🧠 概要:
概要
この記事は、iPhoneやApple Watchの純正機能を活用して日常的にマインドフルネスを実践する方法について、Apple出身のマインドフルネストレーナー秦善成氏が紹介しています。テクノロジーを利用して、「今この瞬間」に意識を戻し、心身の健康を整えるための具体的な実践方法が解説されています。
要約箇条書き
- 目的: iPhoneやApple Watchで利用できるマインドフルネスの手法を紹介。
- ヘルスケアアプリ:
- 心拍数や運動記録に加え、「マインドフルネス」カテゴリがある。
- Apple Watchの「呼吸」セッションで、短時間の深呼吸が可能。
- 感情ログ機能:
- iOS 17以降、iPhoneで心の状態を記録でき、気分の変化を観察。
- Siriショートカット:
- 瞑想や呼吸をトリガーにするショートカットを簡単に作成可。
- 自分の生活にマインドフルネスを取り入れやすくする。
- フォーカスモード:
- 通知を制御し、特定の時間帯に環境を整える機能。
- 集中タイマーでマインドフルネスを促進。
- テクノロジーの活用: スマホから離れるのではなく、テクノロジーを利用して心を整える。
- 今後の展望: Apple Watchの活用法やマインドフルな環境作りについてさらに深堀り予定。
Appleとマインドフルネスの関係を紐解く本シリーズ。第1弾ではスティーブ・ジョブズと禅の出会いを、第2弾ではApple社内でのマインドフルネス施策を取り上げてきました。
今回は、より私たちの生活に直結するテーマとして、「iPhoneやApple Watchなどの純正機能を使って、日常でマインドフルネスを実践する方法」に焦点を当てます。
Appleの製品には、実は「心と身体を整える」ためのツールが多数搭載されています。しかも、特別なアプリや課金は不要。すでにあなたのiPhoneの中にある標準アプリや設定機能を使うだけで、マインドフルネスの第一歩を踏み出すことができるのです。
この記事では、「呼吸セッション」「Siriショートカット」「フォーカスモード」といった、すぐに使える機能の実践例とともに、日常で“今この瞬間”に意識を戻す工夫をご紹介します。
呼吸に意識を向ける:ヘルスケアアプリとApple Watchの活用
iPhoneに標準搭載されている「ヘルスケア」アプリでは、運動や心拍数の記録に加え、「マインドフルネス」というカテゴリが存在します。
ここでは、Apple Watchで行った「呼吸」や「リフレクト(Reflect)」の記録が自動的に蓄積されていきます。特にApple Watchの「マインドフルネス」アプリでは、1〜5分間のガイド付き呼吸セッションを行うことができ、深い呼吸とともに画面上のアニメーションが自然とペースを整えてくれます。
呼吸に意識を向ける時間は、ごく短時間でも効果的です。たとえば、会議前に1分、寝る前に3分だけでも、心身の緊張をほぐし、リセットする感覚を得られます。
iPhoneユーザーでApple Watchをお持ちでない方でも、ヘルスケアアプリに手動で「マインドフルネスセッション」を記録することが可能です。2021年以降のiOSアップデートでは、睡眠や呼吸といった「心身の回復」に関わるデータがより重視されており、これらの活用が推奨されています。
心の状態をする:iPhoneでの感情ログ機能
iOS 17以降、iPhoneの「ヘルスケア」アプリでは、ユーザーの“心の状態”を記録できる機能が追加されました。Apple Watchがなくても、iPhone単体で「今の気分」「1日の気分」を記録することが可能です
この機能は、「嬉しい」「安心」「不安」「怒り」などの選択肢から、その時の気分をタップで簡単に記録することができ、あわせて気分の理由や状況などをテキストで補足することも可能です。
定期的に記録することで、時間帯や曜日による心の変化に気づけるようになり、「自分を観察する」習慣づけに役立ちます。記録はすべてヘルスケアアプリ上に蓄積され、後から振り返ることも簡単です。
このように、iPhoneは「心の定点観測ツール」としても活用でき、マインドフルネスの実践をサポートする機能が着実に進化しています。
Siriショートカットで「3分瞑想」をトリガーに
もう少し踏み込んでマインドフルネスを日常化したい方におすすめなのが、「Siriショートカット」機能です。
Siriショートカットは、iPhoneの操作を自動化・簡略化する機能で、「特定の時間になったら瞑想アプリを開く」「Siriに“深呼吸したい”と言ったら3分間のリマインダーが起動する」など、自分に合った「マインドフルネス・トリガー」を作成できます。
たとえば、以下のような設定が可能です:
-
Siriに「3分瞑想」と話しかけると、リラックス音楽+3分のタイマーが起動
-
通勤先到着時に、自動的に瞑想用アプリが開く
-
夜22時以降、自動的にナイトモード+瞑想音+画面の明るさを調整
これらの設定は「ショートカット」アプリから簡単に作成できます。特別な技術は不要で、ガイドに沿ってタップしていくだけで作成可能です。
マインドフルネスを継続する上での課題の一つは「習慣化」です。Siriショートカットを使えば、自分の生活パターンに応じて自然と実践が習慣に組み込まれていきます。
フォーカスモード/集中タイマー:デジタル環境を整える
マインドフルネスは「心のトレーニング」であると同時に、環境を整えることでもあります。Appleが提供している「フォーカスモード」は、まさにこの「環境を整える」ための機能です。
フォーカスモードでは、通知のオン・オフ、表示するホーム画面、ウィジェット、連絡の受信可否などを時間帯や場所に応じて細かく設定することができます。
たとえば、
-
朝の30分は「マインドフルネスモード」を作成し、SNS通知をOFF、呼吸アプリだけが開けるホーム画面に切り替える
-
就寝1時間前は「おやすみモード」でブルーライトカットと同時にリマインダー起動
-
週末の午前中は「散歩・リフレクションモード」で自然音アプリを起動
また、「集中モード」にはタイマー機能も付いており、一定時間だけ集中し、その後リマインダーや音声ガイドを流すなどの設定も可能です。
こうした機能は、まさにデジタルウェルビーイングの一環です。情報の過多や通知疲れに悩む現代人にとって、外部のノイズをシャットアウトするだけで心の余白が生まれます。Appleはこのようにして、マインドフルネスの実践を「テクノロジーでサポートする」視点を持ち続けているのです。
おわりに
マインドフルネスというと、「スマホから離れる」ことが推奨されがちです。しかしAppleは、その逆を行く発想で、「テクノロジーを通じて今に戻る」道を提示しています。
呼吸アプリ、フォーカスモード、Siriショートカット──すべては、気づくきっかけを手の中に生み出すためのツールです。習慣に組み込むことで、1日に数分でも「立ち止まる時間」が持てるようになり、自分の状態を整えることができるようになります。
次回以降では、Apple Watchの活用方法や、ホーム画面・ウィジェット設計による“マインドフルな環境づくり”などをさらに深堀りしていきます。
誰もが手にしているiPhone。それは情報端末であると同時に、心を整えるデバイスにもなり得るのです。
Views: 0