手軽に利用できるデータ通信専用eSIM

 日々、スマートフォンを使っていくうえで、欠かせないのがモバイルデータ通信。データ通信が使い放題の料金プランなら、気にせず、自由に使うことができるが、多くの料金プランは月々にスマートフォンで利用するデータ通信量、テザリングのデータ通信量などがそれぞれ決められている。

 月によってはデータ通信量が余るくらいの余裕があるが、月によっては月の後半に利用できるデータ通信量の残量が心許なくなることも……。そこで、ぜひ活用したいのがデータ通信専用のeSIMだ。

 ここ数年に発売されたほとんどのスマートフォンには、『組み込み型SIM』のeSIMが搭載されている。物理的なnanoSIMカードをSIMカードスロットに装着しながら、もう1回線をeSIMで登録しておき、切り替えながら利用できる。最近では複数のeSIMが登録できる機種も増えてきている。

 こうしたeSIMに回線を追加する場合、通常であれば、いずれかの携帯電話会社やMVNO各社に申し込み、契約手続きをする必要がある。「eSIMは便利そうだけど、もう1回線、増えるのはちょっと……」「手続きが面倒そう」と考える人も少なくないだろう。一般的に携帯電話の回線を契約するには、本人確認などの申し込み手続きが必要なうえ、使っても使わなくても月々の利用料金が発生する。

 これに対し、データ通信専用eSIMは手軽に利用できる。たとえば、povoがサービスの提供を開始した「ギガチャージカード」は、ローソンの店頭で販売されているカードをレジに持っていき、購入したいトッピングを選び、現金で支払いをすれば、あとは自分のスマートフォンで登録手続きをするだけで、すぐに使いはじめることができる。

povoがローソンの店頭で販売を開始した「ギガチャージカード」。データ専用eSIMなので、必要なときにすぐにサインアップして、利用を開始できる

povoの「ギガチャージカード」はPOSAカードなどと同じように、店頭で販売されている

店頭にもPOPやポスターが掲示されている

ギガチャージカードをレジに持っていき、自分の購入したいトッピングを告げる。支払いは現金のみ

 登録手続きにはeSIM対応のスマートフォンのほかに、メールを受信するためのメールアドレス、SMSを受信するための携帯電話番号が必要になるが、運転免許証やマイナンバーカードといった本人確認書類の登録も求められない。

 また、最初に費用を負担するには、ギガチャージカードを購入時に選ぶ3つのトッピングの範囲内で、追加で料金が発生しない。購入したトッピングのデータ通信量を使い切ったり、期限が過ぎたときは、データ通信が停止するため、もう一度、ギガチャージカードを購入して、データ通信量を追加するか、povoのアプリ上でトッピングを購入する。

 ちなみに、povoのアプリ上でトッピングを購入するときは、クレジットカード払いか、あと払い(ペイディ)が利用できる。

ギガチャージカードでデータ専用eSIMを申し込み

 実際に、ローソンでギガチャージカードを購入し、データ専用eSIMを使えるようにするまでの流れを追ってみよう。

 まず、ローソンでギガチャージカードを購入するときは、カードをレジに持っていき、あらかじめ用意された3つのトッピングのいずれかを店員に告げて、購入する。支払いは現金のみで、コード決済やクレジットカードなどは利用できない。

 ギガチャージカードを購入したときは、必ずレシートを受け取り、お店を出る前に購入したトッピングを確認することをおすすめしたい。

 まだ、それほど購入事例が多くないようで、店員が慣れていないケースがあり、間違ったトッピングが購入されてしまうケースが考えられるからだ。

「ギガチャージカード」トッピング一覧

プラン名 金額 有効期限
データ使い放題(24時間) 330円 24時間
データ追加3GB(30日間) 990円 30日間
データ追加20GB(30日間) 2700円 30日間

 ギガチャージカードを購入したら、次はカード背面のQRコードを読み取る。ブラウザーが起動して、povoのギガチャージのWebページが表示されるので、[povo2.0にご加入されていない方]をタップし、「povo2.0 データ専用」のWebページで内容を確認して、[ユーザー情報の入力に進む]をタップする。

iPhoneの[カメラ]アプリで「ギガチャージカード」の背面のQRコードを読み取る

QRコードを読み取ると、ブラウザ(Safari)が起動し、「ギガチャージ」のWebページが表示される

ギガチャージカードで登録できるのはデータ専用eSIM。すぐに申し込みができることをはじめ、通話機能が不要な人向け、eSIMに対応した端末が必要である旨が表示される

 「アカウント登録」の画面でメールアドレスを入力するが、これまでpovoに登録したことがないメールアドレスが必要になる。「@ezweb.ne.jp」や「@docomo.ne.jp」など、各携帯電話会社のメールサービスのメールアドレスは登録できず、ソフトバンクがiPhone向けに提供している「Eメール(i)」の「@i.softbank.jp」も登録できない。

 逆に、Yahoo!メールの「@yahoo.co.jp」は登録できる。もちろん、ISPのメールアドレスやGmail、iCloudなどのメールアドレスも登録できる。

登録にはこれまでpovoに登録してないメールアドレスが必要。各携帯電話会社のメールサービスのメールアドレスは利用できない。ソフトバンクのiPhone向けの「Eメール(i)」のメールアドレスも利用できない

 ここで登録するメールアドレスは、今後、認証などで使うことが多いので、スマートフォンですぐに受信できるメールアドレスを登録するのがおすすめだ。メールアドレスを入力すると、そのメールアドレス宛にワンタイムコートが送られてくるので、それを入力すれば、アカウントの登録は完了する。

 続いて、PINコードの入力画面が表示されるので、購入したギガチャージカードの裏面のスクラッチを削り、PINコードを入力する。

 次の画面では、氏名などのユーザー情報を入力する。最初に入力する連絡先電話番号は、SMSなどを受信するために必要なので、すでに利用している携帯電話番号を入力する。右側に表示されている[認証]をタップすれば、実際にSMSを受信して、認証ができる。

連絡先の電話番号を登録する。SMSなどを受信するため、自分が普段利用している携帯電話番号を登録する

 そのほかに氏名や生年月日を入力するが、データ専用eSIMの契約なので、運転免許証などの本人確認書類のアップロードは求められない。

 ユーザー情報を入力し、[eSIM発行に進む]をタップすれば、eSIMの発行が開始される。数分、待機して、画面を更新すると、eSIMが発行される。このまま、ブラウザー上でeSIMの設定も実行できるが、画面を閉じてしまったり、なかなかeSIM情報が反映されないときは、[povo2.0]アプリをインストールすれば、手続きを進められる。

手続きが進むと、eSIMが発行される。ブラウザを閉じてしまったときは[povo]アプリからログインして、[eSIMの設定]で内容を確認できる

iPhoneでは発行されたeSIMの「SM+DPアドレス」と「アクティベーションコード」をコピーして、iPhoneの[eSIMを追加]で入力する。右の[コード]をタップすれば、それぞれの文字列をコピーできる

iOS向けに[povo]アプリが提供される。はじめて登録したときは、一定期間、割安なウェルカムトッピングを購入することが可能。アプリのメニューは左上の人型のアイコンをタップすると、表示される

端末にeSIMを登録

 ギガチャージカードを登録し、povoでeSIMが発行されたら、端末にeSIMを登録する。端末への登録はAndroidスマートフォンとiOSで少し手順が異なるほか、端末1台のみで登録する方法と複数台の端末で登録する方法がある。

iPhoneの場合

・eSIM利用端末のみで登録

 iPhoneにデータ専用eSIMを登録するには、インターネット接続が必要になる。すでに契約中の1回線目のモバイルデータ通信やWi-Fiでインターネットに接続した状態で、セットアップをはじめる。

 [povo2.0]アプリやpovoのログインページ(「povo ログイン」で検索)を表示し、登録したメールアドレスでログインする。ログイン時には登録したメールアドレス宛に認証コードが送信されるので、それをコピーして、入力する。

 ログインすると、povoの「契約管理」の画面が表示されるので、[eSIMの設定]をタップする。eSIMを登録するためのQRコードが表示されるが、同じ端末上ではeSIMが設定できないので、下へスクロールする。「iPhoneまたはiPadの場合」に表示されている「SM-DP+アドレス」と「アクティベーションコード」という項目の文字列をiPhoneに登録する。

 それぞれのコードの右側の[コード]をタップすると、文字列がコピーされるので、ホーム画面に戻り、iPhoneの[設定]アプリを起動し、[モバイル通信]-[eSIMの追加]の順にタップする。[モバイル通信を設定]の画面が表示されるので、[QRコードを使用]を選び、[QRコードをスキャン]の画面の下段の[詳細情報を手動で入力]をタップする。「SM-DP+アドレス」と「アクティベーションコード」の入力画面が表示されるので、「SM-DP+アドレス」の右側をロングタップして、先ほどコピーした文字列をペーストする。

iPhoneにeSIMを登録するときは、[設定]アプリの[モバイル通信]で[eSIMを追加]を選ぶ

[モバイル通信を設定]の画面が表示されるので、[QRコードを使用]を選ぶ

 アプリ切り替えでpovoの[eSIMの設定]をもう一度、表示し、同じように[アクティベーションコード]をコピーして、iPhoneの「SM-DP+アドレス」と「アクティベーションコード」の入力画面に切り替えて、「アクティベーションコード」の右側をタップして、ペーストする。2つの項目にペーストしたら、[次へ]をタップする。

povoで発行されたeSIMの「SM+DPアドレス」と「アクティベーションコード」をそれぞれコピーして、iPhoneのモバイル通信の設定画面に入力する

入力した情報が正しければ、[eSIMをアクティベート]の画面が表示される

 続いて、[eSIMをアクティベート]の画面が表示されるので、[続ける]をタップし、しばらく待っていると、[モバイル通信設定完了]の画面が表示され、povoで発行したeSIMがiPhoneに登録される。

無事に登録が完了し、iPhoneにpovoのデータ専用eSIMが設定された。データ専用だが、電話番号は割り当てられる

eSIMが追加されると、iPhoneの[設定]アプリの[モバイル通信]-[SIM]に2つの回線が表示される。この環境はnanoSIMカードが主回線(ソフトバンク)で、eSIMで「povo」が追加された。それぞれのSIM(回線)は名前を付けておくことが可能

複数台の端末で登録

 iPhoneとは別に、パソコンやタブレット、他のスマートフォンを用意できるときは、それらの端末でeSIM登録に必要なQRコードを表示し、iPhoneで読み取ることで、povoのeSIMを登録することができる。

 まず、パソコンなどの他のデバイスで「povo ログイン」で検索し、povoのログインページを表示する。従来はpovoのトップページで左上のメニューから[サポート]-[povo2.0ログイン]を選ぶと、ログインページが表示できたが、ホームページが刷新され、原稿執筆時点ではトップページからログインページに遷移できないため、この手順を踏んでいる。

 povoのログインページが表示されたら、登録したメールアドレスでログインする。ログイン時には登録したメールアドレス宛に認証コードが送信されるので、それをコピーして、入力する。

 ログインすると、povoの「契約管理」の画面が表示されるので、[eSIMの設定]をタップすると、povoで発行されたeSIMのQRコードが表示される。

 eSIMを登録するiPhoneを用意し、[設定]アプリを起動し、[モバイル通信]-[eSIMの追加]の順にタップする。[QRコードを使用]を選び、[QRコードをスキャン]の画面で他のデバイスに表示されているQRコードにカメラを向けて、読み取る。

 続いて、[eSIMをアクティベート]の画面が表示されるので、[続ける]をタップし、しばらく待っていると、[モバイル通信設定完了]の画面が表示され、povoで発行したeSIMがiPhoneに登録される。

Androidの場合

eSIM利用端末のみで登録

 Androidスマートフォンにデータ専用eSIMを登録するには、インターネット接続が必要になる。すでに契約中の1回線目のモバイルデータ通信やWi-Fiでインターネットに接続した状態で、セットアップをはじめる。

Androidスマートフォンでは[設定]アプリの[ネットワークとインターネット]からeSIMを登録する。画面は「AQUOS sense9」のもの。機種によって、少しメニューの項目名が異なる

 [povo2.0]アプリやpovoのログインページ(「povo ログイン」で検索)を表示し、登録したメールアドレスでログインする。ログイン時には登録したメールアドレス宛に認証コードが送信されるので、それをコピーして、入力する。

 ログインすると、povoの「契約管理」の画面が表示されるので、[eSIMの設定]をタップする。[eSIMの設定]画面で[eSIMプロファイルをダウンロード]をタップすると、eSIMプロファイルが端末にダウンロードされる。

 eSIMプロファイルがダウンロードできないときは、[eSIMの設定]画面に表示されている「コード」(「LPA」ではじまる文字列)をコピーして、スマートフォンの[eSIMの設定]にペーストすることで、手動で設定する。

 手動入力によるeSIMの設定は、Androidスマートフォンの[設定]アプリの[ネットワークとインターネット]から操作するところは共通だが、機種によって、それ以降のメニューが異なる。

[ネットワークとインターネット]を表示すると、NTTドコモの回線のみが登録されているので、[SIM]をタップする

 たとえば、Pixelシリーズでは[SIM]-[SIMを追加]-[eSIMを設定]の順に選ぶと、QRコードの読み取り画面が表示され、画面内の[こちらの解決方法をお試しください]のリンクをタップし、[SIMの設定サポート]の画面で[手動で入力]を選び、コピーしたコードをペーストする。

[SIM]の画面で[SIMを追加]をタップすると、[モバイルネットワークへの接続]画面が表示されるので、[eSIMを設定]をタップする

 AQUOSシリーズは[SIM]-[eSIMを設定]を選ぶと、QRコードの読み取り画面が表示されるので、画面中段下に表示されている[アクティベーションコードを入力する]を選んで、コピーしたコードをペーストする。Galaxyシリーズは[設定]アプリの[接続]-[SIMマネージャー]-[eSIMを追加]-[QRコードをスキャン]の順に選び、表示された画面で[有効化コードを入力]をタップし、コピーしたコードをペーストする。

povoに登録して、eSIMが発行され、「eSIMプロファイル」がダウンロードされているので、自動的に[povoのeSIMの設定]がスタートする。ダウンロードされていないときはQRコードをスキャンする画面が表示されるので、他の端末に表示されたQRコードを読み取るか、[アクティベーションコードを入力する]をタップして、アクティベーションコードを入力する

 povoの「契約管理」画面の[eSIMの設定]画面からeSIMプロファイルをダウンロードできたときは、Androidスマートフォンの[設定]アプリで[ネットワークとインターネット]を開き、[モバイルネットワークへの接続]画面が表示され、[eSIMの設定]を選ぶと、ダウンロードされたeSIMプロファイルが認識され、[povoのeSIMの設定]画面が表示される。[設定]をタップし、eSIMを有効化すれば、eSIMが利用できるようになる。

ダウンロードした「eSIMプロファイル」が読み込まれ、eSIMが登録された。[設定]をタップすれば、eSIMが有効になり、利用を開始できる

 今回は「AQUOS sense9」で設定を進めたが、eSIMプロファイルのダウンロードができている場合は、他のスマートフォンでも同じようにeSIMが認識され、非常に少ない手順でeSIMが有効化される。

[povo]を有効にするかどうかの確認が表示される

複数台の端末で登録

 Androidスマートフォンとは別に、パソコンやタブレット、他のスマートフォンを用意できるときは、それらの端末でeSIM登録に必要なQRコードを表示し、Androidスマートフォンで読み取ることで、povoのeSIMを登録することができる。

eSIMの設定したあと、Androidスマートフォンで1枚目のnanoSIMカードとeSIMを個別に設定するには、[設定]アプリの[ネットワークとインターネット]-[SIM]で設定する。画面はNTTドコモの回線(nanoSIMカード)にモバイルデータ通信が割り当てられているが、[povo]のeSIMが登録されたので、[povo]をタップ

 まず、パソコンなど、他のデバイスで「povo ログイン」で検索し、povoのログインページを表示する。従来はpovoのトップページで、左上のメニューから[サポート]-[povo2.0ログイン]を選ぶと、ログインページを表示できたが、ホームページが刷新され、原稿執筆時点ではトップページからログインページに遷移できないため、この手順を踏んでいる。

 povoのログインページが表示されたら、登録したメールアドレスでログインする。ログイン時には登録したメールアドレス宛に認証コードが送信されるので、それをコピーして、入力する。

 ログインすると、povoの「契約管理」の画面が表示されるので、[eSIMの設定]をタップすると、povoで発行されたeSIMのQRコードが表示される。

 eSIMを登録するAndroidスマートフォンを用意し、[設定]アプリを起動し、[ネットワークとインターネット]-[SIM]-[eSIMを設定]の順にタップする。[携帯電話会社のQRコードをスキャンしてください]の画面が表示されるので、他のデバイスに表示されているQRコードにカメラを向けて、読み取る。

 続いて、[eSIMをアクティベート]の画面が表示されるので、[続ける]をタップし、しばらく待っていると、[モバイル通信設定完了]の画面が表示され、povoで発行したeSIMがiPhoneに登録される。AndroidスマートフォンでeSIMのQRコードを読み取る画面は、機種によって違うが、いずれも[設定]アプリの[ネットワークとインターネット]を開き、eSIMを追加するメニューから操作できる。

[povo]のeSIMでモバイルデータ通信を利用するので、[モバイルデータ]をタップして、オンにする

モバイルデータを[povo]に切り替える確認画面が表示されたので、[povoを使用]をタップする。元に戻したいときは[povo]のモバイルデータをオフにするか、[SIM]の画面で[NTT DOCOMO]を選び、[モバイルデータ]をオンにする

 もし、QRコードの読み取りに失敗するようなときは、前述の「eSIM利用端末のみで登録」を参考に、コードを入力すれば、eSIMがアクティベートできるはずだ。

モバイルデータ通信をeSIMで利用する

 povoのギガチャージカードを使い、iPhoneやAndroidスマートフォンにデータ専用eSIMを追加できたら、これまで使ってきたnanoSIMカードの回線を音声通話やSMSに使いつつ、モバイルデータ通信をpovoのデータ専用eSIMで利用するように設定する。

 ちなみに、この設定はpovoのデータ専用eSIMを利用するときだけでなく、他事業者のeSIMでモバイルデータ通信を利用するときも同じで、海外渡航用のeSIMなどを利用するときも同じように設定できる。

 同様に、povoのデータ専用eSIM特有の話ではないが、デュアルSIMの環境ではどちらの回線が優先になっているのかを意識しておく必要がある。

 組み合わせるメインの回線の携帯電話会社にもよるが、各社のサービス利用時の認証を自社回線経由のみに設定したり、一定期間内にアクセスすることを求めるケースもあるため、必要に応じて、モバイルデータ通信で利用する回線を切り替えるなどの対応が必要になる。

 その意味でも各端末での回線の切り替え方などは、事前に確認しておきたい。

iPhoneの場合

 iPhoneのモバイルデータ通信を設定するときは、[設定]アプリで[モバイル通信]を選ぶ。すでに、povoのデータ専用eSIMが登録されていれば、[SIM]の欄に2つの電話番号が並んでいるはずだ。

 ここではこれまで利用してきたnanoSIMカードの回線が「主回線」、新たに追加したpovoのデータ専用eSIMが「povo」という名前でそれぞれ登録されている。SIMの欄のそれぞれの項目をタップすると、それぞれの回線の内容が表示されるので、「モバイル通信プランの名称」をタップして、わかりやすい名前に変更しておくといいだろう。

 [モバイル通信]の画面で、[モバイルデータ通信]をタップすると、複数の回線が表示される。ここでは「主回線」と「povo」が表示されているので、povoのデータ専用eSIMを使うのであれば、「povo」をタップして、切り替える。

 ちなみに、切り替えた状態でも主回線側の電話番号は動作しているため、音声通信やSMSの送受信などはそのまま利用できる。最下段の[モバイルデータ通信の切替を許可]は、説明にも書かれているように、電波状況と回線の利用状況に応じて、利用するモバイルデータ通信の回線を切り替えられる。

 使い方にもよるが、「主回線」を使いつつ、圏外やモバイルデータ通信のパフォーマンスが遅いときに「povo」に切り替えたいのであれば、オンにするといいだろう。逆に、「主回線」のモバイルデータ通信を節約しつつ、使うときは「povo」を優先するのであれば、オフのままでも構わない。

データ通信量を使い切ったときは、アプリやブラウザからトッピングを追加可能。店頭で「ギガチャージカード」を購入して、追加することもできるし、[povo]アプリに支払い方法を登録して、クレジットカードなどで購入することも可能

Androidスマートフォンの場合

 Androidスマートフォンのデータ通信を設定するときは、[設定]アプリの[ネットワークとインターネット]を選ぶ。ここから先の設定方法は機種によって、少しずつ異なるが、基本的には音声通話やSMS、モバイルデータ通信をそれぞれどちらの回線で使うのかを設定する。

 たとえば、今回、設定に利用した「AQUOS sense9」では、[ネットワークとインターネット]-[SIM]を選んで設定する。

 メニューには2つのSIM(回線)が並んでいて、片方はNTTドコモのnanoSIMカード、もう片方はpovoのデータ専用eSIMという構成。モバイルデータ通信をpovoのデータ専用eSIMで利用するように設定するため、[povo]をタップし、表示された画面内の[モバイルデータ]をオンに切り替える。「モバイルデータにpovoを使用しますか?」という確認のダイアログボックスが表示されるので、[povoを使用]をタップすれば、設定完了だ。

 ちなみに、設定のメニュー上では[povo]を選び、[通話の設定]や[SMSの設定]で[povo]を優先に設定することもできるが、「ギガチャージカード」で導入できるeSIMはデータ通信専用なので、利用できない。Pixelシリーズの設定も基本的には同じで、[ネットワークとインターネット]-[SIM]を選び、画面下方の[プライマリSIM]の[モバイルデータ]で、どちらのSIMカードを利用するのかを設定する。

 Galaxyシリーズの場合は[設定]アプリで[接続]-[SIMカードマネージャー]を選び、[優先SIM]の[モバイルデータ]でどちらのSIMカードを優先するのかを設定する。

Androidスマートフォン向けに提供されている[povo]アプリ。povoに接続せず、Wi-Fiや1枚目の回線(nanoSIMカードなど)で接続している場合でもデータ通信残量や使い放題の残り時間など、最新の情報が表示される

povoギガチャージカードのデータ専用eSIMをどう活かすか

 今年2月からローソンの店頭での販売が開始されたpovoのギガチャージカード。これまでもデータ専用eSIMのサービスは、各携帯電話会社やMVNO各社でも提供されてきたが、コンビニエンスストアの店頭で購入できるうえ、本人確認書類の提出なども必要なく、手軽に利用できる。

 国内で販売されるスマートフォンは、iPhoneは言うに及ばず、Androidスマートフォンも大半の機種がeSIMに対応しており、モバイルデータ通信量が足りないとき、たくさん使いたいときにすぐに利用できるメリットは大きい。

 では、具体的にどんなシチュエーションにマッチするのか。いくつか例を挙げて、考えてみよう。

料金プランのデータ通信量が足りない

 多くの料金プランでは、月々に利用できるデータ通信量の上限が決まっているが、利用できるデータ通信量が残り少なくなったり、段階制のひとつ上の段になってしまいそうなとき、データ専用eSIMを登録しておくことで、データ通信量不足を補うことができる。

 たとえば、メインの回線でデータ通信量が足りなくなったときは、3GB(30日間)のトッピングを購入して、その月を乗り切るわけだ。povoのデータ通信量は使い切っても新たにチッピングを追加しなければ、費用負担がないため、4月は3GBをトッピングして使い、5月は何も追加せず、6月に足りなくなったら、同じpovoのデータ専用eSIMにトッピングを追加するといった使い方ができる。

 利用するトッピングは[povo]のアプリから購入できる。

イベントや配信などで一時的にたくさん使いたい

 普段は契約する料金プランの範囲で利用していても一時的にモバイルデータ通信を使いたいというシーンもある。たとえば、1泊2日の出張でレポート作成やオンライン会議などで、パソコンのテザリングを使うとき、あるいは何かのイベントに参加したり、配信をするときなども一時的にモバイルデータ通信をたくさん使うことが考えられる。

 こうしたシチュエーションでは、povoのデータ専用eSIMを使うことで、普段の料金プラン側のデータ通信量の残量を気にせず、ストレスなく使うことができる。出張とイベント、配信ではそれぞれに利用するシーンが異なるが、1日~2日程度の一時的な利用増であれば、「データ使い放題(24時間)」を登録してしまうのが簡単だろう。

 もし、利用できるデータ通信量がある程度、わかっていて、月に何度か出張したり、イベントに参加するのであれば、「データ追加20GB(30日間)」を購入するのも手だ。

万が一に備えたい

 スマートフォンは日々の生活やビジネスに欠かせないもの。万が一、契約する携帯電話会社に障害が発生したり、利用しているエリアで特定の携帯電話会社でトラブルが起きたときなど、バックアップの回線を用意しておきたい。

 ただ、音声通話を含めたフル仕様の回線は、本人確認書類が必要な回線契約で、使わない月も費用の負担が増えてしまう。その点、povoのデータ専用eSIMであれば、登録には本人確認書類などが不要で、一度、登録をしておけば、使いたいときに[povo]アプリからのチッピング購入やギガチャージカード購入で、すぐに利用できる環境が整う。

 利用できるのはモバイルデータ通信のみなので、音声通話やSMSは利用できないが、メールの送受信をはじめ、WebページやSNSなどは利用できるので、非常時を乗り切る手段のひとつとしては有効だ。

手軽に利用できるが、覚えておきたいこと

 povoのギガチャージカードを利用したデータ専用eSIMは、この他にもいろいろなシーンに活用できそうだが、いくつか注意しておきたいことがある。

 まず、データ専用eSIMはその名の通り、モバイルデータ通信のみが利用できる契約なので、機種変更には対応していない。機種変更をするときは、改めて新しい端末でpovoのデータ専用eSIMを申し込む必要がある。

 同様の制限として、端末に登録したeSIMを何らかの理由で削除してしまった場合、eSIMの再発行は受け付けていないため、改めてデータ専用プランを申し込む必要がある。

 また、データ専用eSIMのプランを音声通話が可能なプランに移行することはできないため、新たに申し込みが必要になる。音声通話が可能なpovo2.0で契約している回線をデータ専用eSIMに変更することもできない。

 もうひとつ注意したいのは、対応機種の確認だ。自分の使っているスマートフォンが対応していると思い、手続きを試みたが、実は「eSIM対応機種ではなかった」といったことが内容に、povoのWebページの対応機種情報は事前に確認しておきたい。

 今回、ここで説明した内容と流れは、あくまでも原稿執筆時点のものであり、今後、アプリの更新やWebページの刷新などで内容が変更されることもある。申し込み時は一度、povoのWebページやアプリなどを確認したうえで、うまく手軽さを活かして、データ専用eSIMを試していただきたい。



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