土曜日, 5月 17, 2025
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Kubota:世界の「食・水・環境」を支える“社会課題解決型マーケティング戦略”あの企業・サービスはこんなマーケティングで伸びた!

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概要

Kubota(クボタ)は、農業機械メーカーから進化し、世界130カ国以上で「食・水・環境」問題に取り組む総合ソリューション企業となりました。中心にあるのは、“社会的使命の共有”を重視したマーケティング戦略です。この戦略により、Kubotaはグローバル市場での差別化を図り、企業ブランドを再構築しました。具体的には、現地ニーズに応じた製品開発やサービス提供を行い、社会と共にある企業としての信頼を築いています。

要約の箇条書き

  • 企業の進化: Kubotaは日本の農業機械メーカーから、食・水・環境問題に貢献する企業へと成長。
  • マーケティング戦略: 製品の機能訴求から社会的使命の共有に移行。
  • グローバルスローガン: 「For Earth, For Life」を掲げ、企業の価値を明確化。
  • 対応市場: 現地ニーズに基づいた製品開発やPR戦略を展開。
  • 信頼されるパートナー: グローバルで支持される企業ブランドを確立。
  • ビジョンの明確化: 社会に貢献する企業としての哲学を推進。
  • 歴史 背景: 1890年創業以来、社会インフラに寄与し続ける実績。
  • 課題認識: 製品志向から社会的意義の伝達、デジタル化への適応が必要。
  • 解決策の実施: 社会との共生を重視したマーケティング戦略の再構築。

Kubota:世界の「食・水・環境」を支える“社会課題解決型マーケティング戦略”あの企業・サービスはこんなマーケティングで伸びた!

Kubota(クボタ)は、日本で創業された農業機械メーカーとしての出発点から、今や世界130カ国以上で「食・水・環境」という人類の根源的な課題解決に貢献する総合ソリューション企業へと進化を遂げました。その変革の核にあるのが、“製品の機能訴求”ではなく、“社会的使命の共有”を中心に据えたマーケティング戦略です。

現代のBtoB企業、とりわけインフラ系・製造系企業にとって、商品力やコスト競争力だけではグローバル市場での差別化が困難です。Kubotaはこうした環境の中で、「世界の課題と自社のミッションを重ね合わせる」ことで、企業ブランドそのものを再構築しました。

その象徴が、グローバル共通スローガン「For Earth, For Life(地球のために、命のために)」。この短いメッセージに、“誰のどんな課題をどう解決するか”というマーケティングの起点を凝縮しています。そして、この思想は農業機械、上下水道、建設機械、エネルギー機器などの多様な事業領域に一貫して貫かれています。

さらに、国際市場では単なる輸出ではなく、現地ニーズに根ざした製品開発・サービス設計・PR戦略を展開。その中で培った“現場起点の価値創造”が、企業ブランドに実効性と説得力を持たせ、グローバルでも支持される「信頼されるパートナー企業」像を確立しています。

Kubotaの取り組みは、BtoBであっても“社会と共にある”という視点で価値を語り、届けることの重要性を示す、実践的なマーケティング成功例といえるでしょう。

Kubotaとは?

Kubotaの事業内容

Kubotaは、農業機械、建設機械、エンジン、上下水道インフラ設備などを中心に、「食料」「水」「環境」という人類の基盤を支える製品とサービスをグローバルに展開する総合インフラメーカーです。トラクターや田植機、コンバインといった農機製品をはじめ、小型建機や産業用エンジン、水処理プラント、ポンプ、管材まで幅広く提供しています。

また、単なるモノの提供にとどまらず、農業の効率化支援、都市水環境の維持、災害復旧への迅速対応、スマート農業の導入支援といった「ソリューション型の価値提供」にも注力しており、農村部から都市部、先進国から新興国に至るまで、地域の持続的な発展に貢献する事業基盤を確立しています。

Kubotaが掲げるビジョン

Kubotaのビジョンは、「For Earth, For Life(地球のために、命のために)」というグローバルスローガンに集約されています。これは単なるスローガンではなく、同社のすべての製品・サービス・活動の根底にある考え方であり、“社会にとって本当に必要とされる存在であり続ける”という企業哲学の体現でもあります。

具体的には、食料の安定供給、水資源の保全、環境負荷の軽減といったグローバル課題に対して、現場に根ざした技術とノウハウを通じて解決を支援することを使命としています。さらに近年は、スマート農業やIoT水管理、脱炭素ソリューションなど、テクノロジーを活用した次世代型の課題解決にも取り組み、ビジョンを実装段階にまで昇華させています。

Kubotaの歴史

Kubotaの創業は1890年、当初は鋳物製造を主業とする大阪の町工場からスタートしました。創業者・久保田権四郎の理念は「人々の生活を守る製品をつくること」であり、1917年には国産初の鋳鉄水道管を開発。以後、水道インフラの国産化と普及を推進し、日本の都市整備と衛生環境の近代化に貢献しました。

戦後には食料不足という国家的課題に対応する形で農業機械に参入。1960年には国産初のトラクターを発売し、以後、日本の農業の機械化をリード。その後も建設機械やエンジン事業へと事業領域を広げ、1990年代からは積極的な海外展開を本格化。現在では売上の7割以上を海外で稼ぐ、真のグローバル企業へと成長しています。

環境・社会インフラの両面で、130年以上にわたり社会の変化と課題に向き合ってきたKubotaは、まさに“社会課題解決に挑み続ける技術集団”といえる存在です。

Kubotaが直面した課題

Kubotaは、130年以上の歴史を持つ社会インフラの担い手として、日本国内外で高い評価を受けてきました。しかし、時代の変化とともに、従来の“製品志向”や“開発主導”だけでは立ち行かなくなる構造的課題にも直面してきました。特にグローバル展開が進む中で、ビジネスモデル、顧客接点、ブランド戦略の再構築が求められる局面がいくつも現れたのです。

以下では、Kubotaが抱えてきた4つの代表的な課題を深掘りしていきます。

1. 機能訴求の限界と「選ばれる理由」の希薄化

Kubotaは高性能・高耐久・高信頼性といった製品の強みを前面に出すことで、長年にわたり市場での競争優位性を保ってきました。しかし、特に海外市場においては競合メーカー(例:John Deere、CLAAS、CNHなど)との製品スペックが拮抗しており、「なぜKubotaなのか?」という差別化の文脈が曖昧になりつつありました。

また、機械製品であるがゆえに、実際に使用してみないと真価が伝わらないという構造的な課題も抱えていました。カタログでは伝わらない使い勝手や、アフターサポートの質、長期使用におけるコストパフォーマンスといった“体験価値”をどう顧客に理解させるかが、大きなマーケティング上の課題となっていたのです。

2. ブランドの「社会的意義」が顧客に伝わっていない

Kubotaは「食料・水・環境の解決に取り組む企業」という明確なビジョンを持っているにもかかわらず、この社会的価値が十分に生活者・顧客に伝わっていないというジレンマがありました。特にグローバル市場においては、「Kubota=農業機械メーカー」という認識が根強く、水環境事業や建設機械分野、社会インフラの担い手としての全体像が伝わりにくいという課題がありました。

企業メッセージはあったとしても、それが“実体験”として腹落ちするようなストーリーや事例発信が乏しく、共感や支持につながっていない状況だったのです。結果として、製品単位では選ばれるものの、企業ブランドとしてのファンづくりに成功していないという構造的な問題を抱えていました。

3. グローバル展開による“現場感覚”の希薄化

Kubotaは、現在売上の7割以上を海外で稼ぐグローバル企業へと成長しました。しかし、成長スピードが加速する一方で、現地市場ごとの文化・ニーズ・課題に即した製品・コミュニケーション設計が追いつかないという課題も表面化してきました。

とくに新興国や農業課題の深刻な地域においては、農業の方法そのものが国・地域ごとに大きく異なり、単一の製品や訴求では響かないケースが増加。加えて、言語やインフラ環境、教育水準の違いなどが複雑に絡み、現地ディーラー任せではブランド管理や顧客体験の一貫性が保てないという課題に直面しました。

つまり、グローバル視点とローカル最適の両立という、グローバル企業が必ず直面する“組織的ジレンマ”がKubotaにも訪れていたのです。

4. デジタル時代における顧客接点の希薄さ

農機・建機といった業界は、比較的デジタル化が遅れがちな分野でもあり、Kubotaにおいても顧客情報の収集・活用、オンラインでの関係構築、デジタル広告戦略の最適化といった領域で遅れが指摘されていました。

また、BtoB色が強い事業構造であるがゆえに、エンドユーザー(農業従事者や自治体担当者など)と企業との直接的な対話の場が限定的であり、顧客理解においてもギャップが生まれやすい構造でした。

特に近年、スマート農業やIoT水管理などデジタルプロダクトの導入が進むなかで、単なる“モノ売り”から“体験売り”への移行が必須となっており、そのための“情報設計”や“コミュニティ形成”が求められていたのです。

Kubotaが直面した課題は、製品力では解決できない「伝え方」「つながり方」「届け方」の問題でした。特に、グローバル展開が進むほど、「現場起点で価値を伝えること」と「企業としての思想を貫くこと」の両立がマーケティング戦略において極めて重要になっていたのです。

次のセクションでは、こうした課題に対してKubotaがどのようなマーケティング的解決策を講じたのか、5つの取り組みに分けて解説していきます。

Kubotaはどうやって課題を乗り越えた?

直面していたマーケティング上の課題に対し、Kubotaは「製品力に頼る時代の終焉」に正面から向き合い、思想・設計・発信・現場力を再構築することで、社会に選ばれるブランドへと進化しました。単なる広告手法の転換ではなく、「企業がどう見られたいか」ではなく「どう社会と共にあろうとするか」に重きを置いた施策展開が特徴です。

以下では、Kubotaが講じた5つの解決策を紹介します。



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