金曜日, 5月 16, 2025
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SBG決算は幻想、スターゲートは虚構:崩壊寸前のソフトバンク神話武智倫太郎

🧠 概要:
この記事は、ソフトバンクグループ(SBG)の経済状況とAIインフラ計画「スターゲート」に関する問題を取り上げています。著者は、これらのプランが実質的に破綻していると述べ、SBGの経営の脆弱性を強調しています。

### 概要:
– SBGとOpenAIの「スターゲート計画」は、頓挫している。特に、関税問題は表面的な障害であり、計画の破綻の本質に迫るものではない。
– SBGは、実質的な影響力を欠く中で多額の投資を行い、業界の投資縮小やOpenAIの非営利体制が影響を及ぼしている。
– SBGの最新決算は一見黒字だが、実態は異なり現金が減少している。この状況が続くと「ソフトバンクの神話」は崩壊する可能性がある。

### 要約の箇条書き:
– SBGとOpenAIの「スターゲート計画」は崩壊寸前である。
– 関税問題は表面的な理由に過ぎず、本質的な障害は他に存在する。
– マイクロソフトとアマゾンがAIデータセンターへの投資を縮小している。
– OpenAIは非営利法人としての構造を維持しており、SBGの影響力は限られている。
– SBGの2025年決算は黒字転換を示すが、実際の収益性は乏しく、現金流出が続いている。
– SBGの経営構造は不安定であり、将来的に「ソフトバンクの神話」は崩れる可能性が高い。

SBG決算は幻想、スターゲートは虚構:崩壊寸前のソフトバンク神話武智倫太郎

武智倫太郎(週刊バブルウォッチ編集長)

 ソフトバンクグループ(SBG)とOpenAIが主導する総額5,000億ドル規模のAIインフラ構想『スターゲート計画』は、関税問題を超えた複合的な要因により、頓挫しているとブルームバーグが報じている。

 しかし実態としては『頓挫』というレベルではなく、スターゲート計画はすでに実質的に破綻していると見るべきだ。孫正義は根拠の乏しいまま、スターゲートに75兆円、AIロボティクスに150兆円を投資すると豪語し、架空のAI用データセンター需要を喧伝することで、SBGが保有するArm社の株価を『口先だけ』で吊り上げようとしているに過ぎない。このような虚構は、金融機関や証券会社が実現可能性を精査するまでの、わずかな猶予期間でしか通用しない。

関税問題は表面的な障害に過ぎない
 ブルームバーグの報道によれば、スターゲート計画はトランプ政権下の関税政策により建設コストが5〜15%上昇する見込みで、主要な資金提供者であるJPMorganやApollo Global Managementが投資に慎重な姿勢を取っている。

 しかし、関税問題は本質的な障害ではなく、計画の破綻を覆い隠すための表層的な口実に過ぎない。

マイクロソフトとアマゾンの投資縮小が映す現実
 主要クラウドプロバイダーであるマイクロソフトとアマゾンも、AIデータセンターへの投資を縮小している。

 マイクロソフトは米国内の大規模データセンターリース契約をキャンセルし、AIインフラの供給過剰を懸念している。

 アマゾンも、AIデータセンターの展開を一部停止または遅延させ、需要と供給の見直しを進めている。

 これらの動きは、AIインフラ投資に対する経済的持続性への懐疑が業界全体で広がっていることを示している。

OpenAIの非営利体制とSBGの限定的影響力
 OpenAIは、非営利法人(OpenAI Inc.)が営利部門(OpenAI Global, LLC)を統括する体制を維持する方針を明確にしており、経営の最終決定権は非営利法人に帰属している。

 SBGはこの営利部門に出資しているが、議決権や取締役選任権を持たず、ガバナンスへの実質的な関与は制限されている。かつて構想されていた営利部門の独立上場(PBC化)も断念されたことで、SBGが期待していた資本的・経営的なリターンの道筋は大きく後退した。

 一方、OpenAIはMicrosoftとの提携を一層強化し、主力プロダクトをAzure基盤上で展開しており、商業的主導権も実質的にMicrosoft側にある。

 結果として、SBGは名目的な出資者であるにもかかわらず、経営への影響力や意思決定の参加権限を持たず、スターゲート計画においても主導権を発揮できていない。

経済的・技術的な持続可能性への疑念
 スターゲート構想には、根本的な経済・技術両面の問題がある。

 OpenAIは近年多額の赤字を計上しており、事業基盤は安定していない。加えて、中国のDeepSeekなど、より低コストで高性能なAIモデルが次々に登場しており、巨額のAIインフラ投資に見合う経済的合理性が失われつつある。

 こうした競争環境の変化が、スターゲート構想そのものの経済的前提を崩壊させている。

スターゲート計画はすでに破綻している
 関税は計画停止の一因に過ぎず、より深刻なのは、SBGの発言力の欠如、クラウド業界全体の投資萎縮、OpenAIの非営利体制の固持、AIインフラ構想の持続可能性への疑念という、四重苦が同時にのしかかっている点にある。

 現状、SBGがこの計画に本格的に再着手できる見込みは限りなく低いと言わざるを得ない。

さらに露呈した現実:2025年3月期決算報告

 SBGの2025年3月期の決算説明会は、2025年5月13日(火)午後4時30分から実施された。以下の動画にて全編が公開されている(記者との質疑は1時間経過後より開始)。

 しかし、同説明会での後藤CFOの発言は一貫性に欠け、記者たちがその説明を理解できずに困惑する場面も目立った。

ソフトバンクG決算:見かけの黒字、減り続ける現金

ソフトバンクグループ株式会社(9984)
2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)

 ソフトバンクGの最新決算は黒字転換を示したが、その大部分は保有株式の評価益や一時的な売却益によるものであり、実態としての収益性やキャッシュフローの健全性とはかけ離れている。

 営業キャッシュフローは黒字を維持しているものの、投資および財務支出による資金流出が続き、手元資金は大幅に減少している。

 ビジョンファンド事業でも、一部の投資ファンドは黒字を確保したが、多くは依然として巨額の評価損を抱えており、抜本的な再建は進んでいない。

 SBGは依然として、Armなどの株式を担保に資金を借り入れるマージンローン型の脆弱な構造に依存しており、金融市場の変動リスクにさらされている。自社株買いや配当も継続されているが、その持続性には大きな疑問が残る。

ソフトバンクの神話は、帳簿の中でしか生きていない
『投資の巧者』と称されてきたSBGは、いまや評価益と空疎な構想で黒字を演出するだけの存在となっている。現金が減り、主導権を失い、構造的な持続性にも疑義がある今、スターゲート構想はその限界を象徴する案件となった。

 この神話が崩れるのは時間の問題であり、そのとき帳簿の利益では何も守れないという現実が突きつけられるだろう。

武智倫太郎(週刊バブルウォッチ編集長)



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