はじめまして、ますみです!
株式会社Galirage(ガリレージ)という「生成AIに特化して、システム開発・アドバイザリー支援・研修支援をしているIT企業」で、代表をしております^^
この記事では、Microsoft Build 2025の発表内容をまとめていきたいと思います🎉
もしも現地で参加している方は、ぜひ会場で見かけたらお声がけいただけたら嬉しいです^^
ちなみに、現地のKeynoteの会場の雰囲気はこんな感じでした!!!
イントロダクション
まず、CEOのサティア・ナデラさんは、Building the open agentic web
という世界観を発表しました!
このフレーズは、Build 2025の重要なテーマであり、この後の最新発表につながっています!
さらに、以下のDeveloper tools
と 次の4段階のレイヤーに分類をして、これ以降の発表をしていきます。
- Apps and agents:アプリとAIエージェントの階層(いわゆるアプリケーションレイヤー)
- AI platforms:AIプラットフォームの階層(いわゆるミドルウェアレイヤー)
- Data:データの階層(いわゆるデータレイヤー)
- Infrastructure:インフラの階層(いわゆるインフラレイヤー)
1. GitHub Copilot(VS Codeプラグイン)のOSS化
まず最初の目玉となる発表です!
なんと驚くことに、GitHub CopilotのVS Codeの拡張機能がOSS化されました!
より正確には、VS Code本体のOSSリポジトリにGitHub CopilotのAI機能を統合し、コード補完・Chat・多ファイル編集・エージェント機能を誰でもビルド・検証可能になりました。
OSS化により企業・コミュニティでの拡張やセキュリティ監査が容易になった上、エンタープライズユーザーからするとGitHubのサーバーにトラフィックを経由させないような組み換えが可能になったため、かなりありがたい発表ですね^^
より詳細な情報は、下記の記事をご参照ください◎
また、このタイミングで、これまでのGitHub Copilotの推移もまとめられ、直近ではGitHub CopilotのMCP対応が挙げられます。
- June 2021: Code completions
- March 2023: Chat / Voice / CLI
- November 2023: Workspace / Extensions / Mobile
- October 2024: Multi-file edits / Model Choice / Copilot autofix
- February 2025: Agent mode / Next edit suggestions / Code review
- April 2025: MCP support
その他にも、これからのAIネイティブ開発におけるあり方についても、コンセプトが提示されました。
- Level1: Human asks, AI answers
- Level2: Human assigns, AI executes
- Level3: Human and AI assign tasks to each other
また、GitHub Copilotの新機能として、Agent Modeが正式公開されたり、GitHubのイシューにGitHub Copilotをアサインすると自律的にブランチ作成からPR提出まで実行されるようになりました。
2. Azure SRE AgentのPublic Preview化
次に、サイト信頼性向上のための「自律型SREエージェント」であるAzure SRE Agentがリリースされました。
これは、Day 2のKeynoteでもデモされた内容で、インシデントが起きた時に、パフォーマンスを見に行って、適宜パッチを当てたりすることもできるようでした。
具体的には、以下のようなフローで動作するようです。
- インシデントを自動トリアージ
- 根本原因解析
- 緊急回避を実行
さらに、組み合わせ技として、インシデントレポートをGitHub Issueとして生成し、修正タスクをCopilotに割り当てをすることも可能です。
3. Microsoft 365 CopilotのGA化
Microsoft 365 Copilot の一般提供(GA)がついにされました🎉
発表内では、5つのシナリオ(Chat / Search / Notebooks / Create / Agents)をが紹介されました。
その中でも、Web + 社内データに基づく高度なCoT推論も強調されており、これはかなり一般ユーザーにとってはありがたい技術要素だと思いました。
その他にも、現在Frontierプログラムに参加している人たちが使える「ResearcherやAnalyst」などの専門エージェントも紹介されました。
このエージェントは、Teams内で@メンションをすることでも指示ができるようです。
4. Teams AI LibraryにおけるMCP / A2A / Memoryへの対応
Teams AI Libraryにおいて、3種類の機能に対応をしました!
- 「MCP」に対応(GA)
- Agent間呼び出しである「A2A」に対応(Public preview)
- 長い会話における履歴を個人ごとに長期保存する「メモリ機能」に対応(Public preview)
これは、かなり大きなアップデートで、結果的に、マルチエージェント(マルチプレイヤーエージェント)の開発容易性が向上したと言えるでしょう。
5. Agent Storeの発表
さらに、開発したエージェントを「Agent Store」というマーケットプレイスに公開し、CopilotやTeamsから数億ユーザーに配布・検索可能になりました!
6. Copilot StudioにおけるComputer use / MCP / Agent flowsへの対応
Copilot Studioにおいても、3種類の機能に対応をしました!
- Computer useに対応し、APIを提供していないサービスのUI操作が可能に(Frontier public preview)
- MCPにも対応(GA)
- Agent flowsにも対応(GA)
結果的に、より複雑なLLM処理とルールベース処理を組み合わせられるようになったと言えるでしょう。
7. Multi‑agent orchestrationの新発表
Copilot Studioに複数エージェントを協調させるOrchestration機能が発表されました!
発表では、施設・財務・法務など部門エージェントを組み合わせた新人オンボーディングなど複雑ワークフローを自動化するようなシナリオが紹介されました。
8. Copilot Tuningの新発表(Early Accessのみ)
次に、かなり予想ができなかった発表です!
何とCopilotにおいて、Fine-tuningモデルを使えるようするという新発表がありました!
これにより、社内リファレンス(文章・スタイルガイド等)などを投入し、Copilot を企業専用トーン/用語/知識でファインチューニング可能になります。
Azure AI FoundryやAzure Machine Learningほどの細かい設定はできなさそうだが、気軽に始めることができるようになったという一歩は非常にありがたいですね。
9. Model router for Azure OpenAI modelsの新発表
アプリからのリクエストに応じて、最適な Azure OpenAI モデルへ自動ルーティングする機能も発表されました!
サムさんとの話(記事末尾を参照)にも出てきたのですが、この世界観は今後当たり前になっていきそうですね。
10. Grok in Foundry Modelsの新発表
xAIのGrokがAzure AI Foundryに参画しました!
イーロン・マスクさんも登場し、対談をしている場面もありました。
もしもイーロンさんとサティアさんとの二人の会話が気になる方は、こちらの動画をご覧ください👇
11. Agentic Retrieval in Azure AI Searchの新発表
Azure AI Searchにおいて、Agentic Retrieval をサポートする機能が発表されました!
12. Foundry Agent ServiceのGA化
AI Foundry上のAgent機能である「Foundry Agent Service」がGA化されました!
オーケストレーション機能をマネジメントするサービスに位置するサービスです。
Semantic KernelやAutoGenにも対応しておいて、Microsoftの経済圏にどんどんと引き込まれている感じがしますね^^;
13. Copilot Studioへの自社モデル対応の新発表
AI Foundryで微調整した社内モデルをCopilot Studioに直接インポート可能になりました!
いわゆるBYOM(Bring Your Own Model)が可能になったということですね。
14. Observability features in Foundryの新発表
Foundry に Quality / Safety / Cost を横断監視するモニター機能が追加されました!
15. Microsoft Entra Agent IDの新発表
Entra IDにAgentごとにポリシー設定が可能な「Agent ID」が導入されました!
エージェントに固有 ID・ポリシー・認可を付与可能になったということになります。
16. Purview integration and Defender integration with Foundryの新発表
Foundryへのintegration拡充として、2つ発表されました!
- Microsoft Purview:データセキュリティとコンプライアンスリスクの発見 / データ漏洩と内部リスクからの保護 / AIのガバナンス実現と規制要件への対応が可能になった
- Microsoft Defender:セキュリティ脆弱性の事前特定と対処が可能になった
17. Foundry LocalのPublic Preview化
Foundry Localランタイムを発表、Windows / macOS でモデルをローカル実行可能になりました!
NodeやPythonのSDKも提供されていて、wingetやbrewでインストール可能です。
18. Windows AI Foundryの新発表
Windows AI Foundryが発表されました!
この発表内容が意外と複雑で完全に理解するためには、Foundry Localとの位置付けを理解する必要があります。
まず、Foundry Localは、ローカルでモデルを実行するためのもので、Windows / macOS でモデルをローカル実行可能になりました。
そして、Windows AI Foundryは、それを拡充するような位置付けとして、Windowsにおいてのみ、AI ApplicationやAgentをよりリッチに使うためのサービス群だと捉えることができます(著者の解釈)。
例えば、Phi silica(Windows内蔵のSLM)に対するLoRAによるFine-tuningが可能になります。
そのため、Foundry Localは、Windows AI Foundryのなかに包含されているサービス(macOSのパッケージを除く)になります。
19. Native support for MCP on Windowsの新発表
さらに、驚くべきことに、Windows で MCP をネイティブサポートをしました!
対応の速さに驚きますね^^;
2日目のKeynoteにて、「ユーザーにとって必要なプロトコル対応をしていき、オープンなagentic webを実現していく」というような発表をしており、それを象徴している発表の一つです。
20. WSL on WindowsのOSS化
10 年越しの要望に応え、Windows Subsystem for Linux (WSL) を完全オープンソース化されました!
WSLに悩まされることのあったエンジニア的には、これはかなり嬉しい発表ですね!
21. NL Web の新発表
新しい概念として、NLWeb(Natural Language Web)が発表されました!
こちらについては、特に注目発表だったため、別の記事として厚めにまとめたため、気になる方は、こちらをご覧ください👇
22. Foundry connection for Azure Cosmos DBのGA化
FoundryへのCosmos DB連携のGA化が発表されました!
会話履歴ストレージやRAG用NoSQLデータをFoundryからネイティブ利用可能になりました。
23. Foundry connection for Azure DatabricksのPublic Preview化
FoundryとAzure Databricks連携の機能が提供開始になりました!
Azure Databricks のデータを Foundry からネイティブ利用可能になりました。
24. GenAI‑powered reasoning in PostgreSQLのPublic Preview化
PostgreSQL向けのGenAI Reasoning拡張がPublic Previewになりました!
SQL + 自然言語で問合せ、トリガー関数から LLM 推論呼び出しが可能になりました。
25. Cosmos DB in FabricのPublic Preview化
これまではSQLを中心に対応してきたが、これを機にNoSQLもサポートしました!
これは、Fabric上でのRAGシステムやエージェント開発を推進していく上で、かなり嬉しい発表ですね!
26. Digital twin builderのPublic Preview化
Digital Twin Builder を Fabric 内に統合、ノーコード/ローコードでエンティティと時系列をマッピング
27. OneLakeにおけるShortcut transformationsのPublic Preview化
- 自動的にデータ変換と可視化を実行
- FoundryによるAI変換も適応
- delta tablesへのフォーマット変換も可能
28. Chat with your dataのPublic Preview化
Fabric / Power BI / Copilotにおいて、「Chat with your data」がPublic Preview化されました!
29. クラウド初のAzure ND GB200 v6の利用開始
Azureがクラウド初、NVIDIA Grace Blackwell (GB200) ベース ND v6 VM シリーズをクラウド初投入しました!
1 ラックあたり 865k tokens/sec の推論性能を誇るシリーズで、液冷 Maya SCU 採用です。
30. Microsoft Discoveryの発表
Microsoft Discoveryという研究開発者向けのサービスを発表しました!
主に、次の3つのコンポーネントが要点になります。
- Graph‑based scientific co‑reasoning エンジン (Graph RAG)
- ドメイン特化 R&D エージェント群による仮説生成・シミュレーション
- Azure HPC/量子計算を組み合わせることによる高速化
最後に、もしも録画を見たい方は、下記のYouTubeの動画より視聴可能です◎
また、この記事で紹介しきれていないニュースも多数あり、下記に記載しております◎
番外編:サム・アルトマンさんとサティア・ナデラさんから見るソフトウェア開発の未来
サムさんが話していた要点は、主に以下の3つです。
- エージェント型ソフトウェア開発:真のバーチャルチームメイトがタスクを並列実行し、バグ修正や新機能実装を肩代わりできる時代が訪れる。
- モデル進化:モデルはさらに賢くなる。モデル選択もシンプルになり、自動最適化される。信頼性が上がり、マルチモーダルもツール利用も標準化していく。
- 変化への備え:モデルの進化は速く、ツールも進化する。そのため、開発者はより早く、開発プロセスを変化させる必要がある。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この記事を通して、少しでもあなたの学びに役立てば幸いです!
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かなり自信のある一冊なため、もしもよろしければ、ご一読いただけますと幸いです^^
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