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概要
この記事は、SoFiの2026年のEPS(1株当たり利益)ガイダンスの達成可能性を探るもので、特に売上の成長に焦点を当てています。前編で成長率と利益率を検証した結果、後編では営業利益率の修正を行い、各事業の売上推移を分析しています。
要約(箇条書き)
- SoFiの2026年EPSガイダンスは0.55~0.80ドルであり、これが実現可能かを探求。
- 売上の成長余地を評価するため、各事業の成長率を以下に仮定:
- ローン事業:25%
- 金融サービス事業:90%
- 技術プラットフォーム事業:10%
- 2025年、2026年の売上はそれぞれ36億ドル、54.1億ドルと予測。
- 売上成長がローン事業で加速していることが示され、特に新規融資額が前年同期比で50%以上の増加。
- 金融サービス事業は2026年にはローン事業の売上を超える見込みで、利益率も好調。
- 技術プラットフォーム事業は収益化の見込みがあり、成長の期待が高まっている。
- SoFiの売上は加速する可能性が高く、EPSのガイダンスは実力で達成可能とされる。
- 次回は、CEOの「5年後に会員5,000万人」の見通しに関する分析を予定。
この記事は、将来の投資判断において重要な情報を提供するものですが、最終的な決定は自己責任となることが強調されています。
前編は、2025年EPSガイダンス0.27~0.28ドルの2倍~3倍にあたる2026年のEPS 0.55~0.80ドルが果たして実現可能か、成長率や利益率から逆算して検証した。結果、Adjusted EBITDA Margin(≒営業利益率)が高くなりすぎたことから後編ではその修正を図るため、売上の上昇余地を探る。
※以下は「数あるシナリオの一つにしか過ぎない」ことはあらかじめご了承ください。
SoFiは、ローン・金融サービス・技術プラットフォームの3つの事業からなり、各事業の売上推移および売上比率は以下のとおりである。
各事業の対前年比推移は以下のとおりで、ローン事業は成長が再加速。金融サービス事業は引き続き絶好調で、技術プラットフォーム事業は低位安定といったところだ。
そこで、かなりアバウトになるが、年平均成長率をローン事業25%、金融サービス事業90%、技術プラットフォーム事業10%とし、その成長率が継続したと仮定すると、2025年・2026年の売上合計は36億ドル、54.1億ドルとなる。(各事業セグメントに含まれる社内取引や調整項目を5%とし、各事業の売上合計から5%を差し引いた数値としている。)
なお、2025年のAdjusted EBITDA Marginが依然高すぎると判断し、それに伴う他の数値も修正した。それ以外は前回のシミュレーションをそのまま採用した数値とし、まとめると以下のとおりとなる。
前回より利益率の観点からも断然収まりが良い。(まだツッコミどころも残るが、あくまでシナリオの一つとしてご容赦いただきたい。)
とはいうものの…、売上がこれほどまでに急伸するのだろうか?という疑問が沸き上がる。
しかし、売上が加速する兆しを見せ始めているのは事実である。
ローン事業の新規融資額は以下が示す通り、2025年第1四半期は2024年第1四半期と比較し、個人ローン・学生ローン・住宅ローンのすべてにおいて「5割以上」増えている。
※2025年第1四半期決算説明会資料P16より
※学生ローンの急伸の要因については以前の記事の補足①をご参照ください。
2024年第4四半期に始まったLoan Platform Business(LPB)も大きな威力を発揮し、2024年第4四半期以降、ローン事業における融資額が一段階上がったのがわかる。(これらはローン事業の売上拡大に直結していく。)※LPBの詳細はこちらをご参照ください。
絶好調の金融サービス事業は、2026年にローン事業の売上を上回ると見られる。また利益率も急速に伸びている。金融サービス事業内で、まだ投資フェイズにあるクレジットカード事業は「年間1億ドル以上の損失を計上している」とCEO Anthony Notoが言う中でのこの利益は目を見張るものがある。
・貢献利益:売上-変動費(仕入れ・送料・広告宣伝費など)。貢献利益を理解することで、どの事業がどれくらいの利益を生み、固定費の回収にどの程度役立っているかがわかる。(例:コーヒー1杯を500円で売る場合、コーヒー豆・カップ代などの変動費が200円であれば貢献利益は300円)
・貢献利益率:貢献利益÷売上=(売上-変動費)÷売上
また技術プラットフォーム事業も先行きは明るい。
先日のJ.P.モルガン主催のイベントで、CEO Anthony Notoは、米国財務省によるDirect Expressにおける採用をはじめ、2026年第1四半期以降に収益化が見込まれる可能性が高い取引が10件程度あると述べている。よって、2026年以降、成長が再加速する可能性が高い。
まとめると、今後、SoFiの売上は加速していく可能性が高い。したがって、この0.55~0.80ドルというEPSは特別な要因に依存したものではなく、事業が順調に推移すれば、十分「実力で実現可能な水準」と読める。そして、この数値の実現性をまだ市場は織り込んでいないようにみえる。
※次回は先日のJ.P.モルガン主催のイベントで、CEO Anthony Notoが述べた「5年後に会員5,000万人」という数字が現実的か、またその際の売上・利益がどうなるかをシミュレーションする。(2025年第1四半期終了時点の会員数は1,092万人)
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