火曜日, 6月 3, 2025
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Snowflake の Organization Listing 承認ワークフローでデータメッシュの世界観を実現する


はじめに

2025/6/2から Snowflake 最大の年次イベント「Snowflake Summit 2025」が開催されます!私も現地サンフランシスコに行きますので、是非みなさまにお会いできれば嬉しいです!そして今回はいつもの生成 AI や Streamlit ではなくデータコラボレーションのアップデートについてお届けさせていただきます。

Snowflake はあらゆるパターンのデータアーキテクチャに対応するプラットフォームを提供しており、データメッシュ (Data Mesh) というデータを各組織が責任を持って管理し、他の組織がそのデータを発見・活用できるという世界観を実現することも可能なプラットフォームとなっています。しかしデータメッシュを実現するためには技術的なハードルだけではなく、組織間の調整やアクセス管理などの運用面での課題が多く、多くの企業が実現に苦労しているのが現実です。

そんな中、Snowflake の Organization Listing承認ワークフロー機能 が追加されました!この機能により、企業内でのデータ共有がより手軽かつセキュアに行えるようになり、データメッシュや企業内データカタログを Snowflake 上で簡単に実現できるようになりました。

今回はこの Organization Listing の承認ワークフロー機能について、実際の価値やデータカタログとしての側面、そして簡単な操作方法まで含めてご紹介していきます。

Organization Listing と Internal Marketplace の関係

まず最初に、Organization Listing と Internal Marketplace の関係について整理しておきましょう。この関係を理解することで、今回の承認ワークフロー機能の価値がより明確になります。

Organization Listing とは

Organization Listing は、Snowflake 組織内でデータプロダクトを安全に共有するための仕組みです。データプロバイダーが作成・管理するリスティング (データ共有の単位) のことを指します。

Internal Marketplace とは

Internal Marketplace は、組織内での共有された Organization Listing が一元的に表示されるプラットフォームで、以下の特徴があります:

  • 組織内限定: 公開の Snowflake Marketplace と類似しているが、組織内専用
  • データカタログ機能: 組織内で利用可能なデータプロダクトを集約・整理
  • セキュアなアクセス管理: アカウントターゲティングとロールベースアクセス制御 (RBAC) による管理
  • セルフサービス型発見: 外部マーケットプレイスをナビゲートすることなく、内部リソースを発見・活用可能

表裏一体の関係

要素 説明 役割
Organization Listing 組織内で共有されるデータプロダクト(コンテンツ) データプロバイダーが作成・管理する共有単位
Internal Marketplace Organization Listing が表示されるプラットフォーム(場所) データ消費者がリスティングを発見・アクセスする場所

つまり、Organization Listing が「コンテンツ」で、Internal Marketplace が「それを表示・管理するプラットフォーム」 という表裏一体の関係にあります。

承認ワークフロー機能の概要

今回追加された承認ワークフロー機能は、Organization Listing へのアクセス管理を大幅に簡素化する機能です。従来は手動でアクセス権限を設定する必要がありましたが、この機能により以下のようなワークフローが実現できます:

1. リクエストベースのアクセス管理

  • データ消費者 (Consumer) がデータにアクセスしたい場合、Snowsight からワンクリックでアクセス要求を送信
  • データ提供者 (Provider) は要求を受け取り、承認・拒否を判断
  • 承認されると自動的にアクセス権限が付与される

2. 2つの承認方式

承認方式 特徴 適用ケース
Snowflake 内での管理 Snowsight 上で完結する承認フロー 迅速な承認が必要な場合
外部での管理 メールや URL での承認フロー 既存の承認プロセスと連携したい場合

3. 柔軟なアクセス制御設定

  • 全組織アクセス: 組織内の誰でもアクセス可能
  • 選択されたアカウント・ロールのみ: 指定したアカウントやロールのみアクセス可能
  • 承認制: 事前承認なしには誰もアクセスできない (デフォルト)

データメッシュの世界観を実現する価値

この承認ワークフロー機能が持つ真の価値は、データメッシュの理念を現実的に実装できることにあります。

1. データの分散所有の促進

従来のデータウェアハウス的なアプローチでは、IT 部門やデータ管理部門が全てのデータを一元管理していることが多かったと思います。しかし、Organization Listing により:

  • 各部署が自分たちのデータの責任を持つ ことができる
  • データドメインエキスパートがデータ提供者として機能 する
  • データの品質と意味について最も理解している人がデータを管理 する

2. セルフサービス型データ発見

承認ワークフロー機能により:

  • データ消費者が能動的にデータを発見 できる
  • IT 部門やデータ管理部門を介さずに直接データ提供者とやり取り できる
  • データカタログとしての機能 を果たし、組織全体のデータ資産が可視化される

3. ガバナンスとアジリティの両立

これまで「ガバナンス強化」と「データ活用の迅速化」は相反するものとされがちでしたが:

  • 承認フローによりガバナンスを維持 しつつ
  • Snowsight 上での簡単な操作でアクセス要求が可能 になり
  • データ活用までの時間を大幅に短縮 できる

実際の操作の簡単さ

承認ワークフロー機能の大きな魅力の一つは、その 操作の簡単さ です。Snowsight ベースで完結する UI により、技術者でなくても直感的に操作できます。

データ提供者側の操作

  1. Provider Studio で Organization Listing を作成
  2. Access control セクションで承認ワークフローを設定
  3. 承認方式の選択 (Snowflake 内 or 外部)
  4. 承認者の指定 (メールアドレスまたはロール)
  5. 公開 してリスティング完了


Provider Studio においてアクセス制御の設定を行う


「検出を許可」欄の「リクエスト承認フローの設定」をクリック


「Snowflake でリクエストを管理」を選ぶことでマネージドの承認ワークフローが設定される


あとは必要な設定を行い、右上の「公開」を押すことで Organization Listing が公開される

データ消費者側の操作

  1. Internal Marketplace でデータを検索・発見
  2. Request access ボタンをクリック
  3. アクセス理由の入力 と送信
  4. 承認通知の受信 後、即座にアクセス開始


Internal Marketplace で組織内で公開されたリストを探し、アクセスリクエストを行う


リクエストの理由を添えてリクエストを送信する

承認者側の操作

  1. メール通知の受信 または Snowsight での確認
  2. Internal Requests ページで要求詳細を確認
  3. 承認・拒否の判断 をワンクリックで実行
  4. 自動的にアクセス権限が付与 される


リクエストは管理者にメールで通知される


Provider Studio で現在のリクエストを一覧で確認できる


承認理由を添えて承認すると、消費者側でリストが使えるようになる

これらの操作は全て GUI ベース で完結し、SQL の知識も不要 です。これにより、データエンジニアでなくてもデータの共有と活用が可能になります。

具体的なビジネスシナリオ例

シナリオ1: マーケティング部門とセールス部門の連携

背景: マーケティング部門が持つリード情報をセールス部門が活用したい

  1. マーケティング部門 が Organization Listing でリードデータを公開
  2. セールス部門 が Internal Marketplace でデータを発見
  3. アクセス要求を送信 し、マーケティング部門が承認
  4. リアルタイムでセールス活動に活用 開始

シナリオ2: 財務部門とビジネス部門のレポーティング

背景: 各ビジネス部門が財務データを使った独自分析を行いたい

  1. 財務部門 が承認制で財務データを Organization Listing に公開
  2. 各ビジネス部門 が必要に応じてアクセス要求
  3. 財務部門が適切性を判断 して承認・拒否
  4. コンプライアンスを保ちつつデータ活用 が実現

シナリオ3: データサイエンスチームとビジネスチームの協働

背景: データサイエンスチームの分析結果をビジネスチームが活用したい

  1. データサイエンスチーム が分析結果を Organization Listing で共有
  2. ビジネスチーム が関連するデータセットを発見
  3. 迅速な承認プロセス により即座にアクセス
  4. データドリブンな意思決定 が加速

従来の課題と解決策

従来の課題 Organization Listing の解決策
データの存在が分からない Internal Marketplace での一元的なデータカタログ
アクセス申請プロセスが煩雑 Snowsight でのワンクリック申請
承認に時間がかかる 自動化された承認ワークフロー
セキュリティリスクが心配 承認制とロールベースアクセス制御
データ品質が分からない データ提供者による説明とメタデータ

Organization Listing の詳細機能

なお、Organization Listing の基本的な機能や詳細な設定方法については、まつば~らさん が素晴らしい記事を書いてくださっているので、そちらを参照していただければと思います:

https://zenn.dev/dataheroes/articles/snowflake-internal-marketplace-202502

最後に

Snowflake の Organization Listing 承認ワークフロー機能は、データメッシュの理念を現実的に実装できるゲームチェンジャー だと感じています。

特に以下の点で、これまでの企業内データ共有の課題を根本的に解決してくれます:

  • 技術的ハードルの大幅な低減: GUI ベースの直感的な操作
  • ガバナンスとアジリティの両立: 承認フローによる適切な制御
  • 組織横断的なデータ活用の促進: アカウント境界を越えた簡単なデータ共有
  • データカタログとしての機能: 組織全体のデータ資産の可視化

これまで「理想論」とされがちだったデータメッシュの世界観が、Snowflake 上では 現実的に、そして簡単に 実現できるようになりました。データ活用を組織全体で加速させたい企業にとって、間違いなく価値の高い機能だと思います。

ぜひ皆様の組織でも、この機能を活用してデータドリブンな組織文化の構築を進めていただければ幸いです!

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SNOWFLAKE DISCOVER で登壇しました!

2025/4/24-25に開催されました Snowflake のエンジニア向け大規模ウェビナー『SNOWFLAKE DISCOVER』において『ゼロから始めるSnowflake:モダンなデータ&AIプラットフォームの構築』という一番最初のセッションで登壇しました。Snowflake の概要から最新状況まで可能な限り分かりやすく説明しておりますので是非キャッチアップにご活用いただければ嬉しいです!

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https://www.youtube.com/live/no9WYeLFNaI?si=2r0TVWLkv1F5d4Gs

X で Snowflake の What’s new の配信してます

X で Snowflake の What’s new の更新情報を配信しておりますので、是非お気軽にフォローしていただければ嬉しいです。

日本語版

Snowflake の What’s New Bot (日本語版)

https://x.com/snow_new_jp

English Version

Snowflake What’s New Bot (English Version)

https://x.com/snow_new_en

変更履歴

(20250531) 新規投稿



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