LenovoのゲームPC「Legion」2025年モデルの見どころは？　有機ELパネル搭載モデルを拡充し，独自のAI機能で性能を引き出す

　2025年6月17日，Lenovoの日本法人であるレノボ・ジャパンは，ゲーマー向け製品ブランド「Legion」から登場した2025年モデルの新型PC「Lenovo Legion Gen 10」シリーズに関する製品説明会を，東京都内で行った。　本稿では，イベントで説明されたLegionのノートPCにおける見どころを中心にレポートしよう。

LegionノートPCの上位モデルとなる「Legion Pro 7i Gen 10」。事実上，今回の主役でもある

イベントに登壇したレノボ・ジャパン コンシューマ事業部 コンシューマ製品戦略リードの三島達夫氏（左），インテル マーケティング本部長の上野晶子氏（中央），レノボ・ジャパン コンシューマ事業部 ゲーミング担当の細川英夫氏（右）

　説明会冒頭で登壇した，レノボ・ジャパンの三島達夫氏は，Lenovoのゲーマー向けPC事業が非常に好調に推移しており，世界市場シェアは1位の座にあることを述べた。
　そのうえで，さらにゲーマー向け製品ビジネスを拡大すべく，ゲームPC本体だけでなく，周辺機器や新しい形態のPC（※たとえばタブレットや携帯型ゲームPC），ソフトウェアやサービスなども充実させていくことで，PCゲーマー向けブランドから，より幅広いゲーマー向けブランドへ転換していくという考えを披露した。

ゲーマー向け製品ビジネス拡大に向けて，スタンダードなゲームPCだけでなく，タブレットや携帯型ゲームPC，周辺機器，そしてAIや冷却技術など，製品の価値を高める要素技術の開発に取り組んでいく

　今回披露されたLegionのゲームPCで，ノートPCの上位機種となるのが「Legion Pro 7i Gen 10」だ（関連記事）。CPUにIntelの「Core Ultra 9 275HX」を，GPUには最高構成で「GeForce RTX 5080 Laptop GPU」を搭載可能な，高スペックが売りの製品である。
　また，ディスプレイに16インチサイズで解像度2560×1600ドットの有機ELパネルを採用しているのも見どころだ。

Legion Pro 7i Gen 10の主な特徴

　ハイエンドのCPUとGPUを搭載するわりに，比較的薄めのボディも特徴である。発熱の大きなCPUとGPUを冷却すべく，Lenovo独自の「Legion Coldfront冷却テクノロジー」を採用する冷却機構を採用しており，大型のベイパーチャンバーと3基のファンを組み合わせて，CPUやGPU，SSDやメモリモジュールといった高熱源が発する熱を効果的に放熱できるという。

Legion Pro 7i Gen 10の内部。写真下側のバッテリーがある側が手前で，底面から吸気して背面に排気する構造だ。写真では分かりやすいように外しているが，中央に装着するメモリモジュールや，2か所のSSDスロットも熱伝導材を介して底板に熱を拡散する仕組みである

Legion Pro Gen 10シリーズの冷却機構。大小3基のファンとベイパーチャンバー，「密閉型ハイパーチャンバー」などを組み合わせて，高性能CPUとGPUの熱を逃がす

冷却効果を示した熱画像のスライド。従来型冷却機構と比べて，パームレストやキーボード面の温度が低めになっているという

　また，LegionブランドのPCは，Lenovo独自のAIプロセッサ「Lenovo AI Engine＋」を採用することで，動作状況を認識して，CPUやGPU，ディスプレイパネルのフレームレートといった性能に関わる要素を自動調整するといった機能を備えている。
　こうしたAIベースの機能は，理論的にはCore Ultraプロセッサ内蔵のNPU（AI処理プロセッサ）や，GeForce RTX 50シリーズで処理することもできるだろう。しかし，CPUやGPUから独立した独自プロセッサで処理することには，AI機能を使うアプリケーションの動作を邪魔しない利点がある。これはとくに，ゲーマーにとっては評価できるポイントであろう。

Lenovoは，2021年に独自のAIプロセッサ開発を開始。徐々に機能を強化していき，2025年のLegion Pro Gen 10シリーズでは，「LA3」と「LA1」という2種類のAIプロセッサを組み合わせている（左）。たとえばゲーム実行時には，ゲームタイトルを認識して自動でPCの性能調整を行える（右）。ただ，学習データが蓄積されるまでは，十分に性能を引き出しきれないこともありそうだ

Legion Pro Gen 10シリーズでは，ほかにも，ゲームノートPC初の「DisplayHDR True Black 1000」認証を取得した有機ELディスプレイの採用（左）や，薄型ながら打鍵感の良い「Lenovo TrueStrike」キーボードの搭載（右）といった特徴を備える

　スペック面ではLegion Pro 7i Gen 10に及ばないが，白いボディと比較的薄めの筐体で国内でも人気を呼びそうなのが，「Legion 7i Gen 10」だ。

Legion 7i Gen 10

　最厚部でも約17.9mmという薄めのボディに，Core Ultra 9 275HXまたはCore Ultra 7 255HXをCPUとして搭載。単体GPUには「GeForce RTX 5060 Laptop GPU」を採用し，16インチサイズで解像度2560×1600ドット，DisplayHDR True Black 1000認証取得済みの有機ELパネルを搭載するのが特徴である。
　独自のAIプロセッサによるAI機能も利用可能だ。

最厚部でも18mmを切る薄型ボディは魅力的だ

　GPU性能はそこまで要求しないが，持ち歩きやすい重さと洒落た見た目のゲームノートPCを求める人なら，響くところがありそうな製品であろう。

Legion 7i Gen 10の主な特徴

　Legion Proシリーズの下位モデルとなるのが，「Lenovo Legion 5i Gen 10」だ。下位と言っても，CPUはCore Ultra 9 275HXまたはCore Ultra 7 255HXで，GPUも最高で「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」を搭載するなど，スペック面ではLenovo Legion 7i Gen 10からそれほど見劣りしない。
　「Legion 5i Gen 10」は，15.1インチサイズの有機ELパネルを採用するゲームノートPCだ。
　搭載CPUは第14世代Coreプロセッサの「Core i9-14900HX」または「Core i7-14700HX」と2024年登場のものだが，搭載GPUにはGeForce RTX 5070 Laptop GPUなどを搭載する。税込約25万円からと，Legionシリーズとしては比較的安価なのが見どころだ。

Lenovo Legion 5i Gen 10

Legion 5i Gen 10

LenovoのLegionブランド公式Webページ