LINEヤフーは5月8日、2025年3月期の通期決算を発表した。
同社の2025年3月期は、売上高が前年比5.7%増の1兆9174億円で、営業利益が前年比51.3%増の3150億円、調整後EBITDAが13.5%増の4708億円。同社が展開する「メディア」「コマース」「戦略」3つの事業が増収増益となり、過去最高を更新した。
主要3事業全てが成長
3事業の分析としては、売上高が前年比4.2%増の294億円増だったメディア事業では、「LINE公式アカウント」などで展開する高利益率な「アカウント広告」が好調。売上高が18.9%増の199億円増と成長を牽引した。
「検索広告」はパートナーサイト面は10.6%減となったが、継続的な機能拡充などでLINEヤフー面が2.4%増となり、15億円増と好調を見せた。
売上高が前年比2.6%増の212億円増だったコマース事業では、積極的な販促から販管費が増えた一方で「ZOZO」「アスクル」「Yahoo!ショッピング」といった各サービスが成長し、増収増益を達成。
PayPay、PayPayカード、クレジットエンジンを連結させた「PayPay連結」や、PayPay銀行、LINEポケットマネーといったフィンテック関連サービスを中心に構成する「戦略事業」も17.7%増。
キャンペーン実施などによる連結取扱高の成長に伴う決済手数料の収入、リボ残高拡大拡大に伴う金利収入、住宅ローンの拡大による貸出金残高などの増加に加え、LINE Pay台湾の成長、 LINE Creditのローン残高拡大などが要因としている。
セキュリティへの対策は?
同社は、LINEなどで発生した度重なる情報漏えいを受け、総務省から再発防止の対策、進捗の報告を求められている。本件についてLINEヤフー 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者) 出澤剛氏は、「3月に提示した通り、(一部の業務委託となる韓国NAVERとの)データベースの分離など、案として外部に提示した内容通りの対策が完了している」と話す。
2025年度以降に取り組む部分も残しているものの大きな山は越えたという認識で、引き続き着実に取り組みたいとした。
一方、総務省はLINEヤフーの親会社を担うAホールディングスがソフトバンクとNAVERの傘下であることも指摘。資本的な支配を受ける関係が存在しており、資本的な支配を含めた見直しも求めている。
出澤氏はこの点の進捗として、「ソフトバンク・NAVERともに、短期的な資本の移動は困難という認識。状況は以前と変わっていない」という。2024年の5月にソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏が「何がいいかを本当に、真剣に議論している」と話した状況から大きな変化がないことを明かしつつ、これまでの経緯も踏まえながら議論が進展するよう継続して働きかけるとした。
なお、同社は今後に向けた取り組みとして、生成AIを活用して全サービスを「AIエージェント化」することを明かす。LINEやYahoo!ショッピングに生成AIを実装し、1人につき1つのAIエージェントが寄り添う時代に対応するとしている。「AIの時代になると、データをいかに安全・安心に守るかは企業として最もプライオリティが高い。報告書に限らず、セキュリティ強化は会社として、社を上げて取り組みたい」(出澤氏)と語る。
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