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概要
PEファンドにおけるキャリー(ファンドの利益から得られる報酬)の内容とその分配方法について説明しています。具体的には、キャリーの定義、業界標準の報酬配分、役職による配分の差異、個人の関与度、パフォーマンスによる変動、そしてファンド運営のリスクとやりがいについて触れています。
要約の箇条書き
- キャリーの定義: キャリードインタレストとして知られ、ファンドの利益の一部がメンバーにボーナスとして支払われる。
- 業界標準: 投資からの儲けの約20%がファンド側に入る(残り80%はLPに戻る)。
- 分配方法: ファンドの方針により異なるが、役職(MD、D、VP、アソシエイトなど)や各個人の貢献度で決まる。
- 分配の透明性: 分配ルールは社員に開示されないケースが多く、役職が上がるほど配分は増える。
- アソシエイトの状況: 一部ファンドではアソシエイトクラスにはキャリーの配分がないことがある。
- キャリーの変動: パフォーマンスによってキャリーの金額は大きく変わる。MD~Dの場合、億単位のキャリーも可能性がある。
- 運営リスク: ファンド運営の成功が次のファンド設立に影響し、失敗が続くと全員が失業するリスクがある。
- やりがい: 成功した際の貢献度や報酬の大きさから、PEファンドの仕事には達成感や意義がある。
PEファンドへの転職を目指す候補者の方から、このPEではどのくらいのキャリーがもらえるのか? という質問をよくいただきます。
そもそもキャリーというのは、正確にはキャリードインタレストと呼ばれる報酬です。
簡単に言えば、ファンドが投資から得た儲けの一部を、メンバーがボーナスとして受け取るものです。
業界標準としては、投資から得た儲けの20%程度がファンド側に入ります(残りの80%はLPと呼ばれる投資家にリターンとして戻されます)。
そこから先はそれぞれのファンドの方針によりますが、例えば20%のうち半分を会社にキャッシュとして残し、残り半分をメンバーで配分したりします。
話をシンプルにして、例えば500億円のファンドが最終的に1000億円になったとして、儲けが500億円。500億円のうち80%の400億円はLPに戻しますが、残りの100億円がファンドを運営していた会社=GP側に入ります。
50億円は会社に残すとして、残り半分の50億円をメンバーで分配します。
では、どのように分配するのか。
ここからもファンドごとにかなり異なる部分になりますが、まずは役職(マネージング・ディレクター、ディレクター、VP、アソシエイト等)による傾斜があり、加えてその案件への各個人の関与度や貢献度によって決まったりします。
実はこの分配ルールがどうなっているかは、当のファンドの社員にすら開示されていないケースも多いです。ただし間違いなく言えるのは、タイトルが上がれば上がるほど配分は増えるということ。
もっと言うと、アソシエイトクラスにはキャリーの配分がないファンドも結構あります。
キャリーはサラリーとは根本的に異なる報酬なので上限はありませんし、ファンドのパフォーマンスによって大きく変動するものです。ですので、最初の質問である「どのくらいもらえるのか?」について一概にお答えすることは出来ないのですが、MD~Dクラスだとファンド運営が本当にうまくいけば億単位が出ます。
過去には10億円単位のキャリーを得た方も現実にいます。
もっとも、最初に立ち上げた1号ファンドの運営に失敗すれば2号ファンドはレイズできない(リターンが期待できないファンドにお金を預ける投資家はいないですよね)ですし、2号が失敗すれば3号はなく、結果すべてのメンバーが失業してしまうわけです。
どこまでも勝ち続けなければならないという厳しい世界であり、個人のキャリアを考えた時にリスクもあるわけですが、その分、成功した時の社会貢献度や金銭的なリターンは大きく、やはり遣り甲斐のある仕事のひとつであることは間違いありません。
加藤浩
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