の予想EPSに基づくとPERはざっくり4倍程度となる。
【成長シナリオのリスク】
もっとも、現時点ではこれは「絵に描いた餅」にしかすぎない。すぐに思い浮かぶ懸念点の一例として、1会員あたりの契約(アカウント)数が長らく横ばいということがあげられる。
これがCEO Anthony Notoが目標とする「3」にならず、このまま横ばいで推移すれば、ローン事業・金融サービス事業における上記売上は2分の1に縮小することから、この試算自体が何の意味ももたなくなる。
会員数は順調な伸びを示しているが、会員あたりの契約(アカウント)数は現状伸びる気配がないことから、2030年会員数5,000万人よりも、平均契約(アカウント)数を3にするという目標の方がよりハードルが高いかもしれない。
今後もSoFiの業績・戦略については定期的にアップデートしていく予定である。
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