主人公のサラはPTSDを抱えたシングルマザー。アメリカでの職を手にして幼い息子ジョシュとともにドイツのフランクフルトにあるアメリカ領事館に出向く。長い順番待ちに飽きて遊びたいとせがむジョシュを子供用の娯楽室で待たせていたが、やっと順番が来たと思って迎えに行くと、そこに彼の姿は無かった。
領事館の警備部門長に息子を探すよう掛け合い館内の捜索が行われたが息子は見つからない。それどころか、監視カメラを確認したところ、あなたはここへ独りで来たと告げられる。この場にドイツ警察を立ち会わせるよう懇願するも、そこは領事館、つまりエクステリトリアル(治外法権)だからアメリカのテリトリーなのだ。
サラは元軍人で特殊部隊にいた。アフガニスタンでの作戦中に襲撃され、彼女だけが生き残った。その時の記憶によって重いPTSDを患ってて、薬の服用と続けている。
息子と一緒に来たというのはサラの妄想なのか、それとも誰かに誘拐されたのか。サラは会議室に閉じ込められるもそこを脱出し、息子を探して領事館内を動き回るのだが・・・。
ドイツ映画で登場人物の多くがドイツ語を話すので演者はみなドイツ人かと思いきやそうではないから驚いた。アメリカ領事館という設定上、劇中ではドイツ語以外に英語も使われるが、どちらを話している時も自然で違和感ない(ネイティブが聞けば違うのだろうが)。
会話の言語が何語かは映画の面白さとは関係ないことを改めて知らされた気がする。主人公の女性が元軍人でしかもかなりのスキルを持っているという設定でもあり、領事館内を暴れまわるアクションシーンの多さにも驚く。
そして、何よりも斬新だと思ったのが、アクションシーンのカメラワークだった。どこかで観たことがない訳では無いと思うが、流れるようなアクションシーンを縦横無尽に追尾するカメラワークは新しい流行になるかもしれない。しかもカメラがかなり近くにある。どうやって撮影したのだろうと興味が湧く。
物語の殆どはアメリカ領事館という限られた空間内で起こる。エリアの狭さと裏腹に、サラが動き回るアクションシーンはダイナミックで、スケールは寧ろ広く感じる。
ハラハラさせる展開と、スッキリ爽快なアクション。派手さは無いが楽しめる作品に仕上がっている。
おわり
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