CD PROJEKT RED JAPAN主催のもと、株式会社スパイク・チュンソフトの会議室にてNintendo Switch 2版『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』のメディア向け試遊イベントが実施された。およそ1時間にわたってSwitch 2版を試遊してきたので、Switch 2版『サイバーパンク2077』に注目しているゲーマーが気になることをお伝えしたい。
『サイバーパンク2077』とは、CD PROJEKT RED(以下、CDPRと表記)が開発、販売するオープンワールドRPGだ。1988年に発売されたテーブルトークRPG『Cyberpunk 2.0.2.0.』を原作としながら、本作では古今東西のサイバーパンク要素をすべて集めたようなストーリー、演出、戦闘、探索といった幅広いゲームプレイが楽しめる。Nintendo Switch 2版『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』はNintendo Switch 2本体のローンチ(2025年6月5日)と同時にリリースされる予定で、すでに他機種(PS5/ Xbox Series X|S/ PC)で発売されたDLCおよびアップデートがすべて収録されたものとなっている。
そのため、Switch 2版のサイバーパンク2077のゲーム内容は他機種と同じであり、Switch 2への移植にあたってカットされたゲームプレイや仕様変更などはない。ただし、Switch 2版ならではの特殊機能や他機種との差異がいくつかある。それらを掘り下げていこう。
・Switch 2版の特徴
Switch 2版の主な独自機能は、携帯モードで持ち運び可能であることと、Joy-Con 2による特殊な操作に対応していることがあげられる。今回実施されたメディア向けの試遊会では、これまでの一般向け国内試遊イベントとは異なり、「携帯モード」でのプレイが解禁された。
筆者が抱いた第一印象としては「思ったよりも、いつも通りに遊べるな」というものだった。ゲームプレイなどは他機種版と同一なので当たり前ではあるが、曲がりなりにも家庭用携帯ゲームとしての環境で『サイバーパンク2077』をいつも通りに遊べる時代が多くのゲーマーにじきに訪れることへの驚きを隠せない。

●TV接続時と携帯モードのパフォーマンス
Switch 2版『サイバーパンク2077』に関心を持つユーザーがもっとも気になることの一つは「どれくらいのパフォーマンスが出るのか」だろう。多くのハードコアなゲーマーがSwitch 2のスペックに多大な関心を寄せており、重量級オープンワールドゲームの代表格『サイバーパンク2077』がその指標の一つとして見られているからだ。ざっくりまとめると、以下の表のようになる。

Switch 2はハードウェアの仕様としては、TVモードでは解像度が4K(2160p)まで対応しているが、『サイバーパンク2077』の上限はフルHD(1080p)だ。また、他ゲーム機版(PS5/Xbox Series X|S)と異なり、パフォーマンスモードの目標フレームレートは60fpsではなく、40fpsが目安となる。なお、CDPR担当者より「Switch 2版にレイトレーシング機能は搭載していない」という回答を頂いている。
ゲーム・グラフィクスに目ざといゲーマーは、上の表を見て「TVモードでそれぞれモードが違うのに、なぜ解像度が1080pで共通化されているのか?」と疑問を抱いたかもしれない。これについても、CDPRの担当者より「アップスケール元の解像度がそれぞれ異なるため」との回答をいただいている。同じ1080pでも、それぞれ画質にちょっとした差があるのだ。

本作にはDLSS(Deep Learning Super Sampling)と呼ばれる、低い解像度から高い解像度に補正する技術(超解像度、アップスケールとも呼称)が採用されている。補正元となる低い解像度にも程度の差があり、より高い解像度から補正すれば、そのぶん最終的な画質が向上する(そのかわり、補正元の解像度が高いほどフレームレートは高くなりづらい)。Switch 2向けDLSSの仕様は一般公開されていないが、PC向けDLSSのようにモードに応じて「66%の解像度から補正」「50%の解像度から補正」といった補正前の解像度に差があるものと思われる。
筆者としては、Switch 2版の『サイバーパンク2077』をプレイするなら、基本的にパフォーマンスモードがよいと考えている。クオリティモードとパフォーマンスモードを切り替えながらプレイしても画質に明確な差を感じることはなく、敵キャラクターとのバトルや街中のドライブ中など、処理負荷が重いシーンではパフォーマンスモードがより快適にゲームプレイに集中でき、ストレスが少ないと感じられたからだ。とくにパフォーマンスモードからクオリティモードに切り替えたときは、フレームレートの低下がはっきりとわかった。
ただし、モニターに接続してプレイする場合は、モニターのリフレッシュレートが120Hz以上でないとパフォーマンスモードが利用できない仕様となっている(VRRは携帯モードのみ対応で、モニターがVRR規格に対応している必要はない)。一般的な家庭用テレビはほとんど60Hzが上限となっているため、TVモードでのパフォーマンスモードを利用できないゲーマーも少なくないだろう。ゲーミングモニターは120Hzに対応していることが多いので、TVモードでパフォーマンスモードを利用したい場合は現在利用しているモニターの性能をよく確認してほしい。

携帯モードのパフォーマンスモードは出力解像度が720p(フルHDの約半分ほど)となっているが、3DCG映像の質はクオリティモードの場合と比べて差がはっきりとは感じられなかった。一方、UIの文字などはクオリティモードと比べて解像度が明確に低くなっていたが、文字が読めなくなるほど不便になるわけではないため、筆者としては文字の解像度の低下は許容できる範囲だと感じられた。

なお、Switch 2はTVモードおよび携帯モードでHDR(High Dynamic Range、通常より広い明暗の幅を描画する機能)を有効化することができる。筆者は携帯モードとTVモードでそれぞれHDRのオン・オフを切り替えてみたが、色彩やフレームレートにはっきりとした違いは感じられなかった。特にこだわった理由がなければ、オンのままにしておいて問題ないだろう。HDRの効果の良し悪しを判別できるかどうかはフレームレート以上に個人差が大きい。
●Switch 2版に固有の操作について
Switch 2版『サイバーパンク2077』には他ゲーム機版にはない、以下のような操作がいくつか実装されている。
・モーション操作による一部アイテム・武器の使用(刀や回復アイテムなど)
・Joy-Con 2(R)のマウス操作
・ジャイロセンサーによるカメラ操作
・タッチパネルによるUI操作
このうち、「モーション操作による一部アイテム・武器の使用」はこの日は体験できなかった。それ以外のSwitch 2版の操作について説明しよう。
・Joy-Con 2(R)のマウス操作
Nintendo Switch 2の目玉となる新機能「マウス操作」を活用したモードで、オプション画面から設定したうえでJoy-Con 2(R)をテーブルに置くと、マウス操作ができるようになる(「サイバーパンク2077」では、Joy-Con 2(L)でマウス操作することはできない)。
基本的には、右スティックの操作がマウス操作に変わり、特にカメラ操作をPCのマウスのような感覚で扱えるようになる。しかし、右スティック以外のボタン配置はそのままなので、ジャンプや決定などキー配置は非マウス操作時そのままであり、Joy-Con 2のマウス操作のために最適化はされていない。マウス操作を使いこなそうとするには、それなりの時間が必要となるだろう。
また、ポーズメニューやオプションといったUI操作もマウスで操作できるのはボタン操作よりも素早くて便利ではあるが、オプション画面からマウス操作モードに変更しないと利用できないため「普段のゲームプレイはボタン操作だが、ポーズメニューをマウス操作する箇所だけマウス操作に切り替える」といった使い方は想定しづらい。『メトロイドプライム4』のように、Joy-Con 2を持って使うか机において使うかで右スティックによる操作とマウス操作がシームレスに切り替えられるようになれば、より試してみたくなるかもしれない。今後のアップデートによる対応に期待したいところだ。
・ジャイロセンサーによるカメラ操作
Nintendo Switchでは『スプラトゥーン2』『スプラトゥーン3』から『The Elder Scrolls V: Skyrim』まで幅広いゲームに搭載されていることでおなじみのジャイロセンサー(コントローラーを上下左右に向けること)によるカメラ操作は、Switch 2『サイバーパンク2077』でも採用されている。本作ではジャイロセンサーのカメラ操作が常時効くようにするか、銃などの遠隔武器を使用時のみに効くようにするか、エイム長押し中にのみ効くようにするかの三つから選択可能だ。
常にジャイロセンサーでカメラを操作するようにすると、街を探索しているだけのときでも常にカメラが動いてしまうようになるので、エイム時のみジャイロセンサーが効くようにするとプレイしやすい。とはいえ、『サイバーパンク2077』はもともとゲームパッドでのプレイ時にエイム補正が強く、精密なエイムさばきが重要ではないゲームなので、あくまで限定的な補助となる。広範囲攻撃やハッキングではなくスナイパーライフルなど遠距離武器を中心にロールプレイしたいときには役立つだろう。
・タッチパネルによる操作
Switch 2の携帯モードとテーブルモードでは、Switch 2本体のモニターをタッチすることでオプション画面やポーズメニューほかUIをタッチ操作することができる。「携帯ゲーミングPCでも同様の操作ができるのでは?」と思われる読者もいるかもしれないが、携帯ゲーミングPCでのプレイ時はゲームパッドとタッチパネルによる操作をスムーズに切り替えることが難しい。このシームレスなタッチ操作はSwitch 2のユニークな機能といえる。ただ、筆者は『サイバーパンク2077』を普段からゲームパッドのボタンで操作していたため、タッチパネルによる操作はあまり利用しなかった。
余談だが、筆者がSwitch 2版『サイバーパンク2077』をプレイしてはじめに驚いたのは「決定が右側のAボタン」ということだった。他のゲーム機向けのゲームパッドでは下側のボタンが決定キーであるため、決定のAボタンが右側であることに慣れるのに少し時間がかかった。すでに他機種での『サイバーパンク2077』をプレイしている場合に慣れが一番必要なのは、決定キーの配置の差異かもしれない。
●結論:ナイトシティを携帯モードで持ち運びたい人はSwitch 2版
筆者の結論としては、Switch 2版『サイバーパンク2077』は携帯モードでのプレイをオススメしたい。特に、一人称視点がずっと続く本作ではフレームレートの安定が快適なプレイのために何よりも重要であり、携帯モードではパフォーマンスモードを誰でも利用できることが大きい。
2025年6月時点で他ハードと比較し『サイバーパンク2077』の完全版を安定してプレイできるゲーム端末として一番安価なのがNintendo Switch 2であり、携帯モードでのプレイはほとんどの携帯ゲーミングPCよりもNintendo Switch 2版がより長くプレイできる(CDPR担当者より、Switch 2版の開発環境では、2時間程度のプレイが可能だったとの説明があった)。
なお、日本コンソール版とのクロスプログレッション(機種を超えたセーブデータ共有)は可能だが、PC版および海外版とはできない(この仕様は日本向けゲーム機版共通となる)。そのため、「PC版でプレイしたデータをSwitch 2版でも遊びたい」という場合は、注意してほしい。
●おまけ:Steam Deckとの比較
『サイバーパンク2077』に限らず、Nintendo Switch 2はSteam Deckとの差が大きく注目されている。筆者はSteam Deckを所持しているため、実際にSteam Deckとの比較をいくつか実施した(試遊会場には持ち込んでおらず、Switch 2版試遊イベントのあとに個人的にSteam Deckでプレイした)。『サイバーパンク2077』のPC版にはグラフィック設定のプリセットに「Steam Deck」という基準があり、これを使用しての比較となる。
まず、平均フレームレートはSteam Deckの方が高い。Switch 2版は30~40fpsだが、Steam Deckではベンチマークで45fpsを記録しており、負荷が軽いシーンでは50fpsを超えることもある。しかし、Steam Deckでも負荷の高い箇所ではフレームレートが30fps程度に低下する。また、Switch 2版では乗り物で街を走り回っていたとき、オートセーブ処理が入ったタイミングで一時的なゲームの停止(フレームドロップ)が発生したが、Steam Deckで同様に街を走ったときオートセーブ処理が発生しても一時的なゲームの停止は発生しなかった(もしくは、感じられないほど短いものだった)。
一方、画質はSwitch 2版の方がよい。体感として、Switch 2の携帯モードの方がSteam Deckよりもビジュアルがくっきり見えた。これはNintendo SwitchがNVIDIA製のAIのパーツを用いたアップスケール「DLSS」に対応していることが大きいだろう。Steam DeckのアップスケールはAMDによるFSR 2.0を使うことができるが、これはAIのパーツを使用しないためアップスケールの精度がDLSSほど高くはない。
さらに、バッテリーの持ち時間はSwitch 2の方が長い。Switch 2ではバッテリーが2時間は持つものの、Steam Deckは1時間45分ほどだ。携帯ゲームの環境では単なるフレームレートや画質だけでなく、持ち運び用との優位性も立派なスペックの指標であり、持ち運びの性能はSwitch 2がSteam Deckに明確に勝る点になると思われる。こうした検証が参考になれば幸いだ。
🧠 編集部の感想:
Nintendo Switch 2版『サイバーパンク2077』の先行プレイは、携帯型で手軽に高品質なオープンワールド体験ができることに驚きました。ゲームプレイは他機種同様ながらも、携帯モードでのパフォーマンスが安定している点が特に評価できます。また、Joy-Con 2の新機能や操作性も新たな楽しみを提供し、Switch 2の魅力をさらに引き出しています。
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