Appleは「iPhone」のOSに手を加え、「Siri」以外の音声アシスタントを選べるようにする計画だと報じられている。
Bloombergによれば、OpenAI、Google、Metaなどが提供するサードパーティー製アシスタントに切り替えられる機能が近い将来実現する見込みだが、対象は欧州連合(EU)圏のユーザーに限られる。Appleはコメントの依頼に応じなかった。
Appleは、欧州のユーザーが音声アシスタントを選択できるようにするようEUから要請を受けることを見込み、この変更を準備しているという。同社はすでにEUのデジタル市場法(DMA)を受けて競合のアプリストアをiPhoneで許可する方針に転換しており、今回の動きもそれと同様だ。
近年、AppleはEUから主に独自の技術と閉鎖的なエコシステムをめぐり、多くの規制上のハードルに直面してきた。これらはApple製品の一貫性、プライバシー、セキュリティを高いレベルで担保する一方で、より小規模な企業が競争することを難しくしている。
こうした規制上の要請によって、Appleは多くの場合、製品の仕組みを大幅に変更せざるを得なくなっている。LightningコネクターからUSB-Cという世界共通規格への移行のように、変更が世界中のApple製デバイス所有者に影響する場合もあれば、EU圏に住む人だけが影響を受ける場合もある。
Siriの苦境
Siriは2011年からiPhoneで提供され、その後に多くの類似アシスタントが誕生した。しかしここ数年で生成AIが台頭し、OpenAIの「ChatGPT」を筆頭にSiriの機能を凌駕するチャットボットが現れたため、Appleは競合に後れを取っていると見なされている。
Appleは2024年6月の開発者会議「WWDC」でAIによるSiriの刷新を発表したが、その提供を延期した。「Apple Intelligence」を搭載したSiriはまだリリースされておらず、Bloombergによれば今回のWWDCにすら登場しない可能性がある。
この状況を踏まえれば、欧州のiPhoneユーザーが選択肢を得た場合、別の音声アシスタントを選ぶ可能性はある。ただし、欧州以外のユーザーに同じ選択肢が与えられることは、Appleが強制されない限りはなさそうだ。
Forresterのバイスプレジデント兼主席アナリストであるThomas Husson氏は、AIによるSiriの刷新がAppleの主要な課題だとは考えていない。
同氏は「Siriの刷新は遅すぎたか?その通りだ。AppleがAIで出遅れている印象を与えているか?その通りだ。もう手遅れなのか?私はそうは思わない」と語った。むしろ同氏によれば、真に問われているのは、AI時代に適応したユーザーインターフェースを考案し、既存アプリで新たな体験を可能にするよう企業や開発者とともにエコシステムを構築できるかどうかだ、という。
同氏は「EUの規制、特にDMAへの対応は物事をより複雑にする」としつつ、これは欧州で事業を展開するすべてのデジタルプラットフォームに当てはまるとも述べた。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
🧠 編集部の感想:
AppleがiPhoneでSiri以外の音声アシスタントを選べるようにする計画は、EUの規制に応じた重要な動きです。これはユーザーの選択肢を広げる一方、Apple自身の競争力向上にも寄与するでしょう。特に生成AIの台頭により、Siriの刷新が急務となっている中で、他社製品の導入が果たしてどう影響するのか注目です。
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