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Intelの最先端工場でUMC 12nmという成熟ノードが製造される理由とは? – PC Watch


UMCとIntelのジョイントベンチャーで、アリゾナ州工場で12nmノードのウェハが製造される

 Intel Foundryは、4月30日に記者説明会を開催し、台湾のファウンドリ企業UMC(United Microelectronics Corporation)が、米国アリゾナ州のIntel工場で製造開始するUMCの12nmプロセスノードに関する説明を行なった。

 Intel Foundryは現行ノードのIntel 3/4、今年後半に量産開始するIntel 18Aなどの最先端プロセスノードを最優先の事業としている。その一方で、Intel 3/4を製造しているアイルランド工場で16nm(Intel 16)、米国アリゾナ州工場でUMCの12nmなどのすでに成熟したプロセスノードを利用して顧客に対してウェハ製造を請け負うことを始めている。

 その背景には、成熟したプロセスノード、特に12nm~18nmのようなものの需要が今後拡大すると見込まれているからだ。

スマホやPCは最先端ノードだけでは作れない

Intel Foundryワールドワイドビジネス開発担当 副社長 ウオルター・ウン氏

 Intel Foundryワールドワイドビジネス開発担当 副社長 ウオルター・ウン氏は「iPhoneを例に取れば、SoCやモデムなどは3nmや4nmといった先端プロセスノードで製造されている。しかしそれ以外の部分、たとえば無線(RF)部やアナログ回路といった部分には55nmから130nmといったプロセスノードの半導体が利用されている」と述べ、デジタル機器の代表例であるスマートフォンであっても、成熟したプロセスノードが欠かせないと指摘した。

iPhoneはさまざまなプロセスノードのチップから基板が構築されている

Intelのアリゾナ工場で製造されるUMC 12nmはHPC、モバイル端末などさまざまな製品を支える半導体をターゲットにしている

 実はこのことは、コロナ禍(2020年~2022年)に発生した半導体供給不足という時にも指摘された。

 PCも同じような構造になっており、CPUやGPU、そしてメモリなどの性能が要求されるチップには最先端プロセスノードが採用されており、そちらの方は需要と供給が割ときちんと確保されているため、大きな問題は起きなかった。

 しかし、メモリモジュール上に搭載されるバッファーチップが足りなくなったり、マザーボード上に実装されているマイクロコントローラが足りなくなったりして、マザーボードが供給不足になってPCが組み立てられないということが発生していたのだ。

 つまり、スマートフォンやPCを安定して製造するためにはそうした周辺部分のチップを製造するのに使われる成熟したプロセスノードの需要が意外に高いのだ。台湾のファウンドリとしてTSMCと並ぶ老舗であるUMCはそのようなニーズを満たすプロセスノードでの製造に長けている。

 1980年に創業したUMCは、もともとは自社で製品の設計から製造、販売を行なうIDM(Integrated Device Manufacturer)な半導体メーカーとしてスタートしたが、1990年代にはファウンドリ事業に転換し、現在もファウンドリ事業が主力事業になっている。

 UMCの工場は本社のある台湾、中国、シンガポール、そして2019年に三重富士通セミコンダクターを富士通から買収して得た日本の三重県桑名市にある工場など、主力工場は基本的にアジア圏に置かれている。

11~16nmの製造キャパシティーは67%がアジア太平洋地域に片寄っている

 しかし、よく知られている通り、コロナ禍の半導体不足で半導体のサプライチェーン(製造から組み立てまでの過程のこと)が、アジアに片寄っていることが再び注目されるようになり、特に欧米の政府が自国の安全保障の観点から、補助金を出すなどの政策で製造の拠点を欧米に移すことを半導体メーカーに促すようになった。

 また、第2次トランプ政権が、関税を武器に通商交渉を行なうようになったこともそれを加速しており、セットメーカーは真剣に製造のサプライチェーンを米国や欧州に移すことを検討しているような状況だ。つまり半導体の地産地消の動きがより強まっているのだ。

UMCとIntelの提携

 その中でUMCはアジアに製造拠点が集中しており、それを何らかの形で変えていく必要があり、Intel Foundryとパートナーシップを組むことになったわけだ。

UMC 12nmをIntelアリゾナ州工場に

米国UMC 社長 TJ.リン氏

 Intel Foundryのウン氏は、「UMCが台南の工場(UMC Fab12A)で開発した12nmのプロセスノードを、我々のアリゾナ州の工場にそっくりそのまま持ってきて製造する。我々はこの方式をコピースマートと呼んでいる」と述べている。

 通常、Intelは自社のマザー工場であるD1Xなどのオレゴン州ヒルズボロの工場でプロセスノードを立ちあげ、それをそれこそトイレの位置なども含めてほかの工場にそっくりそのままコピーする「コピーイグザクトリー」というやり方で新しいプロセスノードの横展開を行なっている。

 それに対して今回のUMCとの提携では、もともと工場の構造などが異なるUMCの工場と、Intelの工場ではコピーイグザクトリーは難しいため、ある程度調整してコピーするという意味の「コピースマート」でラインを持ってくる形式になっているという。

 なお、このIntel Foundryの工場で生産されたUMCのウェハは、UMCが顧客に販売するという形になっており、事業主体はあくまでUMCになる。Intelは言ってみれば、UMCに空いている場所と人材を貸し出して関与する形になる。

 どのようなビジネスモデルになっているのかなどの詳しい説明はなかったが、売り上げのある程度をUMCがIntelに支払うのだろう。

成熟ノードは今後12~17nmへと主力が移行する

UMCが想定する12nmでの製品応用例

従来の22nm製品と比較したPPA(電力当たりの性能比)

 米国UMC 社長 TJ.リン氏は「こうした成熟ノードは、現在は20~28nmあたりが主流になっているが、今後は12~17nmなどに移行すると考えている。2028年に向けて200億ドル以上の潜在市場があり、特にロジックや無線といった需要が高まってくる」と述べる。それに向けて両社が提携して、UMC 12nmをIntelのアリゾナ州工場で製造することになったわけだ。

三方それぞれにメリットがある

 リン氏は「顧客のメリットは明白で、次世代製品で高性能の12nmを米国で製造できることだ。UMCのメリットは我々の技術を米国の顧客に提供できることだ。そしてIntel Foundry側のメリットは、これまで彼らがあまりやってこなかったような、成熟したノードを顧客に提供できるノウハウを得られる」と語り、「三方全得」のような顧客も、UMCも、Intel Foundryの三方すべてにメリットがあるとする。

 なお、IntelはこのUMCの提携とは別に、台湾のMediaTek向けに、アイルランドの工場(Intel 3/4ノードのメイン工場)でIntel 16(16nm級のFinFETノード)の製造を開始している。

 Intelによれば、Intel 16はMediaTekが成熟した安価なプロセスノードが欲しいという「顧客の声」を拾って製造が決定されたと説明しており、UMC 12nmも含めて顧客のニーズがあれば、欧米にあるIntel工場で成熟したプロセスノードで生産を拡大していく方針だ。

本年10月にPDK0.5を限定された顧客に提供し、来年の4月にPDK 1.0を提供開始、2027年1月から量産の計画

 リン氏によれば、このUMC 12nmは昨年1月に提携の発表をして以降、両社のエンジニアなどが実際にラインの立ち上げなどに向けて動いているという。さらに、PDK(Process Design Kit)と呼ばれるEDAツールを利用し、チップの物理開発を行なうのに必要な開発キットのバージョン0.5を、今年の10月に採用予定の顧客限定に公開する計画。その後、広範囲に配布できるバージョン1.0を2026年の4月に配布し、2027年の1月には量産を開始する見通しだ。



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