NVIDIAが中国向けに販売している「H20」について、アメリカ政府がNVIDIAに対して「ライセンスが必要である」とする通知を送付したことが明らかになりました。NVIDIAはライセンスに関連する費用として55億ドル(約7850億円)を計上しています。
NVIDIA CORP 8-K 2025-04-09
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1045810/000104581025000082/nvda-20250409.htm
Nvidia says it will record $5.5 billion charge for H20 GPUs to China
https://www.cnbc.com/2025/04/15/nvidia-says-it-will-record-5point5-billion-quarterly-charge-tied-to-h20-processors-exported-to-china.html
アメリカは中国によるAI開発を国家安全保障上の脅威と認識しており、AIの開発に役立つ高性能半導体の中国への輸出を制限しています。NVIDIAは規制を回避できるレベルにまで性能を落としたAI処理チップ「H20」を開発して中国向けに販売しています。NVIDIA製AIチップは中国でも人気を博しており、2024年には中国でのH20の販売だけで2兆円以上の売上高を記録したと見積もられています。
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しかし、アメリカ政府が中国への半導体輸出規制を強化してH20にもライセンス要件を課したことが明らかになりました。NVIDIAが2025年4月15日に証券取引委員会に提出した書類には「2025年4月9日に、アメリカ政府はH20を中国に輸出する際にライセンスが必要になることを当社に通達した」「アメリカ政府はH20が中国のスーパーコンピューターに使用されるリスクに対応するべくライセンス要件を設定したと説明した」と記されています。さらに、NVIDIAは「H20の在庫や購入、その他の準備金などのために2026年度第1四半期に55億ドル(約7850億円)を計上する」とも記しています。
H20の規制を巡っては、2024年4月9日に「ジェンスン・フアンCEOとドナルド・トランプ大統領の会食の直後に、H20に関連する規制が撤廃された」と報じられています。しかし、NVIDIAがSECに提出した書類には「2025年4月14日に、ライセンス要件は無期限に有効であると伝えられた」とも記されており、会食の数日後に改めてライセンス関連の通達が行われたことが読み取れます。
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なお、NVIDIAは関連企業とともにアメリカ国内に5000億ドル(約70兆円)を投資してAIインフラを構築することを表明しています。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルは「NVIDIAは最終的に実現を目指す生産能力を具体的に示していない」と指摘しています。また、ロイターは「トランプ関税によってアメリカの半導体製造装置メーカーは10億ドル(約1400億円)以上の損失を被ることになる」と報じています。
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