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概要
この記事は、iPhoneの動画機能を活用して写真を撮影することの可能性について考察しています。著者は、iPhoneのRAW写真に対して抱えていた違和感を踏まえつつ、動画モードで静止画を切り出す方法が、より柔らかく詩的な表現をもたらすかもしれないと実験しています。
要約の箇条書き
- iPhoneで普通に写真を撮る際、通常は「写真モード」を使用。
- 著者は、フルHDサイズの静止画を動画モードで撮影することを提案。
- 動画モードのApple ProResが柔らかく、魅力的に感じると報告。
- iPhoneのRAW写真には過度なシャープネスがかかり、硬い印象を与えることに違和感を抱いている。
- 実験では、同じシーンを写真モードと動画モードで撮影し、比較。
- 動画から切り出した静止画の方が好ましい結果となった。
- 動画モードでの撮影は、SNS投稿や印刷にも適している可能性があると結論づける。
- iPhoneを使った新たな写真撮影技法としての魅力を感じている。
iPhone で写真を撮るとき、あなたは「写真モード」でシャッターを切っていないだろうか?
「そんなの当たり前じゃん」と思われたかもしれない。
でも最近、僕はこんなことを考えた。
フルHD(1980×1080)サイズでしか使わないなら、写真モードで RAW 撮影するんじゃなくて、動画モードで Log 撮影して静止画を切り出してもいいのでは?
背景には、iPhone の写真に対して僕が抱えていた違和感がある。
■ iPhone の動画は柔らかいのに、写真は硬い
Apple ProRAW 形式で撮った「写り」に、どこか引っかかりを感じていた。細部が妙に硬い。精密すぎて、逆に情報量の暴力を浴びているような気さえする。iPhone の RAW 写真には、どうも僕が好きなニュアンスが抜け落ちている。
一方で、動画モードの Apple ProRes(Log 動画)は素晴らしい。滑らかで柔らかく、どこか余韻のある画が撮れる。DaVinci Resolve などでカラーグレーディングしているときも、触っていて楽しい。動きのある被写体を撮っているはずなのに、写真のような静けさすら感じるフレームがある。
色深度に関していえば、iPhone の場合、RAW 写真も Log 動画も 10bit。通常のカメラなら、写真の方が動画よりも色の階調に余裕があるものだが、iPhone ではその差がなくなる。だからこそ、「動画で撮って、静止画として使う」という選択肢が現実味を帯びてくる。
■ 実験してみた
実験方法は単純だ。同じ光景を次の 2 種類で撮影する。
その後、それぞれを同じような明るさ・色味になるように現像・グレーディングして比較した。
動画の方は、最初の 1 フレームを切り出す。写真の方は、動画と同じ構図になるようにクロップして、フル HD にリサイズしている。
なお、撮影には iPhone 15 Pro Max のメインカメラを使用し、現像・カラーグレーディングには DaVinci Resolve を使用している。
■ 結果
思ったよりもハッキリと違いが出た。

僕は、動画で撮った静止画の方が好きだ。
RAW 写真の方は、やっぱりシャープネスが強すぎる。画面の印象が硬くて、やや緊張感がある。一方、Log 動画から切り出した写真には、ほどよい緩さがあり、空気を含んだような余白がある。
もちろん、これは個人の好みでしかない。「ProRAW で撮った方が綺麗だ」という感想を持たれた方がいても、それもまた正解だと思う。
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Apple の ProRAW は、レンズ交換式のカメラなどで記録されるような RAW ではなく、ある程度処理された画像を「RAW風」に保存しているらしい(参考)。だからこそ、現像前の段階ですでにシャープネスが強くかかっている可能性が高い。
スマホでの写真は、小さな画面で表示したときに「映える」ことが第一条件だ。ぱっと見で「キレイ!」と思わせる写りが求められる。そのために、細部を強調する処理を入れるのは正しい判断だと思う。Apple が間違っていると非難するつもりは毛頭ない。
でも、僕が好きなのは、もう少しゆるやかで、どこか詩的な写りだ。
だからこそ、今の僕にとって、iPhoneで「動画として写真を撮る」という方法が魅力的に見えたのかもしれない。
もちろん、フルHD(1980×1080)サイズの写真となると、かなり使い道が絞られる。たとえば、はがきサイズでも高精細な印刷には耐えられないだろう。
けれど、L 版で印刷したり、SNS に投稿するくらいなら、この選択肢も大いにアリなのかもしれない。また新たな写真撮影の武器を、ポケットの中に忍ばせられた気がしている。
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