KDDI株式会社は17日、放送業界向けプラットフォーム「WAKONX Broadcast」を構成するアセットとして、5Gスタンドアローン(5G SA)商用ネットワークでネットワークスライシングを活用したソリューションを、放送事業者向けに提供開始したと発表した。ソリューションは、スタジアムやアリーナなどの映像中継を実施する特定のエリアで提供する。

 同ソリューションは、観客などが利用する一般のスマートフォンのネットワークと、映像回線として利用するネットワークを論理的に分離することにより、映像中継に必要な通信品質を安定的に提供する。ケーブルの敷設を必要とせず、無線での中継が可能となるため、映像中継が大幅に簡易化されるなど、専用機器の置き換えによるコスト削減が見込める。また、スマートフォンカメラやドローンを活用した映像中継では、多様な視点による臨場感ある映像体験の提供が可能になる。

 スタジアムなどの屋外から安定した映像を生中継するには、ケーブル敷設を伴う複雑なオペレーションが必要で、マイクロ波や衛星波を利用する中継車からのケーブル敷設作業、専用機器や多くの制作スタッフの確保など、多大なコストと労力が課題となっていた。

 KDDIは、2023年に5G SAスライシングを活用した全国高校野球選手権大会の中継技術実証に成功。この実証により、作業負荷の大きい有線ケーブルやマイクロ波を使用した場合と比較しても、申し分ない映像品質での伝送が可能であることと、無線ならではの自在なライブ伝送の有用性を確認した。

 これらの実証や通信品質向上の取り組みを通じ、さらなる映像中継の作業負荷解消と新たな映像体験に寄与するため、ソリューションを提供する。

 同ソリューションは、試合・ライブイベントなどでのネットワーク混雑時においても、中継に必要な通信品質を確保し、低遅延で安定性の高い映像・音声伝送ができる。大きな専用機器を使用しないコンパクトな構成での中継が可能となるため、煩雑なケーブルの取り回しなど、従来発生していた複雑なオペレーションを解消する。

 ケーブルに制限されず、さまざまな視点での映像撮影が可能となり、スマートフォンや、ドローンを活用した空撮映像、スポーツの審判に設置した小型カメラの映像の伝送を実現し、視聴者がより熱狂できる映像体験を提供できる。

 KDDIでは今後、野球や陸上競技などのスポーツ中継制作に利用されることを想定している。また、同ソリューションは、3月18日~3月30日に実施された第97回選抜高等学校野球大会の中継において、株式会社毎日放送が利用し、スマートフォンで撮影した縦型動画の映像制作を中継内で実現した。

スマホで撮影した映像を中継で放送した様子



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