NHKは15日、サービス開始から5年目を迎えたインターネット配信「NHKプラス」の説明会を開催。今年10月の“ネット必須業務化”に合わせ、テレビ向けアプリにおいても、常時同時配信機能を提供する準備を進めていることを明らかにした。実現すれば、チューナーレステレビにおいても、ネットを通じて、通常のテレビと同じようにNHKの地デジ番組をリアルタイムで視聴できるようになる。

NHKプラスのテレビ向けアプリは、Google TV搭載テレビ(ソニーやシャープなど)、Fire OS搭載テレビ(パナソニックなど)、レグザやハイセンス、LGなどのスマートテレビ、Fire TV Stickといったストリーミングデバイスなどで現在提供中だが、これまでは見逃し番組配信しか利用できなかった。10月以降は、対応デバイスで常時同時配信も順次利用できるようになる予定。

5年目の「NHKプラス」登録者は約600万人超。「べらぼう」「あんぱん」好調

NHKプラスは、総合テレビおよびEテレの一部番組をインターネットで同時配信する「常時同時配信」と、放送後約1週間アーカイブ配信する「見逃し番組配信」を組み合わせた、受信契約者向けのサービス。

登録すれば、受信契約者は追加料金を払うことなく利用でき、スマホやタブレット、パソコンなどでもNHKの番組を楽しむことができる。

NHKプラスの機能「常時同時配信」。パソコンやスマホ、タブレットなどで提供中。テレビ向けアプリでは現状提供されていない

地方向け放送番組の見逃し配信も行なわれている

「見逃し番組配信」。放送から1週間視聴可能。0.75倍・1倍・1.25倍・1.5倍・2倍と再生速度の変更にも対応する

利用にはID/パスワードの設定ほか、受信契約者の氏名・住所の入力が必要。受信契約の確認が済むと、登録申込みを促すメッセージが消去される。

同一生計の家族で利用することも想定しており、一つのIDにつき5画面まで同時視聴が可能。また受信契約の確認中でも、メッセージ付きにはなるが、常時同時配信は利用できる。

NHKプラスは、2020年3月の試行的配信を経て、同年4月にサービスを開始。ID登録者(NHKによる受信契約確認が済んだ登録者)は年々増加しており、2024年12月末時点での数は約591.6万人。受信契約総数4,077万件のうち約14%強が、NHKプラスを登録している計算だという。

配信番組も年々拡大。高校野球など、権利の都合で配信できていない番組も残っているものの、その数は年々少なくなっており、現状は全放送番組の数%程度にまで下げることができているという。

NHKプラスのID登録数の推移。2024年12月末時点では約591.6万だが、4月現在ではすでに600万を超えているという

登録者の増加要因となっているのが、紅白歌合戦や連続テレビ小説、大河ドラマといった人気の大型コンテンツの存在。特に紅白などの放送時期は「登録に結び付く申請が増える」(NHK担当者)という。

実際、昨年大みそかに放送した「第75回NHK紅白歌合戦」は同時・見逃しを合わせて215万UB(NHKプラス最高値)、現在放送中の連続テレビ小説「あんぱん」初回は76.1万UB(歴代ドラマ1位)、大河ドラマ「べらぼう」初回は72.8万UBなど、いずれも高い数値を記録している。

NHK担当者は「1週間あたりの平均UB数は233万。登録者の1/3が1週間に1度利用しているような状況。具体的な数値目標は公表していないが、ID登録者と合わせUB数も徐々に増やして行きたい」とコメント。

「あんぱん」とコラボしたNHKプラスのオリジナルPR動画を制作するなど、更なる認知・利用者の拡大を引き続き行なっていくとした。

なお、Apple TV 4Kなど、現在テレビ向けアプリが提供されていないデバイスの対応については「利用できるデバイスを増やしていきたいという気持ちはある。様々な可能性を含め検討中」と回答。BS番組の常時配信・見逃し配信対応については、「スポーツや海外の放送局の映像など、権利の問題が大きく難しいのではないか」とのことだった。

デジタルセンター 鈴木章雄 副部長(NHKプラス編集長)

4月下旬から5月上旬の大型連休中も、注目番組を順次配信する予定。

具体的には、人気バンドMrs.GREEN APPLEの音楽特番やBE:FIRSTのスペシャルライブ、N響による大河ドラマ&名曲コンサート、タモリ×山中伸弥共演のNHKスペシャル「人体III」、H3ロケットのエンジン技術者にスポットを当てた「新プロジェクトX」などを用意しているという。

報道/防災・教育アプリは受信料対象。ラジオ・語学アプリは非対象

NHKプラスと合わせ、ネット必須業務化の進捗状況についても説明が行なわれた。

NHKはこれまで、放送の同時・見逃し配信(NHKプラス)や、ニュースを含む番組関連情報の発信といったインターネットサービスを“任意業務”として行なってきた。

しかし、2024年5月に放送法が改正。「放送番組の同時配信」「放送番組の見逃し(聴き逃し)配信」「番組関連情報の配信」という3つのネットサービスが“必須業務”と規定され、放送と対等の業務に格上げされた。

これら3つのサービスを今年10月から本格運用すべく、現在NHKでは具体的な内容や仕組みなどが検討されている。

今回説明が行なわれたのは、スマホ・タブレット向けに用意する想定のアプリ構成。

スマホ・タブレット向けには現在、番組配信「NHKプラス」、報道・防災ニュース「NHKニュース・防災」、学校向けの「NHK for School」、ラジオを聞く「NHKラジオ らじる★らじる」、語学関連の「NHKゴガク 語学講座」、国際向け「NHK WORLDJAPAN」という、計6つのアプリを提供している。

NHKによれば、10月の必須業務化以降も“現行と同様の公式アプリ”で提供できるように開発を進めており、提供内容も各アプリに応じた情報を変わらず提供していく予定。ただ、現行のアプリをアップデートして使えるようにするのか? もしくは別のアプリを新たにダウンロードすることになるのか? は「現段階では未定」とした。

業務化以降で大きく変わるのは、6つのアプリが「受信料対象」と「受信料対象外」へ分かれること。

上述したように、NHKプラスの利用には“受信契約の確認”というステップが入っているが、ほか5つのアプリの利用には現状そうしたステップは含まれていない。今年10月1日以降は、NHKプラスだけでなく、報道・防災情報が掲載されるニュースアプリや、教育アプリの利用にあたっては、受信契約が前提となる。

一方で、ラジオ視聴や語学アプリ、国際向けアプリに関しては、引き続き受信料の対象外となっている。

なお、NHKによれば「災害等の緊急時にはニュースアプリを誰でも見られるようにする。教育アプリは学校で利用する際は受信料の免除となる。またアプリをただダウンロードしただけでは、受信料対象にはならない」とのこと。

詳細は現在検討中とのことだったが、イメージとしては、アプリをダウンロードし、開いた際に表示される案内(利用には受信契約が必要になる旨の案内)に対し同意を示す操作を行なうことで“契約対象”とする仕組みを想定しているという。

スマートフォンやタブレット向けのアプリだけでなく、チューナーレス製品のようなコネクテッドテレビ、パソコンについても、デバイスに応じたブラウザ・アプリを用意する。「デバイスごとで、可能な限り、放送と同一の情報内容・価値が担保されるよう、最適化して提供する」という。

10月以降のウェブブラウザ上でのNHKニュースの表示はどうなるのか? 一般的な有料記事のように、ログインしてから内容が見られるようになるのか? という質問に関しては、「現在検討中。詳細が決まり次第、サービスの概要を改めて説明する」とのことだった。

インターネット必須業務化事務局 山﨑英一 事務局長



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