いよいよ、6月2日〜5日に Snowflake Summit 2025 が開催されます!今年のサミットもデータ基盤、AI、アプリなどの様々な領域でのアップデートが予想されています。
といっても、最近の Snowflake はただでさえアップデートが多く、もう何が何だか分からん!といった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、私の専門領域であるAIとアプリにテーマを絞って2年間のアップデートの履歴を振り返ってみようと思います。(なぜ2年間だけ?と思ったそこの貴方、ぜひ記事を読み進めてみてください!)
本記事では以下の自記事を参照して構成していますので、ぜひ併せてご覧ください。各種機能理解がより深まることと思います!特に、本記事では各種機能の概要などにはそこまで触れられておりませんので、2つ目や3つ目の記事(サクッと読めるよう構成しています)も参照してみてください。
2023年のSnowpark for Python関連のリリースを振り返る
Snowflake Summit 直前!データアプリケーション機能をおさらいしておこう
Snowflake Summit 2024で発表されたアプリケーション機能群のアップデートポイント
昨年の キーノートセッション会場
2023年前半の AI・アプリ系機能(黎明期)
実はこの時期「AI・アプリ系機能」という概念自体が、ほとんど存在していませんでした。現在では当たり前のように語られる Streamlit in Snowflake ですら、当時はまだリリース前で、Public Preview となったのは2023年9月です。
2023年5月時点であるものと言えば、Snowflake に格納されたデータを Python で処理できる Snowpark for Python という機能群のみでした。
しかし、同年6月の Snowflake Summit では衝撃的なアップデートが数多く発表されました。ここで、まさにデータアプリケーションという世界観の先駆けともいえる数々のアップデートが発表されました。
- Streamlit in Snowflake:Snowflake 上で 非常に簡単にデータアプリを開発できる機能
- Snowpark Container Services:Snowflake 上でコンテナを実行できる機能
- Git Integration / Snowflake CLI:アプリ開発に欠かせない DevOps 系機能
- Native Apps:データ共有をアプリにまで拡張した機能。これにより、iPhone の App Store のようにアプリの配布が可能に。
さらに、ML系機能の原型もこのタイミングで登場しています。
- Snowflake Cortex ML:Snowflake マネージドの ML 関数
- Snowpark ML API:Snowpark API で自由に ML 構築ができる機能
こうして振り返ると、今日使われている主要な AI・アプリ機能の多くが、この時点で種まきされていたことが分かります。こうした時期に Snowflake をゴリゴリと使い倒せる環境にいたことは幸運でした。
Snowflake が Data Cloud という製品ブランドを本格的に確立し始めたのがまさにこのタイミングだったのだと、今振り返って強く実感します。
2023年後半の AI・アプリ系機能(新機能楽しい!)
Snowflake は年次サミットに加えて11月頃に、「BUILD」というオンラインカンファレンスも開催しています。これは、AI・アプリ系の最新アップデートやデモなどを中心に構成されたイベントです。2023年はここでも注目度の高いアップデートを発表しました。
特に、今では Snowflake 最強の機能群といっても過言ではない(※個人の感想です)、これらの機能も、この BUILD で発表された機能です。
- Snowflake Notebooks
- Snowflake Cortex LLM
すでに強力なデータ基盤機能を多数備えていた Snowflake に、さらに AI・アプリケーション機能が加わったのが最高に嬉しい瞬間でした。
その他、サミットで発表された機能が着実にリリースされてきました。
- Streamlit in Snowflake
- Snowpark Container Services
- Python API:Snowflake のオブジェクトを Python API で処理できる API
2024年前半の AI・アプリ系機能(まだまだ欲しい!)
さて、実際には荒削りで導入を進めようとすると「あれが足りない、これも足りない」と感じていた2024年前半を見ていきましょう。先に断っておくと、現在では AI・アプリ系でもうあれこれが足りない、といったことはほぼなくなったと思います。実際本格導入を進めていてもむしろ 「Snowflake こんな機能まであるの?!」「もう使えるの?!」 とお声をいただくほどです。
2024年前半は、サミットや BUILD で発表された機能がいくつもリリースされたタイミングでした。毎日リリースノートを見て、ついにこの機能がリリースされている!🎉と喜んでいました。
現在の私の主な Snowflake 最新情報収集源の一つをご紹介
現在は、Snowflake 社員様が運用されている X アカウントによりリリースノートを自発的に見に行く必要がなくなり、だいぶ楽な生活になりました。毎朝このワンちゃんから送られてくる通知を見てから仕事が始まります。このワンちゃんのお陰で私は Snowflake ちょっと分かるマンになれました。
具体的には、下記のような機能が使えるようになりました。
- Snowflake Notebooks
- DevOps(Git Integration/Snowflake CLI)
- Hybrid Table:OLTP と OLAP クエリの両方をこなせる DB
- Snowflake Cortex LLM
- Snowflake Cortex MLOps:MLflow 的な API 群
- Snowflake Document AI:AI OCR 機能
- Snowflake Copilot:Snowflake の Web UI 上のエディタの横で使用できる LLM Copilot
そうして2024年6月のサミットではまた驚きの、かつ現在では当たり前のように使われている、下記のような機能がリリース、発表されました。
- Snowflake Notebooks on Container
- Snowpark Pandas API:Snowpark Dataframe の処理を Pandas 記法で書けるようにする機能(処理は Snowflake 側にプッシュダウン)
-
Cortex LLM
- Cortex Search:非常に簡単に高精度なRAGシステムを構築できる機能
- Cortex Analyst:自然言語から高精度な SQL を生成でき、Streamlit と組み合わせることで実行やグラフ描画まで自動化できる機能
- Cortex Fine Tuning:Snowflake に搭載されている LLM モデルを簡単に Fine Tuning できるようになる機能
-
Snowpark Container Services
- Native Apps 対応
- ジョブ対応:SPCS を関数のように使える機能
この頃から、かゆいところに完全に手が届くようになり、本格的に LLM やアプリを展開できるようになったと実感し始めました。
また、2024年6月の Snowflake Summit では、これまで Data Cloud としていた製品ブランドを突如 AI DATA CLOUD へと転換しました。この AI DATA CLOUD というワードはまさに Snowflake を表していると思っており、とても気に入っている単語です。気に入りすぎて、月に1回 AI DATA CLOUD 勉強会と称して Snowflake のことを何でも勉強する会を開くに至りました。
2024年後半の AI・アプリ系機能(どんどんアップデート!)
この時期は、サミットで発表された様々な機能がリリース、アップデートされた期間でした。特に、Snowflake Notebooks、Cortex Search、Cortex Analyst、Document AI といった機能は、アップデートの頻度・内容ともに尋常ではなかったと記憶しています。このあたりの、特にLLM系機能に関する詳しいアップデート履歴は、別途記事にする予定なので併せてウォッチいただけると嬉しいです。
また、このタイミングで、DataVolo という会社が Snowflake によって買収されています。
DataVolo は、マルチモーダルデータの統合やデータパイプライン(Apache Nifi のコミットも実施)に強みを持つ会社で、今後の Snowflake における幅広い領域での活躍が楽しみな存在です。
Snowflake 公式ブログにも「さらに、SnowflakeによるDatavoloの買収により、プラットフォームのマルチモーダルデータ統合能力が向上し、堅牢なデータガバナンスと処理へのコミットメントが強化されます。」(機械翻訳済み)といった記述があり、開発・統合が進んでいることが感じられます。今年のサミットでなにか発表があるのか、とても楽しみですね!
2025年前半の AI・アプリ系機能(成熟&まだまだ進化🚀)
だいぶ機能リリースが落ち着いてきたように見えましたが、2025年前半もいくつか注目すべき機能が登場しました。
- Snowflake Cortex Agents:Cortex Search と Cortex Analyst を組み合わせてエージェント分析できる機能
- Snowflake Cortex LLM Multimodal 対応:Snowflake の LLM 関数でマルチモーダルを扱える機能(記事執筆時点は画像のみ対応)
- Snowflake Cortex Observability:LLM が検索、生成したテキストの正確性をスコア化でき、それを Web UI で確認できる機能
Cortex Agents については、事前のイベントなどで何の発表もないタイミングだったため、非常に驚いた記憶があります。発表があった記事に、もうこの機能は使えるよ!と書いてあり、早速試して記事にしよう!と思い立ち上司に今日は午前休むわすまん!と告げて検証と執筆にかかったのは良い思い出です。
Snowflake Cortex LLM Multimodal に関しても、唐突にリリースされています。この機能も Snowflake らしく、非常に簡単に扱えることが特徴的です。リリースされた直後、Snowflake コミュニティで月次で開催している AI DATA CLOUD 勉強会にてみんなでワイガヤしながら触ってみました。そのときの様子を記事にしてくださっています!
Cortex Observability については、Snowflake が2024年5月に、TruEra という AI Observability に強い会社を買収していました。
この機能が統合されることを非常に楽しみにしていたのですが、2025年4月、遂にパブリックプレビューになりました!
さあ、ここまでお読みいただいた皆さま、お付き合いいただき誠にありがとうございました。ここまで把握できた貴方は、絶対に Snowflake Summit 25 をお楽しみいただけることでしょう。最後に、本記事で紹介した機能をおさらいしておきましょう(他にもまだまだあるかもしれません)。
- アプリ系
- Snowpark for Python
- Snowpark Pandas API
- Python API
- Streamlit in Snowflake
- Snowflake Notebooks
- Snowpark Container Services
- Native Apps
- DevOps(Git Integration/Snowflake CLI/・・・)
- Hybrid Tables
- Snowpark for Python
- AI/ML/LLM
- Snowpark ML API
- Cortex ML
- Cortex LLM Functions
- Cortex LLM Multimodal
- Cortex Search
- Cortex Analyst
- Cortex Agents
- Document AI
- Snowflake Copilot
- Cortex AI Observability
- MLOps(Model Registry/Feature Store/・・・)
さらに、上記の機能が密に連携しあい、非常に使いやすくなってきている所も、Snowflake の One Platform らしさが出ているととても感じています。
また、少なくとも昨年まではキーノートセッションのオンライン配信があったので、今年もあると思っています。主に3つのキーノートセッションがあります。
-
Opening Keynote
Snowflake の戦略や方向性、事例などを示すビジネス寄りのセッション。今年は OpenAI の Sam Altman が登壇予定(リモート?現地?楽しみですね!) -
Platform Keynote
本記事で扱ったような最新機能の発表や技術トピックのハイライト -
Builder Keynote
最新の機能を活かしたデモや事例紹介。見るだけで例年ワクワク・ニヤニヤしてしまっています。
時差の都合上リアルタイム視聴はどれかに絞るというのもありかなと思います。On Demand 配信もあるので見逃しは基本的にはありませんが、リアルタイム視聴の臨場感はぜひ味わってみてください。例年、X での現地参加者の実況ポストも非常にワクワクするものになっています。
今年のサミットでの発表内容は、正直に言うと全く想像もつきません。去年はある程度予想もできましたが、今年はさらに秘匿化されているような気がします。勝手に現時点で私が予想してみると、
- 昨年11月に発表されてから音沙汰のない Snowflake Intelligence
- DataVolo(Apache Nifiやマルチモーダル) の Snowflake 統合に関する最新動向
- Cortex Search と Cortex LLM Multimodal を組み合わせた、画像を含む RAG 検索
- Streamlit in Snowflake のさらなる進化?!
などでしょうか。Snowflake のことですから、我々が全く想像のつかないアップデートを大量に発表してくれることでしょう!
この1年に1回のお祭りを、現地参加者の方も、リモート参加の方も、ぜひ盛大に楽しみましょう!また、冒頭に述べた、2年間というキーワード。今の貴方であればきっとご理解いただけるでしょう。転換期であった 2023年のサミットから2年間。次なる Snowflake の歩みを学び、活かしていきましょう!
ちなみに私は2023年はオンラインでキーノートセッションを視聴していました。それでも会場の熱気がしっかりと伝わってきて、来年は絶対に行けるよう1年頑張るぞ!と胸に誓ったことをふと思い出しました。この記憶を胸に、2025年のサミットも最大限楽しみ、学び、持ち帰り、皆様に還元できるよう尽力いたします!そしてやっぱり、共に楽しみ尽くしましょう!
昨年のサミットのメインエントランス
NTTデータ コンサルティング事業本部 では、以下の職種を募集しています。
Snowflake、生成AIを活用したデータ基盤構築/活用支援(Snowflake Data Superheroesとの協働)
Databricks、生成AIを活用したデータ基盤構築/活用支援(Databricks Championとの協働)
プロジェクトマネージャー(データ分析プラットフォームソリューションの企画~開発~導入/生成AI活用)
クラウドを活用したデータ分析プラットフォームの開発(ITアーキテクト/PM/クラウドエンジニア)
Trusted Data Foundationについて
~データ資産を分析活用するための環境をオールインワンで提供するソリューション~
最新のクラウド技術を採用して弊社が独自に設計したリファレンスアーキテクチャ(Datalake+DWH+AI/BI)を顧客要件に合わせてカスタマイズして提供します。
可視化、機械学習、DeepLearningなどデータ資産を分析活用するための環境がオールインワンで用意されており、これまでとは別次元の量と質のデータを用いてアジリティ高くDX推進を実現できます。
NTTデータとSnowflakeについて
NTTデータとSnowflakeについて
NTTデータでは、Snowflake Inc.とソリューションパートナー契約を締結し、クラウド・データプラットフォーム「Snowflake」の導入・構築、および活用支援を開始しています。
NTTデータではこれまでも、独自ノウハウに基づき、ビッグデータ・AIなど領域に係る市場競争力のあるさまざまなソリューションパートナーとともにエコシステムを形成し、お客さまのビジネス変革を導いてきました。
Snowflakeは、これら先端テクノロジーとのエコシステムの形成に強みがあり、NTTデータはこれらを組み合わせることでお客さまに最適なインテグレーションをご提供いたします。
NTTデータとDatabricksについて
NTTデータは、お客様企業のデジタル変革・DXの成功に向けて、「databricks」のソリューションの提供に加え、情報活用戦略の立案から、AI技術の活用も含めたアナリティクス、分析基盤構築・運用、分析業務のアウトソースまで、ワンストップの支援を提供いたします。
NTTデータとInformaticaについて
NTTデータとInformaticaについて
データ連携や処理方式を専門領域として10年以上取り組んできたプロ集団であるNTTデータは、データマネジメント領域でグローバルでの高い評価を得ているInformatica社とパートナーシップを結び、サービス強化を推進しています。
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