こんにちは。ダイの大冒険エンジョイ勢のbun913と申します。
わたしはSDET(Software Development Engineer in Test)という職種で働いており、テスト自動化だけでなく、システムの品質を向上させるための様々な活動を行っています。普段からプロダクトコードをゴリゴリ書く仕事ではありませんが、あくまでテスト側にメインで従事する開発者の意識に比重を寄せて業務を行っています。
以前私は ISTQB Test Automation Engineer というテスト自動化に対する試験に合格していました。
今回は先日(7/29)にプレスリリースが公開されていた Testing with Generative AI (CT-GenAI) 試験に合格したので学習方法や試験の感想を共有したいと思います。
執筆時点(2025/8/5)では、まだ日本語による合格報告のブログを見つけていないため、日本語での合格報告としては最初のものになるかもしれません。
ISTQB Testing with Generative AI とは
ISTQB Testing with Generative AI とは、文字通り生成AIをテスト活動に活用するための知識が問われる試験です。
詳しい内容はこちらのシラバスに記載されています。以下はなんとなくのイメージが掴めるように NotebookLM で生成してもらったマインドマップの一部です。
今回、2025/8/4にこの試験を受験し合格することができました!英語で受験するなど、なかなか日本では受験される方が少ないと思いますので、私の学習方法や試験の感想を共有したいと思います。
受験の動機・試験を受ける前の注意点について興味のある方はご覧ください
受験の動機
こちらは概ね以下の記事で紹介しているものと同じです。
かいつまんで生成AIの試験受験のモチベーションとしては、以下のようなものとなります。
- 普段利用しているテクニックに名前があればちゃんと認識しておきたい
- 大規模なリリースに対するテストへの生成AI活用について、現場で試行錯誤している手段がもっともらしい動きになっているか確かめたい
- 新規試験は早く受ければ受けるほど面白い
最後のは個人的なモチベーションですが、生成AIは特に著しく進歩が早い技術ですので、せっかく先人が体系立てて作ってくださった試験の内容が陳腐化してしまうかもしれません。今必要な知識を体系立てて学んでおくことで、今後の進歩にも「これの応用か」といった形で対応しやすくなると考えました。
試験を受ける前の注意点
こちらも以前の試験(7月19日受験)と同様になります。
かいつまんで重要なところだけ抜粋します。
- 今の所日本の実施期間である JSTQB では試験が提供されていない
- 私は ASTQB というアメリカにおけるISTQB試験の実施団体が提供している英語の試験を受験しました
- 英語ネイティブではない人向けに試験時間の延長が認められています
- 自宅でオンライン受験を行う場合、事前に System Rediness Check をパスしておく必要があります
- 実際の試験環境のテストと同様に2台のカメラによる監視などが必要ですのでお気をつけください
試験の感想
もちろん試験問題や内容については公開できませんが、シラバスや公開情報からでもわかる範囲で想定していたことを記載します。
- 公開されているサンプル問題やシラバスをみると、他の試験に比べて K1: 記憶レベル や K2: 理解 レベルの問題が多い印象を受けました
- ISTQB のサンプル問題の答え
- もちろんこのサンプル問題に関して本番と同じスタイルであるわけではありませんが、私はこの構造を想定して試験を受験しました
- 試験時間は60分(英語ネイティブではない人は75分まで延長可能)で、40問の選択問題が出題されます
- シラバスには生成AIを活用してプロダクトコード、もしくはテストコードを運用したことがあれば直面したことのある現象やテクニックが数多く掲載されています
- 私はそれらの名前を知らなかったものの、経験をしていたので知識と経験のインデックス貼りが比較的容易にできました
- とはいえもちろん開発の経験がないと難しいというわけではなく、広範なテスト活動に対してどのようにAIを活用するべきか?という試行をしていれば経験と知識の紐付けができるのではと感じました
- テスト計画の作成、テスト分析(何をテストするか)、テスト設計(それをどうやってテストするか)というステップバイステップでAIを活用する方法がシラバスにも記載されています
- 本試験は合格後にスコアがわかりますが、結果は表示されません。私の場合、5~6時間ほど後に結果のメールが届きました
- ※ 本記事の最後に記載していますが、1通目は誤りの結果通知でしたが・・・
効果的なプロンプト開発
生成AIに対して、どのような構造でプロンプトを作成し、それをチューニングしていくかといった内容がシラバスに記載されています。
- プロンプトの構造
- Role
- Context
- Instruction
- Input data
- Constraints
- Output format
これらをプロンプトに組み込みつつ、以下のような方法でプロンプトをチューニングしたり、特定の大きいタスクを効率よく分割してAIに指示を出す方法も以下のように記載されています。
- Prompt Chaining
- プロンプトを段階的に改善していく方法
- たとえば、要件からいきなりテストケースを生成するのではなく、まずは要件の過不足や曖昧な点を指摘してもらい、次にリスクを分析する。といったものです
- Few shot Prompting
- ガイドラインやいくつかの例を与えることで、より期待する出力結果に近づける方法です
他にも Meta Prompting などの方法も記載されています。これらをみてみなさん「あ、普段普通に経験則でやってることだ」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?私もそうです。
このように経験として持っている知識に、適切な名前をつけることで体系化して整理できますし、自分の普段の使い方を振り返るきっかけになって個人的にはとても良いと思いました。
試験の勉強方法
以下の手順で試験学習を進めました。
- まずは シラバスをざっと1~2日で読んで全体像を把握します
- このとき Kindle にPDFを送信して、色付けやメモを残しながら読みました
- NotebookLM を活用してシラバスの内容を要約してもらい、自身が理解している全体像と合致するか確認しました
- 2種類のサンプル問題について、自分で解きながら経験に落とし込めなかった部分をClaude で具体例を交えながら説明してもらうことを繰り返しました
- ASTQBのサイトにISTQBのサンプル問題とASTQBのサンプル問題が掲載されています
こちらも試験の勉強方法自体は以前の試験と同様になりますので、省略させていただきます。
まとめと感想
- ISTQB Testing with Generative AI 試験に合格しました
- 普段経験則で利用しているテクニックに名前がついていることを確認でき、体系化するとともに、自身の業務活用の方向性を確かめる機会となりました
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
おまけ
実は一度合格点を上回っているにもかかわらず不合格のメールが届き、システム上でも不合格の扱いになってしまいました。
その後、ASTQBのサポートに連絡をして、無事合格に変更していただきました。
まだ公開されて間もない試験であるため、もしかしたらシステム上の不具合があったのかもしれません。ASTQBの合格証明書の番号的にも最初の合格者のようなので、先に不具合を引けたのかもしれません。もし同様の事象が起きた方がいらっしゃいましたら、ASTQBのサポートに連絡してみてください。
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