火曜日, 5月 20, 2025
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Qualcomm、データセンター向けCPUはAI推論を意識した製品になると示唆


基調講演で講演するQualcomm CEO クリスチアーノ・アーモン氏

 5月20日から、台湾/台北市にある南港展示館において最大級コンピュータ見本市「COMPUTEX TAIPEI 2025」が開幕している。5月19日には、NVIDIA CEO ジェンスン/フアン氏、Qualcomm CEO クリスチアーノ・アーモン氏による基調講演が行なわれた。

 このQualcommの基調講演終了後には、報道関係者向けの質疑応答が行なわれた。この中、データセンター向けの再参入に関して、またこの1年のSnapdragon Xシリーズの市場シェアの進展などに関して説明した。

PC市場で2029年までに20%の市場シェアを目指すQualcomm

Snapdragon Summit 2025において、次世代PC用Snapdragonが発表される

 今回のQualcommの基調講演において、アーモンCEOは、9月23日~9月25日に予定されているSnapdragon Summit 2025において、次世代のPC向け製品が発表される計画だと講演の最後で明らかにした。そのため今回の基調講演ではどちらかと言えば現行製品であるSnapdragon Xシリーズに関する話題が中心になった。

 講演の中で、米国の小売市場と欧州のトップ5の小売市場において同社のSnapdragon Xシリーズを搭載した製品の市場シェアが9%に達したと明らかにした。参入から1年で、9%という数字は決して悪くない数字だが、よく聞けばその数字は小売市場、そして欧米の市場に限定した数字ということになる。つまり、PCのメイン市場である法人市場は含まれていない。

 そうした事情もあり、記者会見では記者やアナリストなどからいくつかの質問が飛び交った。たとえば、IntelはvPro、AMDはAMD Proといった法人市場向けの別ブランドを投入し、より高いセキュリティを実現する追加機能などを付加したりしている点などについて指摘された。

 「Microsoftと協力してこのプラットフォームを立ち上げてきたこともあり、Microsoftが提供する新しい体験をもたらすことに注力している。たとえばNPUを利用して展開されている新しいセキュリティ機能は強みだ。今後どうしていくかは企業がPCを彼らのビジネスでどう使っていくかよく見極めていく必要がある」と述べるに留まった。つまり、Qualcommの最初の焦点が一般消費者向けの小売市場であり、法人向けは次のステップであると考えていることを示している。

記者の質問に答えるアーモン氏

 その小売市場で9%という市場シェアは十分なのかという質問に対しては「社内におけるターゲットとしては2029年までに20%という数字を設定していることを以前の四半期決算説明会で説明されてもらっている。そこに向けて現時点で(小売市場だけという前提はつくが)9%という数字は悪くないと考えている」と述べ、出だしは順調に推移していると考えていることを明らかにした。

 PC市場は大多数が法人向けで、小売市場を介さない販売方法が一般的であることを考えると、Qualcommが次のステップに向かうには、やはり法人向けPC市場を取りに行くことが重要だと考えられるが、法人向け市場ではソフトウェアの互換性には厳しい市場になるため、そのあたりの解消が同社にとって重要になることは間違いない。

データセンター向けCPUは、QualcommのCPU IPを活用した製品でAI推論を意識

Qualcommがデータセンターに参入意向表明を行なった

 別記事でも紹介している通り、今回NVIDIAからの発表を受けて、というやや異例の発表方法だが、Qualcommはデータセンター向けの事業に参入する参入意向表明を行ない、同社の基調講演の中でもそれを発表した。

 当然質疑応答では、それに関する質問も集中したが、アーモン氏は「現時点は具体的な製品ロードマップは発表していない。それに関してはそんな遠くない先にロードマップなどに関して公開することができると思う。

 我々には興味深い2つのIP資産がある。特にCPUのアーキテクチャは破壊力があると考えており、性能と電力効率の観点で新しい価値をもたらすことができると考えている。たとえばAI推論の市場でユニークな製品を提供することができると考えている」と述べた。

 具体的なことは何も言わなかったが、同社のCPUに関するIPデザイン(具体的にはSnapdragon Xシリーズなどに採用されているOryon CPU)を活用し、同時にこれからさらに重要になっていくであろうAI推論の市場を狙っていることを示唆している。

 Snapdragon XシリーズのCPU性能が、性能と電力効率の観点でPC市場に大きなインパクトを与えたことは間違いなく、Oryonないしはその発展形のCPUアーキテクチャをデータセンター向けのCPUにいれてくるのは誰もが予想できることだろう。

 その新製品はNVLink Fusionに対応することで、NVIDIAのB200やB300などのGPUを接続してAIスーパーコンピューターを構成することが可能になることは、GPU製品を持っているが故にNVLink Fusion構想には乗れないx86プロセッサベンダー(AMDとIntel)に対してのアドバンテージになる可能性があり、引き続き注目していきたいところだ。





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🧠 編集部の感想:
Qualcommのデータセンター向けCPUがAI推論を意識した製品になるという発表は、同社の戦略的な進展を示しています。AI需要の高まりに対応するため、性能と電力効率の両立が求められる中で、彼らの新しいアーキテクチャに期待が寄せられます。今後、競合他社に対してどのような独自性を発揮できるかが注目です。

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