日曜日, 5月 18, 2025
ホームスマホiPhoneを米国内で製造したら35万円超え!?シンポジウムで教授ら「アメリカ回帰は現実的ではない」と講演松沢美沙

iPhoneを米国内で製造したら35万円超え!?シンポジウムで教授ら「アメリカ回帰は現実的ではない」と講演松沢美沙

🧠 概要:

概要

2025年5月、南山大学で開催されたシンポジウムで、米国政治と経済の専門家たちがトランプ政権の「アメリカ回帰」政策と、iPhone製造を中国から米国へ移転する際の影響について議論した。登壇者らは、米国でのiPhone製造が経済的・技術的に非現実的であるとして、販売価格が35万円を超える可能性があると指摘した。

要約(箇条書き)

  • シンポジウムにて、トランプ政権の「アメリカ回帰」政策がテーマに。
  • iPhoneを米国で製造する現実性について専門家が懐疑的。
  • 米国製造の場合、販売価格が35万円を超える可能性が高い。
  • 労働コストの格差:米国は約35ドル、中国は約2ドル。
  • サプライチェーンの再構築には高額な投資と時間が必要。
  • 米国の専門技術者の不足が製造の障壁に。
  • iPhone製造のコスト増大は企業と消費者に負担をかける。
  • アップルは関税免除や生産地の多様化を模索。
  • アメリカ製造の非現実性は、消費者価格の上昇を招く。
  • グローバル経済への波及影響が懸念される。

このシンポジウムは、米国の製造業復活の困難さと、グローバルなサプライチェーンの重要性を強調する内容だった。

iPhoneを米国内で製造したら35万円超え!?シンポジウムで教授ら「アメリカ回帰は現実的ではない」と講演松沢美沙

2025年5月、南山大学のキャンパスで開催されたシンポジウムにおいて、米国の政治と経済に精通した専門家たちが、トランプ政権が推進する「トランプ関税」とそれに伴う製造業の米国回帰政策について議論を交わした。中心的なテーマは、アップル社のiPhone製造を中国などアジア諸国から米国に移した場合に生じる影響だ。

山岸敬和教授をはじめとする登壇者らは、米国でのiPhone製造が現実的でない理由を詳細に分析し、仮に実現した場合、iPhoneの販売価格が35万円を超える可能性があると予測。この高騰は消費者にとって大きな負担となり、米国の製造業復活というトランプ政権のビジョンが「事実上不可能」と結論づけた。

→副収入に最適なFXについて漫画付きで楽しく優しく解説

シンポジウムの背景とトランプ関税の概要

シンポジウムは、トランプ政権が2025年に入って本格化した関税政策、いわゆる「トランプ関税」を背景に開催された。トランプ大統領は、アップルなどの米国企業に対し、iPhoneをはじめとする製品の製造を中国から米国に移すことを強く求めている。ホワイトハウス報道官のカロリン・レヴィット氏は、「アップルが米国でのiPhone製造を可能と信じ、5000億ドルの投資を約束した」と述べ、国内生産の実現可能性を強調した。

しかし、シンポジウムの登壇者らは、この主張に対し懐疑的な見方を示した。山岸敬和教授は、米国政治の専門家として、トランプ政権の経済政策が持つ政治的意図と経済的現実の乖離を指摘。

トランプ関税は、国内雇用創出や製造業の復活を掲げる一方で、グローバルなサプライチェーンの複雑さや米国の労働市場の現状を十分に考慮していないと批判した。加えて、経済学や国際ビジネスの専門家である他の登壇者も、iPhoneの米国製造がもたらすコスト増とその非現実性を、具体的なデータと事例を交えて解説した。

iPhone製造の現状と米国移転の課題

iPhoneの製造は、現在、主に中国のフォックスコンなどの契約製造業者によって行われている。フォックスコンの鄭州工場、通称「iPhoneシティ」では、約30万人の労働者が年間約2億台のiPhoneを組み立てる巨大な生産拠点を形成している。この規模の生産は、中国の低コストな労働力、充実したサプライチェーン、高度な製造技術によって支えられている。

iPhoneの部品は、台湾のTSMC(半導体)、韓国のサムスンやLG(ディスプレイ)、日本や中国の各種サプライヤーから供給されており、約90%がアジアで生産されている。このグローバルなサプライチェーンは、コスト効率と迅速な生産を可能にし、アップルが市場競争力を維持する基盤となっている。

シンポジウムでは、iPhone製造を米国に移した場合に直面する複数の課題が議論された。まず、労働コストの大幅な上昇が挙げられた。中国の製造業労働者の平均賃金は1時間あたり約2ドルであるのに対し、米国では約35ドルと、約17倍の差がある。

この差により、米国でiPhoneを組み立てる場合、労働コストだけで年間250億ドル以上の追加負担が生じると試算されている。これは、アップルの2010年の年間利益140億ドルを大きく上回る額であり、企業の財務体質に深刻な影響を及ぼす。

次に、サプライチェーンの再構築が大きな障壁となる。iPhoneには、OLEDディスプレイ、カメラセンサー、半導体など数百の部品が含まれるが、これらの部品の製造はアジアに集中している。米国でこれらの部品を生産するには、新たな工場建設や原材料の輸入が必要となり、さらなるコスト増と時間の浪費を招く。

シンポジウムでは、元アップル製造エンジニアのマシュー・ムーア氏のコメントが引用され、「米国でiPhoneを製造するには、ボストン規模の都市全体を動員する必要がある」との指摘が紹介された。これは、米国の労働力やインフラが、現在の中国の生産規模に遠く及ばないことを示している。

さらに、米国には精密ツールエンジニアなどの専門技術者が不足している点も問題視された。アップルのティム・クックCEOは、2015年のインタビューで、「中国ではツールエンジニアが複数のフットボール場を埋めるほどいるが、米国では会議室一つを埋めるのも難しい」と述べている。

この発言は、米国の製造業が過去数十年でサービス産業へとシフトし、製造に必要な職業訓練や技術蓄積が失われた現実を反映している。シンポジウムの登壇者らは、こうした技術的ギャップを埋めるには、数年から十数年の歳月と巨額の投資が必要だと強調した。

価格高騰の試算:35万円超のiPhone

シンポジウムの核心的な議論の一つは、米国製造によるiPhoneの価格高騰だった。複数の専門家の試算によれば、iPhoneを米国で製造した場合、現在の価格(例えば、iPhone 16 Pro Maxの1199ドル、約18万円)から大幅に上昇し、3500ドル(約51万円、為替レート1ドル=145円で計算)以上、場合によっては4000ドルに達する可能性がある。この価格は、日本円で35万円を超える水準であり、一般消費者にとって手の届かない高額商品となる。

価格高騰の要因は、労働コストや部品調達コストの増加に加え、生産効率の低下によるものだ。中国では、フォックスコンのような大規模工場が部品サプライヤーと近接して運営されており、物流コストが最小限に抑えられている。一方、米国では、部品の輸入や工場間の輸送に伴う「マイクロシップメント」が増加し、生産時間が長くなる。

これにより、1台あたりの製造コストが大幅に上昇する。ハーバード・ビジネス・スクールのウィリー・シ教授は、「米国でのiPhone製造は、少なくとも20%のコスト増を伴う」と指摘し、ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は、「3000ドル以上になる」と予測している。

消費者への影響も深刻だ。iPhoneは、米国のスマートフォン市場で約50%のシェアを持ち、年間約7000万台が販売されている。価格が35万円を超えれば、消費者の購買意欲は大きく減退し、アップルの市場シェアや売上高に打撃を与える。

シンポジウムでは、「高価格のiPhoneは超高級品となり、一般消費者ではなく一部の富裕層向けの製品に変わる」との意見が示された。これは、アップルのビジネスモデルやブランドイメージにも変革を迫る事態であり、企業戦略の根本的な見直しが必要となる。

アメリカ回帰の非現実性と政策的限界

シンポジウムの登壇者らは、トランプ政権が描く「アメリカ回帰」のシナリオが、現実的な経済的・技術的制約によって実現困難であると結論づけた。山岸教授は、「トランプ関税は政治的なスローガンとしては魅力的だが、グローバル経済の現実を無視している」と批判。

米国が製造業を復活させるには、労働力の再教育、インフラの整備、サプライチェーンの再構築といった長期的取り組みが必要だが、関税政策は短期的なコスト増を企業や消費者に押し付けるだけだと指摘した。

さらに、トランプ政権の関税政策がもたらす副作用も議論された。145%の対中関税は、iPhoneだけでなく、衣料品や家電など幅広い輸入品の価格上昇を招き、米国のインフレ率を押し上げる。消費者物価の上昇は、中間層の購買力を低下させ、経済全体に悪影響を及ぼす可能性がある。

また、報復関税により、米国製品の輸出が阻害され、農業や自動車産業など他のセクターにも打撃が及ぶ。シンポジウムでは、「関税戦争は、米中双方に経済的損失をもたらし、特にアジアのサプライチェーンに依存する国々に『巻き添え被害』を及ぼす」との分析が共有された。

アップルの対応策についても議論が及んだ。アップルは、過去にトランプ政権下で関税免除を獲得した実績があり、2025年も同様の交渉を進めている可能性がある。また、インドやベトナムへの生産多元化を加速させ、対中依存を減らす戦略を採用している。

しかし、インドの工場建設には10年を要し、生産能力も中国に遠く及ばない。シンポジウムでは、「アップルが米国での小規模生産(例えばHomePodやAirTags)にコミットする可能性はあるが、iPhoneの全面的な米国製造は非現実的」との見方が支配的だった。

消費者とグローバル経済への影響

iPhoneの価格が35万円を超えるシナリオは、消費者にとって大きな負担となる。特に、米国の若年層や中間層にとって、iPhoneは生活必需品に近い存在であり、価格高騰は家計に直接的な影響を与える。日本でも、為替レートの変動や関税の影響を受け、iPhoneの価格上昇が予想される。既に円安が進む中、35万円のiPhoneは、日本の消費者にとっても手の届かない存在となり、市場競争力の低下を招く可能性がある。

グローバル経済への影響も無視できない。アップルのサプライチェーンは、台湾、韓国、日本などアジア諸国に深く根ざしており、米国製造へのシフトはこれらの国々の経済にも波及する。例えば、TSMCやサムスンの売上減少は、アジアのハイテク産業全体に影響を及ぼす。

また、関税戦争の激化は、グローバルな貿易秩序を混乱させ、WTO(世界貿易機関)による新たな貿易統計の必要性を高めている。シンポジウムでは、「iPhoneの製造コストの3~6%しか組み立てに関与しない中国が、輸出統計で全額を負担する現状は不公平」との指摘もなされ、付加価値ベースの貿易統計への移行が提案された。

結論

南山大学でのシンポジウムは、トランプ関税とiPhoneの米国製造がもたらす経済的・技術的課題を浮き彫りにした。山岸敬和教授ら専門家は、米国でのiPhone製造が労働コスト、サプライチェーン、技術者不足により非現実的であり、価格が35万円を超える高額商品となるリスクを強調。

トランプ政権の「アメリカ回帰」は、政治的スローガンとしては魅力的だが、グローバル経済の複雑さを無視した政策であると結論づけた。アップルは、関税免除や生産多元化で対応を模索するが、短期的には消費者価格の上昇が避けられない。iPhoneを巡る議論は、米国の製造業復活の困難さと、グローバルサプライチェーンの重要性を改めて示している。

副業禁止の会社でも公務員でも大手を振ってできる副収入方法といえば(画像クリック)



続きをみる


Views: 2

RELATED ARTICLES

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

- Advertisment -

インモビ転職