Microsoftが、Linuxカーネルを仮想マシン内で実行するためのシステムである「Windows Subsystem for Linux(WSL)」をオープンソース化し、ソースコードをGitHubに公開したことを、2025年5月20日に開催したイベント「Microsoft Build 2025」で発表しました。
The Windows Subsystem for Linux is now open source – Windows Developer Blog
https://blogs.windows.com/windowsdeveloper/2025/05/19/the-windows-subsystem-for-linux-is-now-open-source/
GitHub – microsoft/WSL: Windows Subsystem for Linux
https://github.com/microsoft/WSL
Microsoftは「WSLを動かすコードがGitHubのMicrosoft/WSLで公開され、コミュニティにオープンソース化されました。WSLをダウンロードしてソースからビルドし、新しい修正や機能を追加して、WSLの活発な開発に参加することができます」と述べています。
WSLは2016年のMicrosoft Buildで発表され、Windows 10 Anniversary Updateで初めてリリースされました。当時のWSLはWindows NTカーネルドライバーのLxCore.sysをベースとしており、WindowsでELF形式の実行ファイルをネイティブに実行してWindowsカーネル内にLinuxシステムコールを実装できました。これが最終的に「WSL 1」として知られるものとなり、記事作成時点でもサポートされています。
しかし、ネイティブなLinuxとの最適な互換性を実現するためには、Linuxカーネル自体に依存することが重要であると判断され、Linuxカーネルが直接動作するWSL 2が2019年にリリースされました。
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2021年、WSLはWindowsのコードベースから分離し、2021年7月にバージョン0.47.1としてMicrosoft Storeで初めてリリースされました。Microsoftは「拡大するコミュニティと機能要望に対応するためには、WSLをより速やかに開発し、Windowsとは別にリリースする必要があることがわかりました」と語っています。
このMicrosoft Store版のWSLは当初Windows 11のみがサポートされていましたが、2022年11月にWindows 10のサポートが追加され、安定版となったバージョン1.0.0がリリースされました。
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そして2023年9月、ミラーリングされたネットワーク、DNSトンネリング、セッション0のサポート、プロキシサポート、ファイアウォールサポートなどの主要な改善が導入されたバージョン2.0.0がリリースされました。記事作成時点で最新となるのが、今回GitHubにプレリリース版が公開されたバージョン2.5.7です。
Microsoftは「WSLはコミュニティなしでは今日の姿にはなり得ませんでした。WSLのソースコードにアクセスできない状況下でも、人々はWSLの今につながる大きな貢献を重ねてきました。だからこそ、WSLを本日オープンソース化できることを大変うれしく思っています」とコメントしています。
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🧠 編集部の感想:
MicrosoftがWSLをオープンソース化したことは、開発者コミュニティにとって大きな前進です。これにより、ユーザーがソースコードにアクセスし、改善や新機能の追加に貢献できるのは素晴らしいことです。オープンソースの取り組みが進む中、Microsoftの姿勢がさらに支持を集めるでしょう。
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