数秒ごとにスクリーンショットを撮影してユーザーのPC操作を記録するMicrosoftの機能「Recall」からプライバシーを保護するため、プライバシーを重視した暗号化メッセサージングサービス「Signal」がすべてのスクリーンショット撮影をデフォルトでブロックしたことを明らかにしました。
Signal >> Blog >> By Default, Signal Doesn’t Recall
https://signal.org/blog/signal-doesnt-recall/
“Microsoft has simply given us no other option,” Signal says as it blocks Windows Recall – Ars Technica
https://arstechnica.com/security/2025/05/signal-resorts-to-weird-trick-to-block-windows-recall-in-desktop-app/
Microsoftの「Recall」は、PCの画面を細かく撮影してOCRでスキャンし、AIの力で後から行動履歴を振り返ることができるという機能です。過去に編集したファイルやアクセスしたウェブサイトなどを自然言語で検索できるため便利だとされていますが、不必要な情報まで収集してしまうというプライバシー上の懸念が浮上したため、たびたびリリースが延期になっています。
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Signalはエンドツーエンド暗号化を採用している機密性の高いメッセージングアプリで、理論上は送受信者以外の第三者が通信内容を読み取ることはできません。ところが、仮にPC上でSignalを使い、それをスクリーンショット撮影されてしまうと、暗号化の意味がなくなってしまいます。
このような事態を避けるため、SignalはWindows向けバージョンをアップデートし、Netflixなどでも採用される「デジタル著作権管理(DRM)」を導入して、デフォルトでスクリーンショット撮影をブロックしました。ユーザーは後から設定でスクリーンショット撮影をオンにすることができます。
DRMはコンテンツを保護する強力な技術ですが、一方でスクリーンショット撮影を含む一切の画面読み取りができなくなるため、スクリーンリーダーや視覚障害者向けの拡大ツールなど一部のアクセシビリティが機能しなくなる可能性があります。
アクセシビリティのような特定の人に必要とされる機能を強制的に無効化するような手段を取ることになった点について、Signalは「Microsoftは他に選択肢を与えなかった」と不満を漏らしています。
Signalは「Microsoftは、我々開発者向けに、プライバシーを保護できるようにする機能を提供するべきです。Recallは私たちの選択肢を狭める明白な欠陥機能です。小手先の手段でアプリ側がプライバシーを保護しなければならないような現状は非合理的であるため、開発チームがこのような事態について慎重に検討してくれることを願っています」と述べました。
Recallは発表以来度重なる延期を経て、2025年4月にはようやくリリースプレビュー版を公開するに至っています。ところが、クレジットカード番号など機密性の高い情報をフィルタリングする機能がうまく動作していないなど、依然として問題があると伝えられています。
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🧠 編集部の感想:
SignalがMicrosoftの「Recall」をブロックするためにスクリーンショットの撮影を制限したことは、プライバシーを重視するユーザーにとって重要なステップです。Microsoftの機能は便利だけれども、プライバシーへの影響が懸念されるため、開発者が選択肢を減らすことは反発を招くでしょう。これにより、他のアプリケーションにも影響が及ぶ可能性があり、今後の展開が気になります。
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