俳優の不倫疑惑に関連して、「LINE流出」の文字がメディアやSNSをにぎわしている。
思い起こされるのは、2016年1月に報じられたタレントとミュージシャンの不倫報道だろう。この時、2人のものとみられるLINEのトーク画面が雑誌に掲載された。その流出の原因として、「クローンiPhone」の可能性が報じられていた。
クローンiPhoneとは、1つのLINEアカウントに複数のiPhoneで同時にアクセスすることを指す。しかし、LINEは16年2月にクローンiPhoneを不可能にする対策を完了している。
また、LINEは16年2月、暗号化通信「Letter Sealing」(レターシーリング)を導入した。トークルームの「設定」を見ると、そのトークルームでLetter Sealingが有効になっていることを確認できる。現在のLINEではデフォルトでオンになっている機能だ。
Letter Sealingとは、「エンドツーエンド暗号化(E2E暗号化)」を利用したもので、LINEで送信者と受信者以外の人がメッセージの内容を解読できないようにするもの。この仕組みにより、サーバに保管されたデータやローカルにバックアップされたデータからトーク内容を復元するにはお互いの端末(スマホ)が必要であり、たとえ事業者(LINE)であってもトークの内容を復元することができない。
ちなみに、フジテレビのアナウンサーとタレントに関する問題では、LINEを含めたデータがデジタルフォレンジックにより一部復元された。これは、デバイスのあらゆる情報を取得して分析を行う手法であるが、それでもLINEの復元は難しいとされている。
それなら安心……。と言いたいところだが、LINEのセキュリティに関する問題はその後も発生している。LINEの個人情報が中国の開発委託先から閲覧可能であった問題(21年3月)や、韓国ネイバーがサイバー攻撃を受けてLINEの個人情報が漏えいした問題(23年11月)など、国を超えての問題も起きている。総務省はLINEヤフーに対して、資本関係の見直しを要請している。
サーバ管理やサイバー攻撃までいくと個人でできる対策はないが、流出する理由はもっと身近な要因だったりする。通常の利用方法が安全かどうかを見直すには良い機会だ。本稿では、LINEのトークが流出する原因と対策を考える。
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LINEのトークを他人に見られないようにするためには、まずパスワードを強化することが大切だ。
スマートフォンの画面ロックは、分かりづらいパスコードを設定し、生体認証も利用しよう。パスコードに関しては、4桁よりも桁数が多い方が安全だ。「1111」「1234」といった単純な数値、自分の誕生日などの推測されやすいものも避ける。生体認証が利用できるスマートフォンは必ず設定しておこう。
LINEにもパスコードがかけられる。「設定」の「プライバシー管理」で「パスコードロック」をオンにし、パスコードを設定しておく。すると、LINEを開くためにパスコード入力が必要になる。
そして、パスコードを誰かに教えてはいけない。まさかの事態に備えて信頼できる家族だけに教えておいてもよいが、基本的には個人で管理しよう。
また、サブ端末でLINEを利用しない場合は、LINEの「設定」の「アカウント」にある「ログイン許可」をオフにするといい。オフにすると、すでにどこかでログインされている場合もログアウトできる。サブ端末で利用する時だけオンにする、といったこまめな運用も有効だ。
スマホやアプリのセキュリティを強化すればするほど利用しづらくなる、と考える人も多い。しかし、LINEに限らず、スマホには重要な個人情報や大切なデータが数多く保管されている。「自分だけは大丈夫」と思わず、基本的な管理を怠らないようにしてほしい。
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