Slackユーザーの皆さんなら、きっと経験があるのではないでしょうか。メッセージに絵文字をつけるだけで、自動的に翻訳が始まったり、タスクが作成されたり…。そんな便利な機能が、ついにMicrosoft Teamsでも利用できるようになりました!個人的にSlackのこの機能は本当に推していて、チームのワークフローを大幅に効率化してくれる素晴らしい仕組みだと思っています。それがTeamsでも使えるようになった ということで歓喜して、ブログを書いています。
Teams で絵文字リアクション・ワークフローを実現する方法
Microsoft TeamsではPower AutomateやLogic Appsを使用する ことで、絵文字リアクションをトリガーとしたワークフローの構築が可能になりました。これまでTeamsを使っていて「Slackのあの機能が使えたらなあ…」と思っていた方には朗報ですね!Power AutomateやLogic Appsのコネクタを使用することで、Teams上での絵文字リアクションを検知し、それをきっかけに様々な処理を自動実行できます。
簡単なユースケース:AOAIを使ったメッセージ翻訳
具体例として、Azure OpenAI Service(AOAI)を活用したメッセージ翻訳ワークフローを見てみましょう。
実装の流れ
- トリガー設定: Power Automateで「Teams メッセージに応答が追加されたとき」をトリガーに設定し、その中で特定の絵文字リアクション(例:honyaku(翻訳)というカスタム絵文字)を指定します。利用できる絵文字リアクションは、Teamsに元から用意されている絵文字だけではなく、カスタム絵文字も利用できることを確認しています。
- メッセージの取得:
- AOAI呼び出し: 条件に合致した場合、元のメッセージ内容をAOAIに送信して翻訳を実行
- 結果投稿: 翻訳結果を元のメッセージにリプライまたは新しいメッセージとして投稿
これにより、以下のようにチーム内で多言語でのコミュニケーションが発生した際に、[honyaku(翻訳)] の絵文字をつけるだけで瞬時に翻訳され、スレッドで翻訳された言語を共有します。(Teamsについている翻訳機能を使ってもいいですが・・・)
ちなみに、上記のスクリーンショットは、これまたTeamsの新機能である「スレッド」を有効化したチャンネルでの見え方になります。Slackのように最初のポストが時系列に並び、それらに対しての応答はスレッド形式で右側のメッセージタブで見る形になります。個人的には、SlackのこのUIが大好きだったので歓喜しています。尚、従来のTeamsチャンネルでは以下のような見え方となります。
その他の活用アイデア
絵文字リアクション・ワークフローの可能性は翻訳だけにとどまりません。以下のような様々なユースケースが考えられます。
📝メッセージの要約、生成AIの呼び出しと応答
長い議事録や詳細な技術説明に📝絵文字をつけることで、裏側でAzure OpenAI(ChatGPT)が呼び出され、生成AIの力で自動的にポイントを整理して要約を生成。忙しいメンバーでも重要な情報を素早くキャッチアップできます。また、先ほどの翻訳のユースケースのように、メッセージ等の内容を翻訳させたり、加工したりなど、アイデア次第で様々な使い道ができます。
🎫 チケット・タスク起票
依頼事項や機能要望のメッセージに🎫絵文字をつけると、自動的にJiraやAsanaにチケットが作成される仕組みが考えられます。メッセージの内容をチケットの詳細として登録する作りこみができるので、情報の漏れも少なくなることが期待できます。
✅ 承認ワークフローの起動
稟議書や企画書の承認が必要なメッセージに✅絵文字をつけるとチケット管理システムが起動し、承認フローを開始できます。
🆘 ヘルプデスクへの誘導・担当者のアサイン
技術的な質問やトラブル報告に🆘絵文字をつけると、自動的にヘルプデスクチケットが作成され、適切な担当者への割り当てが行なえます。メッセージの投稿者には自動返信で対応状況やチケット番号が通知するような作りこみもできるので、スムーズなサポート体制を構築できます。
🚨 インシデントワークフローの起動
システム障害やセキュリティインシデントの報告に🚨絵文字をつけることで、即座にインシデント対応チームへの緊急通知、対応チャンネルの作成、関連ドキュメントの共有などが自動実行できるようにできます。
📚 ナレッジ登録
有用な情報や解決策が含まれるメッセージに📚絵文字をつけることで、ナレッジベースに自動登録。後から検索しやすい形で情報が蓄積されていきます。
🧠 RAGデータベースの更新
ナレッジ登録と非常に似ていますが、FAQ対応や技術的な質問の回答に🧠絵文字をつけることで、RAG(Retrieval-Augmented Generation)のデータベースに自動追加。将来的にAIが同様の質問に対してより精度の高い回答を提供できるようになります。
導入時の考慮ポイント
実際に導入する際の考慮ポイントとしては、以下のような点が考えられます。
- 絵文字の統一: チーム内で使用する絵文字とその意味を事前に定義し、共有しておく
- 権限管理: 実行できるチャンネルを制限したり、特定のワークフローは自分のみのリアクションでのみ動作するよう制限をかける
- ボットアカウントの用意の要否: LogicApps等でTeamsに接続する際のアカウントを個人のものにするか、専用アカウントを用意するかを設計しておくことをお勧めします
- エラーハンドリング: 外部APIの呼び出し失敗時の処理を適切に設計する
- コスト管理: API呼び出し回数やストレージ使用量を監視し、予想外のコスト発生を防ぐ
終わりに
Microsoft Teamsでの絵文字リアクション・ワークフローは、日々のコミュニケーションをより効率的で楽しいものに変えてくれる可能性がある強力な機能です。この機能を使いこなせるTeamsを使っている組織がどれだけあるかは未知数ですが、Teamsを使用している方は、ぜひこの機能を活用してチームの生産性向上を図ってみてください。皆さんのTeamsライフがより便利で効率的になることを願っています!
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